殿下も必死。皇太子としての責務も果たしつつ、黄麒宮の前で粘る。
あの皇后の息子だけあって、賢い人ではあるのだろう。冬雪の短い言葉を聞いて、なぜ玲琳が口止めしてるのかを悟ってる。
だけどそれを聞いて皇太子という立場を呪わしく思っちゃってる。立場に縛られてるのは事実なんだけど、この人の場合はむしろ自分で縛って、目を曇らせてないかな。
確かに今玲琳と話せれば、何が起こっているのかがわかり、解決のための手段も講じられる。
だけど殿下が玲琳に会いたいのは、一刻も早く詫びたいから。
今そこなの? 玲琳は皇后を救うべく奔走してるのに?
そういう意味では、玲琳に会うために、慧月を罰しない証として冠を取った姿を晒す殿下は滑稽だ。今一番大事なことを見誤るようでは、玲琳の心など得られまい。(見誤ってなくてもどうだか···)
普通のヒーローならヒロインが第一で、ヒロインを安心させるための行動が正解だけど、残念ながら殿下は違う。
殿下の気持ちはわかる。
最愛の人なのに取り返しのつかないことをしてしまって、とにかく詫びたいし、自分のことを今どう思ってるのか心配なのだろう。
だけど恐らく玲琳は大して気にしてないのでは。知らぬ顔を見て衝撃は受けただろうし少しは傷つきもしただろうけど、仕方のないこともわかってるし、冬雪にしたように謝罪を受けて終わりでは? むしろ慧月を処罰させない為の取り引きに使うかも。
今殿下に知られては(知られてるけど) 慧月は罰せられてしまうし、恐らく皇后も願うであろう朱貴妃を救うこともできなくなってしまう。
殿下が目を瞑ってくれても皇帝はそうはいかないだろうし、だから今殿下には静かにしといてもらいたいと、玲琳は思うだろう。
自分の罪悪感を消化するのはあとにして、皇后を救って丸く収めるのに協力してください。それからなら詫びも聞きますから。
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ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~
037話
玲琳、乗り込む・後(2)