KUMA123さんの投稿一覧

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21 - 30件目/全35件
  1. 評価:5.000 5.0

    シュールな発想とギャグで包んだ奥深い内容

    突然の謎の海面上昇で海に沈んだ街の中を、高校生の春生(はるお)が引きこもりの兄=夏生(なつお)と二人で、バスタブに乗って漂流します。

    海の中は巨大なサメが沢山で(なんでこんなにいるんでしょう、謎ですね)、人が喰われて死体だらけ、そうしたシュールな非日常をギャグで包んだ人生劇場です。
    人々の喜怒哀楽や、危機で浮かび上がる人としての本性が、小さな逸話ごとに、切り取るように印象的に描かれています。

    注目すべきは、顔も体形もかなり気持ち悪い引きこもりの兄の夏生です。
    ハッとする程の純粋さや誠実さ(時には大人の思いやりも!)が、セリフも少ない数コマの表情で浮き彫りにされ、読むにつれ、非常に魅力的な人物へと変貌していきます。
    童貞卒業したさに春生に偽の告白をされたデブでブスのクラスメートの、春生に対する純情や献身も見ものです。

    地下トンネルに海水が流れ込んで発生する渦巻のシーンは、ポーの短編「大渦巻」を彷彿させるし、海中を泳げば下には沈んだ街並が見え、さながら空を飛んでいるようです。

    現実の人間社会では適応できずに孤立してしまう兄の夏生の、最終話で見せる行動=姿は感動的ですらあり、コロナ禍などを含め様々な事情で悩み苦しむ私達に、一粒の光さえ与えてくれるようです。

    • 0
  2. 評価:5.000 5.0

    貴重な経験の作品

    「鬼門街」の作者の作品なので、読みました。
    私は施設の経験はないけれど、8才から成人するまでかなりキツイ日々を過ごしたので、
    この物語は、身につまされる思いでした。

    子供の頃の苦労は、大人になってからのそれとは全く違っています。
    小さな子供は、自分の置かれた環境を正確に認める事も評価する事もできないので、
    時には自分が苦しんでいると自覚する事もできないまま、ずっと何年も苦しみ続けたりします。
    私の場合、子供時代の記憶を清算するまでに、20数年かかりました。

    私は「鬼門街」もとても好きだけど、それは、
    悲惨な事や、卑劣な心の人達に沢山出会う主人公が、
    いつも変わらぬ善良な心で、静かにそれらを見つめ続けていて、
    きっとそれが、作者の心だと思うからです。

    漫画家という立派な職業に就いて、素晴らしい作品を描き続けている永田晃一さんが、
    暖かい家族に見守られながら、幸せで充実した日々を送られますように、
    心から、深くお祈り申し上げます。

    また、ご自身のこのような体験を、作品として世に出して下さった事、
    厚く、お礼を申し上げたいと思います。

    • 2
  3. 評価:5.000 5.0

    ブラック企業運営のダンジョン採掘物語

    ファンタジーゲームにそっくりな世界に転移する話はよくありますが、
    この漫画は、ダンジョン(=鉱山)で魔物と戦いながら魔石(=鉱石)を採取するブラック企業の話になっていて、びっくりです。
    亜人間も沢山いて、彼らは皆ブラック企業の会社員で真面目に仕事にいそしんでいるけれど、この異世界に転移してしまったニノミヤキンジ(名前がいいですね)だけは、あの手この手の裏技を使って会社の目を盗み、金を儲けて楽しようと頑張っています。
    深く考えず、単純に楽しく読めます。

    私の気に入りはワニ男のワニベ君で、ニノミヤに見込まれて相棒になりますが、真面目で心優しく、不器用な所がまたよくて、ニノミヤといい対になって物語を盛り上げています。

    • 0
  4. 評価:5.000 5.0

    可愛いエスターと素敵な伯爵の物語

    貧民育ちだけど笑顔を絶やさないエスターは、半人間半吸血鬼の「ヴァンピーノ」で、人込みに隠れたヴァンパイアを見分ける事ができます。その才能を見込んだヴァンパイアハンターのヴァレンタイン伯爵に「吸血鬼狩りに協力して欲しい」と求婚されて、豪華な屋敷で彼との新しい生活が始まります。

    絵が綺麗で、エスターはとても可愛いし伯爵はカッコよくて素敵だし、エスターのドレスもおしゃれです。
    身分違いの結婚にエスターはとまどって「吸血鬼退治の目的だけの結婚」と思い込んでいるけれど、伯爵は本当にエスターが好きなのです。何とか伯爵の役に立とうと奮闘するエスターと、自分の想いが伝わらなくてもどかしい伯爵のやり取りが微笑ましいです。
    それに、エスターの双子の兄アルジャーノンも、吸血鬼がらみで行方不明になってます(本人は貴族の養子になると言って姿を消したけど、本当はどうなんでしょう…)。このアルジャーノンを探すことも話の大きな目的になっていて、謎があり、楽しい展開になってます。

