5.0
これも80年代
少女漫画が竹宮惠子から内田春菊へ移る実験期。作家性が模索されていたけど、共有の物語は失われていた。新しいトレンドを無国籍と形容するのが流行ったけれど、それは単に歴史がないというだけのことだった。吉野朔実は痛々しかった。
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少女漫画が竹宮惠子から内田春菊へ移る実験期。作家性が模索されていたけど、共有の物語は失われていた。新しいトレンドを無国籍と形容するのが流行ったけれど、それは単に歴史がないというだけのことだった。吉野朔実は痛々しかった。
これもあれも80年代、ちょうど「鬼龍院花子の生涯」なんて小説と映画が喜ばれていた。あれが「かっこいい男」「健気な女」の最高モダンな限界だった。少女漫画は男の子からもお父さんからも無視されて、理想のイケメン・理想のお転婆を作り上げた。結局2020年代、残っているのはこちら。槇村さとるは今でも読めるのに、当時の少年漫画が古びたことと言ったら。
バブル最中の日本の六本木、渋谷、港区!この時代の若者たちは、いつか繚乱日本が歴史的記念物になるなんて思いもしなかった。特に女性。ただただ、母親と一緒の人生は嫌だった。ロックもジャズも、西海岸も、彼女たちの服だった。
画力があるとかどうか、素人には分かりませんが、漫画でしか実現できない伝え方があると痛感しました。漫画でしかありえないのか、まずはっきりとした表現のイメージがあって、漫画は必然として生み出されたのか。そこまで考えてしまう。漫画家を模倣している漫画家が多い中で、漫画という表現方法を自ら生み出したみたいにすら思われる作家。
紛れもなく、面白い。つまり、血湧き肉躍る面白さ。活劇の面白さと人間喜劇の面白さ。デュマの面白さであり、少年探偵団の面白さであり、漫画の真骨頂。作者の天才だけじゃないと思う。時代が生み出した物語だと思う。カリカチュアになってしまった現代では、この時代の漫画の底力は残っていないと思う。
眼から鱗の啓蒙マンガ。マンガの本分を見事にやりとげてますね。すごいインテリジェンスと才能の作家だと思います。嫉妬します。
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少年は荒野をめざす