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紹介は芸じゃない
申し訳ないが、私はこの芸人を面白いと思ったことは一度もない。
裁判の傍聴は興味深いかもしれないが、この芸人がやっていることは結局のところ「紹介」に過ぎず、「紹介」は「芸」ではない、と思うからだ。
漫画も全く同じで、もともと芸になっていないものをそのまま焼き直しているに過ぎず、それこそ、芸がない、としか言いようがない。
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申し訳ないが、私はこの芸人を面白いと思ったことは一度もない。
裁判の傍聴は興味深いかもしれないが、この芸人がやっていることは結局のところ「紹介」に過ぎず、「紹介」は「芸」ではない、と思うからだ。
漫画も全く同じで、もともと芸になっていないものをそのまま焼き直しているに過ぎず、それこそ、芸がない、としか言いようがない。
職場や恋愛なんかでよくある「ムカッと」を「スカッと」撃退する、という話であるはずなのだが、あまりスカッと出来なかった。
どちらかというと、モヤッとした。
その理由は明確で、この漫画の構成にある。
簡単に言うと、主人公たちが人の悪口を言い合って盛り上がるのを眺める、という漫画だ。
単なる愚痴、というよりは、他人の醜さを楽しんでいる、といった調子で。
私は、これがどうにも気持ち悪かった。
いや、あなたたちもだいぶ嫌な奴じゃないですか、としか思えなかった。
普通にエピソードが綴られるだけの展開だったら、印象は違っていただろうと思う。
自分たちはある種の正しさの中に身を置きながら、嬉々として人の醜さを語る人々もまた、醜い。
そんな皮肉を狙って描いた作品であるならば、なかなか大したものだが、まあ、違うだろうしなあ。
典型的な少女漫画、といった風情の可愛らしい絵柄で、血みどろのホラーをやる。
最初は、その奇異なバランスが独特であるような気もした。
しかし、そんなのは錯覚であって、ホラー漫画全盛期の頃には、こういう漫画は、それこそ腐るほどあったのだ。
単純に、ホラー漫画として、私は非常につまらなかった。
半端なレベルの整形ではなく、顔に「さようなら」レベルの変化というのは、文字どおり「自分を捨てる」ことに他ならないと思う。
それを別に肯定も否定もしない。
ただ、そういう人生の選択もあってよい、とは思う。
しかしもちろん、そんなこと、生半可な意志や覚悟で出来るものではない。
ましてやその目的が復讐となれば、魂のかなりの部分を悪魔に売り渡さない限り、無理である。
そういう暗く激しい力みたいなものは、この漫画の主人公からは全く感じられず、私はさっぱり入り込めなかった。
ネット上では一時期有名になった都市伝説、「杉沢村」を下敷きにしたようなストーリー。
題材としては好みの部類なのだが、申し訳ない、絵がどうにも駄目だった。
絵が上手いとか下手とか以前の問題として、特にホラー漫画には、どうしても「合う絵」と「合わない絵」があると私は思っていて、この漫画の登場人物の描き方は、致命的に思われた。
どんなに怖そうなストーリーのホラー映画でも、主演がアーノルド・シュワルツェネッガーとかシルベスタ・スタローンとかだったら、駄目でしょう。
そういうことである。
オカルトホラーと人間ホラーのミックス版。
最後まで読んだが、実に虚しい気分になった。
私は、オカルトホラーならば、通常の意味でのリアリティーはまあ、そんなに要らないと思っている。
そりゃそうだ、オバケのいる世界なら、ある意味、何でもありだ。
しかし、オバケと対峙する人間の側の行動原理には、「それなりの」リアリティーはないと、冷めてしまう。
「何でそこでそんなことするねん」という突っ込みどころは、ある程度まではホラーの「お約束」として看過できるけれど、この漫画のそれはいくら何でも度が過ぎていて、ほとんど苛立ちを感じるレベルである。
さらに言えば、「通常の意味でのリアリティーは要らない」と前述したが、それは、オカルトならば、の話だ。
恐怖の正体が人間となれば、話は別だ。
住人が、大家を含めて、子どもから警官まで軒並み快楽殺_人者のアパート。
そんなのあるわけねえのである。
私は、人間の狂気に非常に魅力を感じるし、ある意味リスペクトしているとさえ思うが、こういう種類の、人間の狂気をナメているとしか思えない描写は、いくらB級ホラーといえど、はっきり言ってムカつく。
