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切ない話
たった15年後に、元の領地で元恋人・また元婚約者に出会ってしまうなんて…最初は2人だけの問題だったのに、元婚約者が出て来た辺りから少し見方が変わりました。元々「ライウスの悪魔」と呼ばれた人でしたが、彼の苦しさも胸に迫ります。たまたまそこで、元婚約者のお嬢様に出会ってしまい、カイドに対する憎しみが何倍にも膨れ上がってしまった事でしょう。過去だけでなく現在も彼女の心が自分にはない事を、思い知らされたから…それが余計にお嬢様に対して皮肉と罵詈雑言になって、余計に嫌われる事になって…私は1番の罪人はカイドだと思います。もちろん悪行領主を倒すのが目的なので、お嬢様の家族とか婚約者の「ライウスの悪魔」が残虐に死ぬ事になっても、それは正しいです。しかし分かっているのに、何故恋仲になったのでしょう?恋仲にならなくても、証拠は集められたはず。まあ若気の至りかも知れませんが、リーダーになるような男ですから、だからこそ一番残酷な仕打ちです。物語としては面白いですが、カイドは好きになれません。「女は愚か」なんて古臭い言い方はしたくはないです。しかし「恋は盲目」は今でも古臭くない言葉です。お嬢様は生まれ変わって「シャーリー」になっても「恋は盲目」なんでしょう。カイドは色々理由はあれど「恋は盲目」になれなかった人です。だからひたすら許される道を考えてしまうのでしょう。考え方に依っては「ズルい人」です。それが分かる元使用人達は、カイドを見張るのです。最初にそれを読んだ時にはいまいちピンと来ませんでしたが、渓流で2人が心の内を打ち明け合ううちに分かりました。未だにウィル=ティムが生きていて、あるいはまた生まれ変わって復讐に来るかも知れませんが、その時こそカイドも「恋は盲目」になって欲しいですね。そうでないと、不公平です。ちょっと斜めから見ることになりますが、結末が気になるお話です。
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狼領主のお嬢様