rokaさんの投稿一覧

投稿
735
いいね獲得
19,876
評価5 20% 145
評価4 28% 207
評価3 30% 224
評価2 17% 123
評価1 5% 36
51 - 60件目/全147件
  1. 評価:3.000 3.0

    とってつけた

    ネタバレ レビューを表示する

    復讐代行業者の話。

    普通の復讐モノは世に溢れているから、何とかアイデンティティーを出そうともがいた感はある(その努力に免じて星をひとつ足した)。

    復讐する側は読者の同情を誘う被害者で、復讐を遂げて終了、ではなく、復讐する側もろくでなしで、結局地獄行き、という展開があったのも、そこまでオリジナリティーがあるかは別として、一捻り加えようとした意向はわかる。

    だが、残念ながら、作品の大部分は空回りである。

    まず、復讐代行業者の目的(業者であるから目的は本来、利益のはずだが)やルールや信条みたいなものが、よくわからない。
    このあたり、シビアにやっておかないとリアリティーもクソもなくなるが、圧倒的に設定が緩い。

    極めつけは、おそらく本作の最大のアイデンティティーであるはずの、「物語が裏返ったわ…」である。
    要するに、復讐のエピソードを、「シンデレラ」とか「かちかち山」とか、童話や昔話に不意になぞらえるのだが、これのとってつけた感が半端ではなく、完全にすべっている。
    努力は認めるが、核のところでここまで失敗していると、高評価は難しい。

    • 3
  2. 評価:3.000 3.0

    死ぬ気で愛して

    主人公二人の罪を容易に肯定できるかは別として、作品のスタート地点では、私は二人に幸せになってほしいと願った。
    私は阿呆なロマンチストであるから、独善的であれ何であれ、愛を応援してしまうフシがある。

    しかし、である。
    読み進めるにつれて、二人を応援する気持ちは薄れていった。
    これは、他作品との比較で申し訳ないが、「私の正しいお兄ちゃん」という傑作を読んだときとは全く逆の感情の動き方だった。
    なぜだろう。

    「私の正しいお兄ちゃん」のレビューの中で、私は、主人公の二人が、嘘も秘密も欺瞞も罪も、全て受け止めて背負って、必死で許し合おうとしながら、互いのことだけは失うまいと、懸命に生きている、という意味のことを書いた。
    それが愛し合うってことなんじゃないか、と書いた。

    本作の二人は、違う。
    ものすごく冷たい言い方をすると、覚悟がない。
    二人が上手くいかないのは、基本的に、互いの過去の傷のせいだ。
    それにまつわる、自らの弱さのせいだ。
    その弱さに対しての向き合い方が、なってない。

    自分の弱さとの向き合い方というのは、二つしかないと思う。
    あくまでそれを克服するために努力をするか、弱さを愛するか、どちらかである。
    どっちにしたって楽じゃない。
    でも、本作の二人には、そのどちらにも必死になっていない。
    ちょっと雑に言えば、自分の弱さに、流されているだけだ。
    たから、受け止めることも背負うことも許し合うことも守ることも、どこか浅薄に感じられてしまう。

    何というか、もっと必死で愛そうとしてほしかった。
    何となくの幸運で続けてゆけるほど、あなたたちが選んだ愛は甘くないよ、と思った。

    • 4
  3. 評価:3.000 3.0

    丁寧さは買う

    猟奇犯VS盲目ゆえに他の感覚が異様に発達した女子高生の話。

    私は基本的には猟奇大好き一般ピーポーなので、題材としては楽しく読めた。
    また、主人公の女子高生の設定も、まあ多少の無理はあるけれど、やりすぎの域には達しておらず、漫画としてはセーフのラインかと思う。
    突っ込みどころだらけ、ということもなく、すんなり読めた。

    サスペンス漫画としては凝った構成で、わりに丹念に、また細かく作られていて、その丁寧さには好感を持った。
    これを原作なしでやっているのだから、なかなかのものだと思う。

    ただ、これは難しいところなのだけれど、丁寧に作られた「過程」の部分が楽しいかと言えばちょっと疑問で、優れたサスペンス漫画にある高揚感とか、緊張感とか、そういうものはイマイチ編み上げられていない、という印象を持った。

    • 4
  4. 評価:3.000 3.0

    取り返せないズレ

    ネタバレ レビューを表示する

    私はとにかく「美しき女性の殺_人鬼」という設定が苦手で、「そんなのいるわけないやん」と常にいっきに冷めてしまうのだが、それはあくまで「現実枠」内の作品の話である。
    本作は一種のファンタジーなので、それほど抵抗感なく読めた。

