4.0
参考にならんかもしれないが書いてみました
我が国の憲法では「異世界転生ジャンルの漫画の書名はサブタイトルを含めて20文字以上(上限なし)」と定められておりますが、その点については本作はクリアしていますね。一見表紙絵とタイトルだけでは転生モノとは分からないのですが、「冒頭、目が覚めた主人公が状況把握のためにモノローグで転生前の自己紹介and転生後の自分を語り出す」というセオリーをちゃんと踏襲しています。「ここたぶん異世界だし」とド直球発言も出ました。この、誰に聞かれてもないのに説明しちゃう読者への親切さこそが、異世界転生モノ漫画の醍醐味と言えましょう。
冗談はこれくらいにして、ざっと読んだ印象は「色んなモンが混ざってるなあ」ということ。表紙の絵、金髪で青緑色の服の「小人さん」を見て、一瞬、りぼん黄金期の名作「銀曜日のおとぎばなし」の主人公を重ねてしまったのは私だけでしょうか。千尋と言えばまんまジブ●のアレだし、金色の髪に何か不思議な力がある赤ちゃんが拉致されるってのも、デ●ズニーのアレでは。
なんか、惜しい。
千尋という名前や、ラプンツェルの金髪という既知の設定に、私のような読者がつい引っ張っられてしまうのはもったいない。この作者さんなら、ちゃんと自分のオリジナルのものに咀嚼して送り出す力があると思います。このお話、転生した主人公が前世の記憶や知識を元に、厨房を舞台に料理で活躍する、というのは今までの転生モノになく新しい展開ではないかなと。2、3歳の幼児の中身が実はアラサーのOL。現代日本から中世あたりのヨーロッパの王族の城へとタイムトラベル的な転生の利点が生かされてます。絵は可愛いし、主人公を最初に助けた見習いコックさんをはじめ、人物の表情、とても優しくて良いですね。転生モノはなぜか悪役の表情や台詞の鬼畜っぷりに全精力を集中してるかのよーな作品が多いので疲れることがあります(それ読んで主人公のリベンジ見てスカッとする、という読者もいるだろうから一概に良い悪いは言えないのですが)。これは今のところ優しい世界線で安心して読めますね。ほんの小さなたったひとコマの顔の表情だけでも、作者の人間性はちゃんと出ると私は思ってるんですね。必死で食べる子どもを前にした見習いコックさんの表情、これを見て私はこの作品のレビューを書きました。
-
3
あなたのお城の小人さん ~御飯下さい、働きますっ~(コミック)