5.0
現代の甲冑職人の心意気
お仕事モノのマンガが好きで、男性向け女性向け問わずよく読むのですが、中でも1、2を争うほど好きな一作です。
父が個人経営の紳士服専門店で働いていたので、イギリス式紳士服のセオリーや歴史については何となく知ってたのですが、イタリアンスーツの事は全っ然知らなかったので、国が違うとジャケットひとつ仕立てるのでもこんなに色々違うんだ……と目からウロコでした。イタリア式コーディネートではカフリンクス付けないのが普通だとか、このマンガ読むまで知らなかったよ……。
一話完結のオムニバスで、あくまで主体になるのはお客様。そんなお客達の大事な商談に、ハレの日に、生涯一度の決断の時に身につける「勝負服」を、究極のアルテと遊び心をもって作り上げるオリベの姿には、まさにスーツ=現代の甲冑を造る職人としての自信とプライドが嫌み無く感じられて大好きです。ちょいちょい入る紳士服の蘊蓄も興味深くていいですよね。これからフォーマル多目なドラマや映画観る時には、スーツが気になってしまいそうです!
特にお気に入りのエピソードは「最期の夢」。ほろ苦さを含みながらも読後感は爽やかで、その癖涙腺絞られるラストが最高です。良作のヨーロッパ映画を観たような気分になりました。
続編も全部ハズレ無しの面白さだけど、シリーズではこの「サルト・フィニート」が一番好きかも。
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王様の仕立て屋~サルト・フィニート~