赤い雲さんの投稿一覧

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41 - 50件目/全90件
  1. 評価:5.000 5.0

    オリンピックは平和の祭典

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    テレ東でやってた粘土アニメ「別冊」を先に見ました。パンデミックのせいで日本のオリンピック需要が全部ポシャってしまったのがまた、あのアニメのトホホなテイストに合ってて良かった。ほとんど狂気を感じさせる熱唱の「ウィリアム・テル序曲」のオープニングから、吟遊詩人ホニェーロスの古代ギリシャトリビアつきのエンディングまで、5分間とは思えない、最高に濃くてバカな内容。(謎のお菓子トリヨンの歌は私のヘビロテ)片桐さんの演じるドケチでせこい村長のイメージがあったので、原作を読んだ時に「あれ?原作、村長まともな人だ」と驚きを隠せませんでした。
    アニメの話ばかりしてしまいましたが、この作品も本当に凄い漫画です。「テルマエ」はローマという大文化都市、タイムトリップ先は現代、西暦2000年代の日本。ローマ帝国至上主義の真面目で仕事熱心な堅物男の技師ルシウスが主人公。風呂がテーマなのでタイムトリップは水、またはお湯の中でした。今回の舞台は古代ギリシャ。タイムトリップ先は東京オリンピックで盛り上がっている1960年代の、おそらく東京の住宅街。ギリシャ文化を研究する大学教授かなんかの家にお邪魔します。気が弱くて内気で争い事が嫌いなオタクの職人デメトリオスが、雷や花火といった眩しい光(ゼウスの武器は電撃)がキーとなってタイムトリップします。テルマエファンにとってもたまらないです、こーゆーの。テーマがスポーツだからなのか、オープニングからギリシャの太陽と大自然の中でのびのびと躍動する身体、そしてデメトリオスの笑顔がとても開放的でこの作品を象徴しています。東京オリンピックで沸いていた当時の東京の人々の、明るく楽観的な様子も和やかで、デメトリオスの心を癒します。老学者先生の解説もいいですね。特に盆踊りの回。そういう意味があったのか、とこの漫画でしみじみ理解しました。今生きている人の楽しい様子を見せることが、死者への何よりの捧げ物であると。東京2020の閉会式も盆踊りやってましたけど、悪いけれどアレ見てもなんか何ひとつ刺さりませんでした。どんなに大掛かりなことをやっても、伝える力が上っ面では決して伝わりません。この作品では、気弱なオタク青年の心情を通して、楽しそうにスポーツに興じる人々の笑顔を通して、世界平和を一途に願う強い思いがきちんと伝わります。あと、デメトリオスの萌え絵の壺、欲しい!

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  2. 評価:5.000 5.0

    犬馬難鬼魅易

    レビュータイトルは中国の故事。皇帝から「何を描くのが一番難しいか」と問われた宮廷絵師曰く
    「犬や馬といった、誰もが見慣れているありふれたものはごまかしがきかないので描くのが難しい。ゆえに、鬼のような化け物などは描くのが容易です」。
    猫もまた、どこにでもいる見慣れた生き物ゆえに絵描きの画力が問われる対象物であろう。デフォルメしてかわゆく描かれたり写実的なリアルタッチで描かれたり擬人化されて二本足で立ったり、漫画の中に無数に登場するさまざまな猫を見てきたが、漫画の中の猫はなぜか、必ずどこか違和感を感じることが多い。私の中の、「猫」という生き物へのイメージが強すぎてそうなってしまうのかもしれない。
    ヤマザキマリさんも、猫と作家をテーマにした対談集の中で、猫を描く難しさについて語っておられた。それを読んで、強すぎる愛が絵の邪魔をすることもあるのかも、と思った。