    簡単に言うと、残夢という魔女みたいな女が、超能力みたいなもので善良な人間たちを次々に殺_人鬼に変えていく。
    ただしまあ、読み始めたときに期待していたものとは大きくズレがあるのも事実で、奇怪な連続殺_人の真相が上記のようなものだった、という展開には、「はあ」という感想しか出てこない。
    そのズレによる違和感をひっくり返すような何らかの魅力があったかと言えば、それは甚だ疑問である。

    • 1
  5. 評価:3.000 3.0

    色褪せた

    90年代というホラー漫画全盛期の作品で、一部ではカルト的な人気を誇るらしいという話を聞いて、ホラー漫画好きの私としては、半ば教養科目のようなつもりで読んだ。

    が、別に今の時代に読まなくても、というのが正直な感想であった。

    悩みを抱える登場人物が怪しげな店を訪れ、望みを叶えてもらう代わりに酷い目に遭う、というのが話の基本線で、当時はそれなりに新鮮だったのかもしれないが、今となってはあまりに手垢にまみれた設定であるし、それ以上の何かを見出すことは難しかった。

    「色褪せない名作」とか「不朽の名作」とかいう言葉があるが、逆に言えば、多くの作品は時代とともに色褪せ、朽ちてゆくということだ。
    それが悪いというわけではなく、それが普通だ。

    これなら、犬木加奈子の「かなえられた願い」という漫画の方が、今読んでも、余程楽しい。

    • 2
  6. 評価:3.000 3.0

    アイムソーリー、ラブコメ

    学校を舞台にしたオカルト空間の描写はなかなか秀逸で、ときにハッとするような美しさがあった。
    ただ、そんなことがどうでもよくなるくらい、不思議なことがある。
    私はかなりのオカルト好きだし病的な妖怪好きであるが、びっくりするくらいハマれなかった。
    おかしい、これはどういうことなのだろう。

    本作、題材はオカルトだが、ジャンルはまあコメディと言ってよいのかと思う。
    それは別に全然構わない。
    私は「妖怪の飼育員さん」という妖怪ギャグ漫画が大好きで、満点をつけた。
    しかし本作をコメディとして評価しようと思うなら、申し訳ないが、私はクスリとも笑えなかった。

    まあ、本作、コメディはコメディでも、一種のラブコメだ。
    怪異という名の衣をまとったラブコメ。
    「ラブコメなんかじゃない!」と主張したい方、まあ、待って下さい。
    じゃあ聞きますが、これ、主人公が女の子、「花子さん」でも成立します?
    そういうことだ。

    ミもフタもない言い方をするが、私はこの「ラブコメ」というのが決定的に苦手である。
    というか、苦手である、ということに、今気づいた。
    別に漫画に限らず、世の中には、「私は興味ないけど、それを楽しいと感じる人がいるのはわかる」という物事がたくさんある。
    キャンプもサーフィンも私にとってはそうである。
    ただ、この「ラブコメ」なるものは、マジでわからない。
    ラブコメ好きの皆さん、ごめんなさい、でも、マジでわからない。
    これはレビューなんかで絶対に書いてはいけない一言かもしれないが、「何が面白いんですか?」

    嗚呼、今まで書いてきたレビューの中で、一番ひんしゅくを買いそうだ。
    消されるかもしれん。

    いや、ちょっと待てよ、じゃあ私は今まで読んだラブコメ漫画をどう評価してきたんだ、と思って、500以上のレビューをざっと見てみたが、信じられないことに、正統なラブコメと呼べそうな漫画はひとつもなかった。
    この数年というもの、私は無意識にラブコメの地雷を回避しながら漫画生活を続けてきたことになる。
    何だよその危機管理能力。

    ジャンル自体の否定のようなレビューになって、申し訳ない。
    ラブコメに責任はない。
    悪いのは私だ。
    ただまあ、ひとつ言わせてもらうと、私はオカルトが大好きだから、心のどこかでは、思ったのだろう。
    オカルトを、ラブコメの飾りにすんなや、と。

    • 5
  7. 評価:3.000 3.0

    ダイナミック

    ネタバレ レビューを表示する

    最初は、絵柄(特に登場人物の)がホラー漫画にあまり向いていないような気がしたのだが、恐怖表現の描写にはなかなか迫力があって、「おー」と思った。

    特に、最初の探偵のエピソードは、探偵が主人公なのか何なのか微妙な位置で始まるので、それがあっさり噛ませ犬として退場した展開には、よしよし、と思った。

    ただ、いかんせん、心霊現象がダイナミックに過ぎる。
    もちろん、私は「本物の」心霊現象がこういうものだ、ということを実感を持って知っているわけではないけれども、ここまでくるとさすがにファンタジーの域である。
    それがホラー漫画にあってはならないわけではないものの、作品にはやはり「枠組み」みたいなものがあって、本作のホラー描写は、いささかそれを逸脱しているように感じられ、あまり入り込めなかった。

