4.0
人物や自然や、暮らしが息づく描写が秀逸!
だからこそ、物語の表現が端折りすぎで勿体無い!
コミカライズするには、話の面白さを、先ずは、出さないと惹きつけられないのは判る。絵柄が少し個性的だけど、丁寧で微細な表現は素晴らしい。全体的に統一感が有って、見応えも有る。
だからこそ、感情の動きにつながる、些細な、だけど重要な部分が、割愛されているのが、惜しい。
最初、何か物足りなさを感じて原作を読んでから、改めて見直すと、成る程とは思うのだけれど、少し走り過ぎる気がする。
だが、この作品は推せます!原作が面白いから!単なる花嫁候補選定話では有りません!
確かに、結果的には最終候補者(婚約者ではなく、候補)が選ばれるのですが、この1連の企画は、或る重大な出来事を炙り出すための作戦で…。
其の為、候補者として挙げられた令嬢の調査にやって来た、検分役で、かつ王子の身代りも務める護衛騎士の伯爵家三男のカイルと、資源に恵まれず災害も多いが、ソレを少しずつ改良し改善してゆく(実は、転生者)の辺境領地の男爵令嬢ライラとの、恋のお話し。転生モノとしては、少し新しい切り口で、現実の世界よりも、前世での顔も名前も思い出せない「彼」への想いが、強いところが胸に迫ります。転生って、経験する事は無いけれど、どれもコレも、ああもすんなりと現実を受け入れられるのか?前世を大いに引きずって、葛藤し乗り越えて、現実に馴染んでゆくのでは無いかと、思わせるリアルさが、この作品には有ります。
恋愛要素は、薄めかもしれませんが、異世界の物語を、堪能出来るしっかりした作品です。
個人的に残念に思う点は有りつつも、総合表現は素晴らしいので、作品世界を楽しみつつ、彼らの幸せな結末を見届けたいと思います。
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荘園経営に夢中なので、花嫁候補からは除外してください