5.0
山崎豊子さんの戦争三部作の一つです。
この作品の前に書かれた「二つの祖国」「不毛地帯」も名作ですが、この「大地の子」は戦後中国の歴史を知ることにもなり、また中国という広大な国の空気、人々の懐の深さを知ることのできる良作です。
原作もドラマのDVDも持っています。
山崎豊子さんが当時の国家主席から、取材に際して言われたことが1つ。「中国を美化する必要はない、ありのままの姿で書くように。」
そして出来上がった作品は当時の中国政府全面協力の下NHKによって日中合作でドラマ化された大作です。
私は当時学生で、中国関連の授業の教授が中国人に大地の子の感想を聞いたら「中国人はあんな酷いことしていない」、実際の残留孤児に感想を聞いたら「あんなものじゃない、もっと過酷だつた」と口を揃えて言っていたそうです。
私が子どもの頃は一年に一度くらいのペースで残留孤児の方々が肉親を探しに日本に来ていました。NHKのニュースで毎日のように名前や出身地、推定年齢や手がかりになる物や顔などを一覧にしてアナウンサーが読み上げていました。
みんな人民服を着ていて中国語しか話せないけど記憶がしっかりあり、両親の名前までわかる人もいれば、自分の名前もわからない、ただ日本人らしいと聞かされて育った人もいました。
残留孤児が中国人養父母に育てられ、引き取り手によっては一心のように深い愛情をかけられた人もいたし、一心の妹「あつこ」のような人もたくさんいたでしょうし、自分が日本人であることすら知らずに中国で大人になって亡くなった方もいたでしょう。
そんな方々の姿に想いを重ねながら読んで欲しい作品です。
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マンガ 大地の子