    • 4
  8. 評価:3.000 3.0

    古きよき、だが

    古きよきホラー漫画時代を思い出す短編集。
    表題作は「怖い昔話」風の一編。

    これは今まで色んなホラー漫画のレビューに書いてきたのだが、幼い頃、従姉の家に行くと必ずホラー漫画雑誌が置いてあって、それを読むのが楽しみだった。
    もちろん、あの頃のドキドキみたいなものは永遠に戻らないのだが、私にとってはひとつの原体験みたいなものだったと言ってよいかと思う。

    そういうわけで、この種の漫画を読むときは、いつも一種の懐かしさと慕わしさを覚える。
    それだけで十分と言えばまあ、そうなのだが、大人になった今でも楽しめた、と言うには、本作はちょっとパワー不足のような気もした。

    • 3
  9. 評価:3.000 3.0

    比較の問題

    素人探偵である主人公の少女が、死んだ兄とコンビを組んで事件を解決してゆく話。

    同じ作者の「名探偵マーニー」という漫画があり、作品の枠組みや雰囲気はかなり類似している。
    大きな相違点としては、死んだ兄が主人公のバディ役である点で、これがもちろん、本作のアイデンティティーである。
    が、私は正直、この設定にイマイチ乗っかれなかった。
    乱暴に言えば、この設定は「要らない」と思った。
    本作がつまらないわけではないものの、比較をすれば、明らかに「名探偵マーニー」に軍配が上がるのではないか。

    作者は短編の名手であると思う。
    以前、「名探偵マーニー」のレビューの中で、「ここまで短編が上手いともう短歌とか俳句の芸の世界」という意味のことを私は書いたが、その本質は「削ぎ落とす」ということに他ならない。
    限られた尺の中で十分にドラマを描くためには、余計なものはことごとく削ぎ落とさなければならない。
    それこそ、肉を落とされた骸骨のように。

    しかし、「死んだ兄が相棒として存在している」というのは、結構重たい「肉づけ」なのだ。
    この存在がある以上、主人公にも、兄にも、見せ場を与えないといけない。
    また、本作は悪事に手を染める人間のバックグラウンドに、人の悪意を具現化したみたいな霊的な存在(イメージは「ホムンクルス」という漫画のそれに近い、本質的には全然違うけど)も描いているので、その描写も必要になる。
    結果、限られた尺の中では許容量オーバー気味になり、詰め込まれた要素は増えているのに、話としては薄くなっている、と感じた。
    また、「名探偵マーニー」で感じられたような「削ぎ落とされた短編の美学」みたいなものも、かなり目減りしてしまっている気がした。

    ただ、仮に「死んだ兄が相棒」の設定をなくすと、これはもう、「名探偵マーニーと同じじゃん」ということになり、何か変化をつけるしかなかったのはわかる。
    が、正直それならもう、「名探偵マーニー2」でよかったんじゃないか、という気がしないでもない。

    まあ、これら全て比較の問題であって、純粋に本作を見た場合、私の評価はちょっと厳しすぎるかもしれない。

    • 2
  10. 評価:3.000 3.0

    実在、はともかく

    アパレルの接客業で働く主人公が、次々と舞い込んでくる心霊関係の依頼を圧倒的な霊能力で解決していく話。

    あくまで漫画単独としての評価であり、主人公のモデルが実在した霊能者であるとか、そういう話はいったん置いておく。

    テンポよくサクサク読めるけれど、心霊漫画として特筆すべき点を私は見出だせなかった。
    いわゆる「実話に基づく」という枕がなければ、大して印象に残らなかったと思う。

    今まで様々なオカルト媒体から得てきた知識を凌駕するようなものも特になく、「やはり本物の霊能者が言うことは違うな」みたいな鮮烈なインパクトも説得力もなかった。

    結構な量のレビューを書いてきて、初めてこの話をするが、私は正直、幽霊の存在は、まあまあ信じている。
    一度だけ、多分、幽霊を見たこともある。
    ただ、「霊能者」の存在には、どうにも胡散臭さを感じてしまう。
    これは、世の中にエセ霊能者が溢れているせいなのだろうが、いずれにしても何かを信じられないというのは、残念という他にない。

    • 3

設定により、一部のジャンルや作品が非表示になっています