5.0
犬馬難鬼魅易
レビュータイトルは中国の故事。皇帝から「何を描くのが一番難しいか」と問われた宮廷絵師曰く
「犬や馬といった、誰もが見慣れているありふれたものはごまかしがきかないので描くのが難しい。ゆえに、鬼のような化け物などは描くのが容易です」。
猫もまた、どこにでもいる見慣れた生き物ゆえに絵描きの画力が問われる対象物であろう。デフォルメしてかわゆく描かれたり写実的なリアルタッチで描かれたり擬人化されて二本足で立ったり、漫画の中に無数に登場するさまざまな猫を見てきたが、漫画の中の猫はなぜか、必ずどこか違和感を感じることが多い。私の中の、「猫」という生き物へのイメージが強すぎてそうなってしまうのかもしれない。
ヤマザキマリさんも、猫と作家をテーマにした対談集の中で、猫を描く難しさについて語っておられた。それを読んで、強すぎる愛が絵の邪魔をすることもあるのかも、と思った。
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アラビア猫のゴルム