5.0
まさに波のような空気感
まず、「若者の中に飛び込んだ人生の先輩、人生経験を武器にどんどん認められてのサクセスストーリー!」…ではないです
むしろ若者が先に認められて、自分は取り残され、自分にはどれだけ時間が残っているのか?と焦ってしまうくらい
主人公うみ子さんは65歳の未亡人(?)
連れ添った夫が亡くなり、娘は嫁いで孫もいて時々テレビ電話するくらい、突然に暇になるけど、ご近所さんに誘われる習い事(フラダンスとか…)には興味を持てず
ふらっと入った映画館で遭遇した美大生・海(カイ)くんの言葉をきっかけに、自分も美大への入学を決断する
この、歳の差40以上のうみ子の海の、不思議な関係性が魅力的で
親友のような、ライバルのような、親子のような、ものすごく時々は男女のような機微を感じるし
定義する単語が見つからないけれど、お互いに「唯一無二」であることが間違いないと伝わってくる
「波にのまれる」とよく出てくるけど、海はいつも同じ顔ではなく
大波に攫われることもあれば、凪になって船が進まないなんて状態にもなる
年相応に病気もする
サクセスストーリーではないけど、確かに評価してくれる人たちはいて、でも先に世界に飛び立った海と自分を比べてしまう
成功したように見える海は海で若造であり、周りとうまく行かずに焦り、魅力的な容姿も相まって「自分の作品でない部分」が評価されているような気分になれば沈む
分かりやすく単純な関係性でもストーリーでもないけど他のキャラも魅力的で軽快な会話が心地よくて読みやすいし
65歳も、20歳前後の若者たちも、一方的でなく良い影響を与え合っているのが、すごくいい
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海が走るエンドロール