2.0
考えさせられた
自分の思う理想の「普通」を、静かにじわじわと押し付ける妻に耐えきれず、外に安らぎを見出だした夫。
その安らぎは「浮気」ではなかったけど。
虐待されていただろう、偶然出会った小さな男の子。
ニュースになったのはその子か。
自分が何かをしていたら救えたかも知れないと悩む夫に対し、自分が幸せならそれで良い妻。
そんな夫の前に現れた謎の女性と子ども達。
その、血がつながらないながらも強く結び付く「家族」に関わる事で心の隙間を埋めてしまった夫。
自らも「父親」であるにも拘わらず…。
夫の悩みや心に全く無関心で向き合おうとしなかった妻はともかく、何も知らない娘に、結局は心に傷を負わせた。
自尊心を満たす偽善に酔い、本来は1番に守らなければいけないはずの「自分の家族」を捨てる事を決意したらしい夫。
いいんですよ。それが夫の正義であるなら。
許せないのは、妻にも娘にも向き合わず逃げを選んだ事(娘には最後に何か話したらしいが)。
「君の理想の普通にはもう付き合えない」と、妻にきっちり告げて正式に離婚して、そして家を出れば良かった。
なのに選んだのは蒸発。
そんな事をして残された妻と娘が、その後どうやって生きて行くかなんて何も考えない行動。
妻は長く勤めたパートを辞めたらしい。
夫は、行方不明ということは仕事も辞めたのか?公務員だったのに。
ラストシーンに「おかーちゃんが好きだったビスケット」とあり、どうやら「おかーちゃん」は今はいないらしい。
拾った子どもに「帰りたいと言ったら帰す」と言っていた女性。
夫の元に戻ったのか、病気で亡くなったのか。
真相はわからないままだった。
自分の夫や娘はどうだろうかと、いろいろと考えさせられたけど、どうにも後味の悪い話だった。
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わたしは家族がわからない