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  3. 評価:5.000 5.0

    豪華絢爛という言葉はこの漫画のためにある

    各メンバーで一番好きな回
    ・清四郎→悠里と婚約する回。清四郎の合理的すぎて冷たくてやや傲慢なところ、実は結構やなヤツ?なところがよく表現されていたと思う。でもやっぱり秀才は天才に敵わないのよね…・弥勒→グループ内で喧嘩して、3-3で敵と味方に分かれてクイズ大会に出場する回。常日頃から清四郎へのわだかまりが溜まってたのが爆発。いつもらクールで飄々とした弥勒の人間臭いとこが見られて良き回だった。・美童→豪華客船旅行中の船上パーティーで、自分にそっくりのプリンセスに一目惚れしちゃう回。「僕はしがない大使の子」とかなんとか言いながら己に酔いしれてたな。美童はナルチシズムの権化だが彼女はそうではなかったというオチがいい。・可憐→中東の王子様と恋に落ちる回。イケメンの玉の輿に乗れるビッグチャンスだったが、さすがの可憐も野望のために一夫多妻制を受け入れることはできなかった。・野梨子→小等科〜中等科時代の有閑倶楽部の回。「わたし 宝石を見つけたわ」の笑顔がキラキラしてて素敵。・悠里→和尚の初恋の女性の霊に身体を乗っ取られる話。やたら積極的になり、乙女の表情がカワイイ。
    登場人物全員がお酒の名前ってのが本当に気が利いてる。黄桜、白鹿、剣菱など、その名のイメージと容姿がピッタリ。特に美童(ビドー)!よくぞ!って感じ。一条先生の美的センス全開である。
    この漫画の最強キャラは、やっぱり悠里のお母さんだろう。初期のお母さんは悠里を心配して涙を見せて狼狽する上品なマダムだったが、途中からなぜか風格と迫力出まくり。夫と娘の命を救うためなら大物ヤクザの家にも単身乗り込み、顔色一つ変えずにガチのロシアンルーレット勝負を受けて立つ男前に豹変を遂げた。美童のおばあちゃんもキレると過激だったし(斧を振りかざして家宝の家具をブチ壊す)、ええとこの奥様が結構エキセントリックなのも有閑倶楽部ならではだったなー。
    あと、ファッションが素晴らしいのよね。聖プレジデント学園の制服がオシャレ!男子の夏服が蝶タイなとこがかわいかった。

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  4. 評価:5.000 5.0

    蘭丸くんの健やかさが割と救いです

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    とにかくヒロイン2人の格差がひどい。「お嬢さまのシオちゃんが没落と共に闇堕ちしてゆき、健気で貧乏なモエちゃんがスターダムにのし上がるの?」と思わせといて、実はモエちゃんの方が闇堕ち担当。貧乏になった直後、シオちゃんには超太客の若社長が近寄ってきて、金にモノ言わせて婚約者という名のパトロン契約をしてくれます。美しいけれども人に対して無関心無愛想だったシオちゃんは、逆境の中で少しずつ人の情けを知り、自分自身のドロドロの嫉妬心を知り、承認欲求の渇望も知り、プロとしてお金を稼ぐ厳しさも知り、叶わぬ恋の苦しさも知り…と、結果的に人間的に良い方へと成長してゆく。対してモエちゃんは成長というよりは、意地悪した人に仕返ししたり、シオちゃんに嫌味を言ったり、ドンドンすれていっちゃう。いや、この子はシングルマザーの母ちゃんが超アレだし、小さい頃からお金の苦労してて気の毒だとは思うんだけど、恋人にすると重すぎてめんどくせえ女じゃないかなあ。押し切られてやっちゃってましたけど若社長。「男ってこういうタイプの女に情で迷うこともあるもんなのよ」と一条先生に諭されてる気もします。にしてもな、この2人の留学先での雲泥の差よ。ホントに一条先生、残酷。モエちゃんのイタリア留学先は、下宿が手違いで住めない、大家はアバウトで責任取らずにモエちゃん放り出される、しかも下宿先手配した若社長んとこは完全シカト。これだけでも相当不運なのに、こっから更に…ちょっともう…言葉を失うほどの人間不信トラウマ確定コース。片やウイーンのシオちゃんは、若社長の秘書が同行して何もかも手配してくれて、特別枠の空席オーディションにも合格して、豪華なアパルトマンで留学生活のスタートを切るセレブコース。その後もなんやかんやで良い師匠に巡り合い、仲間もでき、チャンスを掴むために必死で努力し、報われてゆくとこは心があたたまります。
    しかし、問題は賛否両論のラストです…さすがはあの「デザイナー」の一条先生、「砂の城」の一条先生ですよ。一筋縄の単純なハッピーエンドにしていただける訳がございません。いーい感じにモヤモヤ〜っとする終わり方なんだよなあ。まさかのモエちゃん●●!私同様に驚嘆した読者も多かったことと思います。
    ちなみに私の推しは、蘭丸くんが弟子入りする境界性人格障害ぽい天才女性ピアニスト。こいつの性格マジ最悪笑 でもそこが好き笑

