5.0
とてもいいことを言ってる
本格ファンタジー『狂犬が主に噛みついたら』と同じ作者さんを探して見つけました。主人公を育てた家族たちが、素敵です。人は、愛情を受けて育てば自分のことを好きになり、他者からの悪意ある言葉を気にしない強さを持つことができる。おじさんが教えてくれた、「自由とは、力をつけ今の自分なら家族が心配しないという自信ができてどこへでも出て行けるようになること」というのがすごい。
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本格ファンタジー『狂犬が主に噛みついたら』と同じ作者さんを探して見つけました。主人公を育てた家族たちが、素敵です。人は、愛情を受けて育てば自分のことを好きになり、他者からの悪意ある言葉を気にしない強さを持つことができる。おじさんが教えてくれた、「自由とは、力をつけ今の自分なら家族が心配しないという自信ができてどこへでも出て行けるようになること」というのがすごい。
絵も上手な人がさらっと描いてていいし、お話もおもしろい。それから、この作品でいいと思ったのは。他のめちゃコミックのマンガを最近たくさん読んでみて、食事の献立、テーブルセッティングなどがすごくへんなのが多いのね。日本の作家さんでもへんなこともある。異世界ファンタジーなら作者がその世界のプロトコールを発明してもいいのだけど既存の文化をまず調べてから独自性を出す方がいいよね。ストーリーが一定水準以上によければ食事シーンにはある程度目をつぶって読もうってなってたところ。中華ってこともあるかもしれないんだけど、この作品は食事シーンが多くかつ、へんなのに詳しく描写するみたいなこともなく、さらっとへんじゃなく描いてると思った。それだけで読んでてストレスが無いんだわ。主人公のひとりはお料理好きという設定だから、テーブルの上がへんだと他の部分が良くても読むのがつらいもの。
宮廷にはポタジェがあるんものだし、皇居があるから千代田区には馬糞のにおいがただよってくる場所がある。都心でお野菜育てるってとても貴族的なことなんだ。
下見板張りのかわいいカントリー風のお家に住んでハーブやお野菜を育てている令嬢という設定だと、陶磁器はいいものを持ってるほうがいいわ(カントリー風キッチンとかリネン類とか、屋根裏部屋の寝室にはパッチワークとかも)。普段の服装が質素でも、アンティーク雑貨は少し持ってるのがいいんだ。食器は実家からうけついだのをお城が人手にわたっても持ってこられたとかさ。生活の楽しみがテーマの作品だからね。それで★を5つにしなかったけど、設定はとても好き、という物語。せっかくこの設定でインテリアに凝らないの、もったいないよと思った。
ヨーロッパ風異世界で、非業の死からの転生というお話がたくさんありすぎて、ついたくさんの作品の無料分を読んでしまい、さて課金して続きを読むか読まないかとなったときに、私の場合この作品は、読む!ほうに入りました。その理由は、イボールとシディスの人柄でした。
シディスがお忍びでイボールの領地にやってくると、けっして豊かとはいえない土地なのですが、領主イボールが領民に優しく公正であるために領民たちがいきいきと暮らしていることに気づきます。自分の花嫁候補を観察するときにまずそこを見る王子って素敵じゃないですか。シディスの文系というか穏やかな感じがいいです。実際に会ったイボールは強く厳しい物言いをする貴族的な美女なんですが、王子に簡単になびかない一見きつい人が目下には優しく領地で慕われているのが、こちらも素敵。
主人公カップルが尊敬できる賢い子という原作者さんだと、作者もまた力量がある人だろうから、よく構築された物語だろう、伏線の回収などもしっかり行われるだろうなあと予測し、それなら読み続けて損はなかろう、となります。
25話で、主人公は「一人の人に国の命運がかかってる方がおかしい。エヴァは自分の幸せを考えればいいんだ」と言ってもらいます。
その通り!