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  5. 評価:5.000 5.0

    分かりやすい絵、話にも勢いがある

    エルリック兄弟は禁断の術に手を出して、兄は左足と右腕を失い、弟は失った魂を鎧に宿して、元に戻る為「賢者の石」を探して旅をします。
    「錬金術=物質を変換」の法則ゆえ、壁に触るだけでゴーレムみたいな化け物が現れたり、一瞬で鉄の棒が機関銃になったり、荒唐無稽な感さえしますが、漫画にスピード感あり、話に勢いあって、絵も綺麗なうえに見やすくて分かりやすいし、細かいことはどうでもよくなって、童心に帰って夢中で読めます。
    鎧姿の弟アルフォンスと兄のエドワードのやり取りも楽しいし、他にも個性的で魅力的な人物が沢山で、謎が謎を呼び、世界観も良くできていて良いと思います。

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  6. 評価:5.000 5.0

    常識ばなれの奇抜ワールド、でも面白い。

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    人気のない末端の神様=夜トの活躍を描きます。
    人の霊を勝手に捕らえて使い魔「神器」にするんですけど、この「神器」が平気で万引きや盗みをして、その金でゲームを買って人間同様遊んでますし、また、●プレーみたいな恰好をしてライオンにまたがった女性が帝釈天だったり、貧乏神が小雪と名乗る少女で、大黒という名の30代のおじさんの「神器」と民家で普通の夫婦みたいに暮らしていたり…、従来の神様のイメージとかけ離れた作者独自の奇抜な世界が展開します。
    少々混乱しましたが、結構面白く、どんどん読めます。

    • 3
  7. 評価:5.000 5.0

    構成も設定も秀逸な異色ファンタジー

    同作者の「BASARA」を並行して読んでますが、物語の構成や人物&世界観の設定が優れていて、「猫mix」はそれらが更に磨きがかかっており、大変完成度の高い漫画と思います。
    天敵と化したネズミと人類の戦いを描いた異色ファンタジーですが、感心するのは、「魔法のネズミ」によって半人獣となった猫(猫mix)が、安易な「擬人化された人の表情」をすることが全くなく、あくまで猫の本能としての表情に徹している事です。それがこの物語のファンタジーに独特の現実味と魅力を与えています。
    「魔法のネズミ」に息子を攫われた勇者パイ・ヤンが、息子のペットだったトラジ(猫mixにされてしまう)と、息子を探して旅に出ます。犬mixの「伯爵」や、その他の登場人物も個性的&魅力的ですし、「魔法のネズミ」の他、「力のネズミ」「知恵のネズミ」など、ネズミ側の世界も奥深く、物語はさらに広がりを見せながら展開しそうで先が楽しみになります。

    • 3
  8. 評価:5.000 5.0

    児童文学や絵本を彷彿させる優しい漫画

    ヘタレドラゴンが安住を求めてマイホームを捜し歩きます。
    ファンタジー好きの私が子供時代に読んだ、小人や妖精や、擬人化されたカエルやネズミの出てくる懐かしい絵本や児童文学を彷彿させる、善良で優しい漫画です。
    ゲームのアイテムや勇者なども登場し、楽しい話になっています。
    人により評価は分かれると思いますが、私は大変好きです。

    • 6
  9. 評価:5.000 5.0

    謎のー家と召使(人形)の日常を淡々と描く

    顔のない一家「シャドー家」とその顔である「生き人形」の日常を淡々と描きます。
    シャドー家の人々は裕福そうですが、真っ黒な姿で顔もなく体から常時ススが出る、怒るとススは大量に出て天井などにべトリとついて落ちないし、「生き人形」は粗末な部屋と食べ物をあてがわれ、吸血鬼の棺桶みたいなベッドで眠る、本当は人間なのかもわからないなど、謎だらけで奇怪で異様ですが、それらの生活が当たり前のように淡々と描かれていきます。
    特別な事件も起こらず「生き人形」は善良で可愛らしく、一見ほのぼのとした日々が描かれますが、背後に横たわる不思議ゆえに読んでて飽きません。
    私は好きですが、好みの分かれる作品と思います。

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  10. 評価:5.000 5.0

    話・絵とも分かりやすい

    山の中で仲間が次々と謎のサルに惨殺されていきます。
    話が非常に分かりやすく、山の地図に現在位置付きで説明もあり、自然とどんどん読めます。
    また、人物の書き分けが大変よくできてます。多くの漫画の中には似たような顔に髪型や髪の色を変えたりしているだけのモノもありますが、この作品は、人物の体&顔の骨格から描き分けられていて、感心します。
    謎のサルも、ナタを持ってるしニセの看板を作って人を騙したりしているから、知能があり、ただの猿じゃありません。こうした不思議も魅力です。

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