5.0
名作ということしか
今まで分からず、
タイトルを耳にしたことはあったけど
実際に読むのは初でした。
寿命のある
人間たちの人生と
同じ姿で時をきざむ
バンパネラが対照的に描かれていて、
それが
バンパネラの悲哀や孤独感を
浮き彫りにするようで切なかった。
静かな哀しみの表現が、
より哀しく感じさせる気がした。
不老不死ならば
メリーベルはエドガーと
ずっと一緒にいる存在だと思い込んでいたので、
予期せぬ突然の別れがショックでした。
メリーベルは
エドガーにとっては
人間だった頃から
ずっと一緒に生きてきた妹。
バンパネラに効く銃が
何でよりによって
ここにあるのか、という不運。
しかも
発泡した男性は恐怖にかられて
錯乱気味で、
人間であるそっちの方がこわかった。
体調悪そうだったメリーベルは
血を飲んでいないからだっただろうに…。
バンパネラなら何でもかんでも撃てばいいみたいな
この男性こそ危険に感じたし、腹が立ちました。
メリーベルを大事にしていたエドガーが
想像より理性的に振る舞ってるのも意外だった。
もっと泣き叫んだり、怒り狂ってもおかしくない状況。
ここでハッとしたのが、
エドガーは子供の姿をしているけど
内面は子供ではないということ。
長い年月を過ごすうちに
身に付いてしまった強さ、
大人の鎧みたいなモノを実は着てたりするんじゃないかと思えてきた。
子供の姿だけど、
本当は長い時を生きてきた存在なんだぞ…という表現として的確すぎて、
「見事な表現」っていう言葉は
こういうときに使うんじゃ…と思いました。
吸血鬼がこわい存在というよりも
切なくて哀しい存在に思えてくる。
それでいて
悲劇的なイメージともちがう。
やさしげな雰囲気と
きれいな響きのある言葉で
描かれた世界観です。
読み進めるうちに
後からジワジワくる感じでした!
質や格が一味ちがうというか、
物語に凄みがありました。
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ポーの一族