私が隷属していることで多くの人の幸せが保障されるって考えなくていい。このお話は魔法が使える世界のファンタジーだけど、今生きている社会で、隷属の道を選ばされ、選んでしまった人生を歩む人がこの世からいなくなりますように。
逃げることが正しいんです。まず、私から幸せになろう。
主人公が賢く高潔なお話はやっぱりいいです。じっくり読ませる作家さん。読み捨てにしていいような作品じゃない。短く切った一話一話に必ず盛り上がりポイントがあるわけではないので、より単純な話より人気が出にくいのじゃないかしら? きちんと物語世界が構築されているし、人物の気持ちの変化も描かれている。原作者が能力高い人だと思われるので、名前が残っていってほしいです。
まず夫と思ってた人との夫婦関係が偽ものだったことがわかって、医師の夫の主人公への違法な医療行為もわかる。主人公は夫に秘密で外出できるようにもなる。この段階で二人のことについては弁護士に、証拠を掴めてるぶんの犯罪行為については警察に委ねることが可能、というところに早い段階で到達してる。舞台が封建時代や封建時代風ファンタジーではなく現代なので、もう司法が介入できちゃうんだがまだ当事者だけで動こうとする。というストーリーだから、今後恋愛が起こってもこの二人って相性がいい?という人同士の都合の良すぎる恋愛になるだろうと想像して、ワクワクがなくなってしまう。
他の部分、例えば作家さんの絵柄が好きとか主人公と自分が似ていて共感できるなど、ツッコミどころを無視できるほど好みのところがある、という読者さんなら楽しめる作品か。犯人にバレないように秘密を探ってくところの緊張感など読者を引き込む要素もある物語なので、決して悪くもないんだ。
主人公が一つのことに夢中になると、他の登場人物との現在の関係などがどうなってるかを、作家さん自身も描き忘れちゃうのでは? 例えば、お城にいた子供たちを育てることに集中すると、主人公の夫婦関係がどうなってるかが描かれないなど。そういう原作だから、主人公がこの世界の基本情報を学ぶシーンもない。秘密が秘密のままなので外部から来たお嫁さんが何も聞くことができず探っていくわけでもなく、秘密はバレてるのだから夫や他の人たちになんでも聞けるはずなのに、そもそも人と話し合って情報共有する場面が無い。
ファンタジーだから、作者さんがこの世界のマナーを創作してもいいのだけど。女性の帽子は室内でとらない、かぶったままが正式なのをちゃんと描いてる。布の質を見分けられる主人公を描けるだけの教養がある、いい作者さんだ。
エクサ―が常に考えているのが、「主人からよくされたことでダオンが一般・現業職の人達から逆恨みされないか。彼女に優しくすればいいのじゃなく、この配慮が大切なんだ。だから、将来晴れてふたりが夫婦になったときには、ダオンが君主の妻として尊敬される存在になるだろう。
不幸な目にしか遭ってこなかったダオン(一番恵まれてたときで〈〉内を考えられない主人からの親切にあっていたとき)は、自分は人に優しくされ得る存在だということがわからない。そこで、エクサ―は、例えば暖かいお風呂に入っていいいということを教えるのにも、露悪的になって風炉に入るように命じる。ほほ笑んで喜ぶことができない女性は普通の人からみれば得体の知れない存在なのだけど、彼はじょじょに心を溶かしていこうとする。
ダオンは、望みをひとつかなえてやろうと言われると、公共政策をお願いする。親切にしてくれた人を幸せにするとあ、意地悪した人に復讐するとかという発想が無く、領民の死亡率罹患率を下げたい。全員が健康で文化的な生活をおくる方歩を提案する。無私すぎて天皇陛下レベル。頭のいい人が誰にも愛されないと、こうなることを原作者さんがわかっているのだろう。つまり、優れた作品なのだ。
このふたりって、そのスケールの大きさが同レベルだから、惹かれ合うしかない。人の上に立つ資質をまさにそなえているふたりなので、幸せになってほしい。
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銀の公女、烏の公女