5.0
腹立たしい
この物語は大体の登場人物が物わかりがよい、優しい人たちですが、翔の母親。この人だけはいただけません。もちろん心が弱りきっていた状況には同情できるところもあります。しかし最愛の子供にこんな当てつけがましい手紙を遺して自死するなんて。こんなひどい仕打ちはないです。色々な考えがあって離婚、引っ越し、部活の制限をするのだとしたらそのことはちゃんと伝えなきゃ。相手はもう16才なんだから。種明かしのように「実はあなたのためだったの」といわれましても。
なにより最悪なのは「ジャマしてごめんね」という最後の一文。今日はジャマすんなよ、と軽い気持ちで送った言葉に、もう一生ジャマはしませんから、って拗ねた小学生じゃないのだから。
ひどい病気で余命幾ばくもなく、看病で息子の青春をつぶすのが申し訳なかったなどの事情があったのかと思ったけど…違った。とりあえず物語の最後では皆に救ってもらえたけど、そのあともずっと心の傷と戦い続けないといけないという未来が忍びないですね。
と、思わず熱くなってしまいましたが、実在しないキャラクターにこんなにも感情移入できる、ということは作者さんの描写がうまいのだろうなと思います。完結を楽しみにしています。
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5
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