    • 6
  5. 評価:5.000 5.0

    推しは近松かなー

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    これはカッコいい。主要メンズが全員男前。杏ちゃんは可憐で玉緒さんは凛々しい。課金一話のポイントが他に比べてダントツ高いけど、それも仕方ないなと思わせるクオリティ。新宿に出てきたばかりの謎の田舎者・雪人の正体が割とあっけなく明かされたので、そこで一回拍子抜けしたが、ぐいっぐい読ませられた。実際のヤクザはきっと、近松みたいな微妙な立場の外様幹部がリアルなんだろうなと。でも、何も考えず宮本を押しのけてのしあがって行けばいいのに、宮本へのリスペクトが捨てられない、自分ではなく憧れの宮本こそ組の頂点に立って欲しい近松が、良いんだなあ。自分のこれまでの苦労を無にされたってキレて、住み込みの屈辱を味わわせてやんよ!って、愛憎引き裂かれまくりよね、そんでそう言いながら、宮本が自分の下で頭を下げる姿を他の幹部に見せるなんて絶対に嫌ああー!ってのが泣かせるのね。なんだ結局男が惚れる男・宮本がイケメンすぎるよ!って話になっちゃうのね。

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  6. 評価:5.000 5.0

    あたたかい人

    第一話が畳み掛けるように早足で、ちょっと性急な感じで、哲司くんと同じくらいパニックになったけど、状況と設定が少しずつなんとか頭におさまった。成仏とか天使とか、宗教が混ぜ混ぜだけど、まあこの程度なら良いと思う。全てのキャラが深く魅力的だけど、特に哲司くん。最初、読者の誰も、見るからにモブなこの男の子がキーマンになるとは思わない。それが、凪の一言「あなたの魂はとてもきれいなのに」ハッとしましたね。私たちの曇った目では見えないものを、凪は教えてくれる。そして普通の漫画なら、凪のお相手はどう考えても嵐でしょう。嵐本人もそのつもりだったでしょう。いや、おみそれしました。

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  7. 評価:5.000 5.0

    ひとつのモード

    登場人物のファッションのディテールが素敵ですね。全裸にセーラー帽も、なんかおしゃれ笑 ミステリアスな導入。しかし、数十年前のヒロインはキスされるシーンは、キスってだけでとんでもなく劇的で、「ズキュウーーーン」だったのに、現代版ジョジョのヒロインは「一回キスしたくらいで…」。うーん、時の流れ?単にキャラの差?

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  8. 評価:5.000 5.0

    ダンス・ノーブルへの道

    女の子だとプリマへの道ですが、これは日本の普通の男の子がバレエを目指すと確かにこうなるだろうなーという世界。絵に多少癖はあります、ていうか、バレエに限らずBーBOYなどの現代のダンス、フィギュアスケートや新体操などの芸術点を競うスポーツ、歌舞伎やその他、およそ舞踊と呼ばれるジャンルの漫画は、みんな絵に癖がある先生が描いてると言っても過言ではない笑 「天才的ライバルへの嫉妬」「致命的な身体コンプレックス」「殻を破れない」「貧困」「恋愛」…などなど、主人公は最低一度は闇堕ちし、このジャンルはその理由に全く事欠かない。元々いくらでもドラマチックに描けるのが舞踊モノなのだ。それゆえに、主人公が最初に踊るダンスの場面がとても大事、それがダメならその漫画は失敗だと言っていい。これは素晴らしい。バレエに「一目でやられちゃった」男の子!そこに引き込んだ男性ダンサーの美しさ、見事です。これぞ王道。素晴らしいモノに触れてしまい、自分も同じ道を志す少年少女の魂を溶かすのは、間違いなくこういう舞台とスターでないといけませんよ。会話のセンスが良いので、ちゃんと漫画としても楽しめる。…でもやっぱり、この男子、日常的に舞台メイクしてんのかしら?と思うくらい濃いアイライン、少し引く。

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  9. 評価:5.000 5.0

    女性の身体を描かせたらピカイチゆうき先生

    バーディーがとても美しい。現実感のある色っぽさなのだ。(例えば「パトレイバー」に出てくる思春期の少年バドが、お世話係の女性の胸元にドキドキする、そしてある夜ついに、ちゃっかりその乳房にかぶりついたままスヤスヤ眠ってしまう→エロ半分母恋しさ半分のおっぱい願望がすごいリアル…)。独特の生々しさというか、エロ、それだけでもこの漫画は楽しめる。

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  10. 評価:5.000 5.0

    痛みと喪失感

    私の母は東京大空襲の日に高い階段から落ちて、命は取り留めたが左足のくるぶしの脊髄を損傷した。歩行可能ではあるが、障がい者手帳を持って90歳で死ぬまでを過ごした。母の中に「たられば」はない。ないが、すずさん、あなたの住む世界には、母は生きられませんでした。なんてうつくしい世界なのだろう。

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