5.0
良房と基経のキャラ
心だに まことの道に かなひなば
祈らずとても 神や守らむ
この作品が大好きで、
ポイントが貯まれば次々読み進めています!
絵も丁寧で立体感があり、
時代考証・風俗考証も良くできています。(^-^)
伊勢物語で有名な在原業平と
菅家文草等で有名な菅原道真の組み合わせでストーリーが展開します。
この二人の共通点と言えば、
藤原氏に煮え湯を飲まされたことですね。
業平の母は桓武天皇の皇女だというのに、
出世はイマイチ。
理想と現実の違いの大きさに
なんとか折り合いをつけようと、
維喬親王や紀有常らと酒や和歌に心を慰めて、
この作品では、40代過ぎ?
の渋くてダンディーな中年ですね。
紀長谷雄のキャラもいいですね。
憎めないです。(笑)
一方、道真の方は、
表紙絵からも分かるように
なんとなく陰気な目つきなんです。
作品を読めば、
幼少期に起こったある出来事によるトラウマ!?
が原因かもしれません。
彼は帽子を深くかぶり、
必死にその事を忘れようとするかのように
深く書に埋没し、
人間関係を煩わしく思う、
世の中を斜めから観たような
諦念すら感じさせる、冷めた目をして生きている少年。
しかしひと度、納得のいかない事があれば、
火をも恐れない胆力と正義感を発揮する直情的な面を持っていて、
そこがとても魅力的に感じました。
道真の真っ直ぐで不器用な所を、人生経験豊富な業平が、
大人の理性でなだめようとする。
そう丁度、暴走しそうな牛をなんとか制御するかのように。
因みに、道真公は丑年生まれなんですよね。
私も丑年なので親近感があります。
よく天満宮にもお参りに行きます。
行くとやはり牛さんが寝そべっているんですよね~。
そして一番上に書いた道真の和歌の碑があります。
これからどのようにストーリーが進んでいくのか楽しみなんですが、
最もゾクゾクしたのが
藤原良房と藤原基経のキャラ設定!
良房は自分のイメージ通りだったのですが、
基経は!!
そうきたか~(笑)
いやなかなかの不気味さ、
禍々しさを漂わせた独特のキャラですね!
二人とも不気味過ぎて
そこがまたすごく面白いです。
鬼や怨霊といったものは、
実は生きている人間の心の中に存在するものなのでしょう。
他ならぬ道真がそう言っているようです。
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応天の門