サラッと読めてスカッと出来る、と言いたいところなのだが、イマイチ気分が晴れないのはなぜだろう。
個人的な趣味の問題だが、私は「条件」でパートナーを「検索」して、「ヒット」した相手を獲得する、というような発想が、どうしても好きになれない。
きっと、私は古いタイプの人間なのだろう。
異論・反論、受け入れるが、「条件で相手を選ぶつもりなら、条件に騙される覚悟は持っておきなさいよ」と思っている。
だから、この漫画の主人公に心から共感も同情も出来なかった。
別に「ざまあ見ろ」とまでは思わないけれど、主人公の復讐に両手を挙げて喜ぶことも難しく、まあ、一種の「化かし合い」に興じる中で、「お互い様」だろう、というくらいの気持ちにしかならなかった。
非常勤の教師が、周りから疎まれている女子生徒の相談に乗ったら、その子がとんでもない地雷だった、という話。
主人公の教師は、本気で生徒を救おうとしたわけではなく、彼女の問題を解決できれば本採用の可能性がある、という打算から行動しており、そのあたりのリアリティーは買えた。
また、主人公が理想に燃える教育者ではないゆえに、彼が酷い目に遭わされても、読者としてはあまり心が痛まない。
その点も、気軽に読める、という意味ではよかった。
ただ、こういう言い方は本当に申し訳ないのだが、ホラーとしては、絵が致命的ではないかと思う。
ホラー小説、ホラー映画、ホラー漫画、もちろん、それぞれによさがあるが、ホラー漫画の強みというのは、やはり「絵」がもたらす一撃の破壊力ではなかろうか。
(その点、押切蓮介なんかは、基本は軽い印象の絵なのに、本当に凄いと思う。)
この漫画には、ホラーとしての強さを感じさせる絵が、全くない。
というか、この絵柄で、それはちょっと無理だと思う。
この作者は、「恨まれ屋」という別の漫画でも、絵柄が「恨み」というドロドロしたテーマに合っていない、と感じたが、今回もまた然りだった。
絵の上手い、下手、以前の問題として、合っていない、というのは、私はどうしても受け入れられない。
ホラー漫画は、特に、である。
一言で表すなら、「もったいない」漫画だと思った。
「消したい感情を消せる」能力、という設定は面白いと思った。
ネガティブな感情、例えば恐怖だとか怒りだとか嫉妬だとか、そんなもの、感じている最中は誰だっていい気はしない。
だが、ネガティブな感情やコンプレックスが人間のモチベーションになり得るのはよくある話だ。
だいたい、負の感情だって欠くことの出来ない私たちの一部なのであって、その一部分だけを都合よく消去しようとすれば、人間はあっさり破綻するだろう。
そのあたりを、どう広げて、掘り下げて、ストーリーに仕立てるのか、というのが、私のこの漫画に対する期待だった。
しかし、まあーその掘り下げが浅いの何の。
「恐怖を失ったら、車に轢かれた」
「怒りを失ったら、にやにやした何か気持ち悪い人になった」
「嫉妬を失ったら、アイドルをやる気がなくなった挙げ句、狂信的なファンにバットで殴られた」
おいおい。
いくら何でも浅すぎる。
余談だか、昔ジャンプに「マインドアサシン」という漫画があった。
主人公は医者で、相手が「消したい記憶」を消せる、という能力を持つ。
設定がちょっと似ているが、はっきり言って、「マインドアサシン」の方が百倍面白いので、興味のある方は、是非どうぞ。
殺_人オークションサイトのアイデア自体は面白いと思った。
競り落とされるのはあくまで殺_人の「方法」であって、殺_人を行うかどうかをオークションの参加者が決定するわけではないから、上手い具合に罪悪感が軽減され…ということなのだろうが、そのあたりの掘り下げは浅く、単にアイデアを放り出した感が強い。
しかしまあ、新しいには新しく、「殺害方法を選べる、というだけの権利に億単位の金を払う人間がいるわけねえだろ」というツッコミは、ひとまず飲み込んだ。
しかし、ストーリーの整合性のなさはひどいもので、特に終盤の展開は必然性もクソもない、典型的な「どんでん返しのためのどんでん返し」の羅列であり、悲惨なほどである。
こうなると、先にこらえたツッコミが復活して、細かいことにも腹が立ってきた。
映画「セブン」や、別の漫画「ミュージアム」をかなり参考にしているはずだが、そのことにも腹が立ってきた。
根本も末端も破綻しすぎている。
いくらフィクションとはいえ、これを許容できるほどのキャパは、私にはない。
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