rokaさんの投稿一覧

レビュアーランキング 1位

作品レビュー
投稿 725件 / いいね獲得 19,622件
話コメント
投稿 0件 / いいね獲得 0件
  • 新着順
  • ネタバレあり
  • 全ての評価
並び順
ネタバレ
その他条件
評価
検索条件変更変更しないで閉じる

41 - 50件目/全92件

  1. 評価:3.000 3.0

    交換殺_人の是非

    それぞれ人生に絶望し、殺したい相手がいる三人の女性たちがインターネット上で知り合い、交換殺_人を実行する話。

    復讐モノというよりは、「こいつを殺さなければ自分の人生が駄目になる」というような相手をそれぞれ殺_すわけであって、このあたり、動機部分にはまずまず説得力があった。
    復讐であれば、「復讐のためにそこまでやる?」という部分にリアリティーを与えるのが難しいのだが、本作はあくまで自分が生きるために、という位置なので。

    ただまあ、プロット自体は平凡で、特別に退屈もしなかったけれど、盛り上がりもしなかった。

    だいたい、この交換殺_人というのは、正直、どうなんだ、と思う。
    縁もゆかりもない相手を殺_す以上、実行犯は疑われない、動機がある人間はその時間アリバイ完璧、となるから、警察の目をくらます、という意味では、不謹慎ながらお手軽な手段なのだろう。
    しかし、強_盗とか保険金目当てならともかく、個人的に怨みがある相手を葬るのに、他人の手を汚す、というのは、いかがなものか。
    私は主人公の女性三人に味方する立場で読みはしたけれど、人を殺して自らの人生を切り開かんとする以上、その相手の血で汚すのはやはり、自らの手であるべきではなかろうか、とは思った。

    • 3
  2. 評価:2.000 2.0

    お前は私のキャパを超えている

    マッチングアプリで出会った女の子に即日実家に誘われ、ホイホイ着いていく。
    その実家の村への道すがら、「この先命の保証なし」という立て札があるのに「あんな注意書き本当に存在するんだな」で流す。
    村の入り口がまるで刑務所だと感じながらもスイスイ入ってゆく。
    「景観保存地区」だからと、バッグにスマホに鍵に時計、全て取り上げられて平然としている。
    マッチング彼女に胸を押しつけられただけで「まあいっか」とリセットされる。
    この全てが、冒頭の第一話で提示される主人公の姿である。

    駄目だ。
    お前はいくら何でも私のキャパを超えている。

    まあ、一話でレビューを書くのも失礼だから、それなりに読み進めてはみたけれど、共感できるとかできないとかそういうレベルではない主人公の馬鹿さ加減をリカバリーできる要素は、特になかった。

    • 29
  3. 評価:5.000 5.0

    突出した奇異なバランス

    とても素晴らしい作品集だと思ったのだが、上手く言葉を探せなかった。
    ここまで言葉が出てこないことは珍しい。
    私は自らの言葉の乏しさに久しぶりに失望した。
    何なんだろう、これは。

    多分、突出しているのは、バランスなのだと思う。
    登場人物(特に女性)の切実な感情や、繊細な揺れといったものを、決して重くならない中で、かといって軽々しくでもなく、あくまでゆるく、ふわっと、スライムのような質感で描く、という絶妙なバランス。

    本当はもっと「笑えない」類のシリアスな物事が、SFだったり、巨大ヒーローだったり、UMAだったりによってある種のパロディ的な方向に緩和されているが、ポップな中で、核となる生傷の痛みのようなものは鮮やかに息づいたままである、という奇異なバランス。

    天秤の両方に同じものを載せてつり合っている、という種類のバランスではなく、小さな金塊と巨大な綿あめでもってつり合わせているような、その独特のバランスが凄い。

    そういったバランスが多分に、論理的にでも計算づくでもなく、感覚的に積み上げられていて、いささか差別的な言い方になるが、実に女性的な漫画だと思った。
    「枕草子」が当時、女性にしか書けなかったように、こういう漫画というのはおそらく、男性にはなかなか描けない。
    その感覚的な部分というのは、本質的には言語化と相容れないものであって、私なんかの言葉が追いつかないのも、それと無関係ではないと思われる。

    私はとにかく「ツチノコ捕獲大作戦!」が大好きで、何度も何度も読み返した。
    それは多分、これが「したたかな女の子と情けない男の子」、両方の本質を鋭敏に貫いた話だったからだろう。
    幻想を見るのも夢に破れるのもいつも男の方よね、というひとつの本質を、あり得ないくらい的確に、これ以上ないくらいミニマルに、悲劇と喜劇の完璧なバランスの上で成立させた、離れ業的な傑作である。
    これ以上に素晴らしい短編漫画のラストシーンを、他にほとんど知らない。

    • 3
  4. 評価:4.000 4.0

    貞ちゃんの心象風景

    例えば「番町皿屋敷」というクラシックな怪談がある。
    井戸からお菊ちゃんが出てきて「いちま~い、にま~い」と皿を数えるアレである。
    これは当然、怪談の古典、悪く言えば時代遅れだ。
    「いや、井戸とかねえし」というのが現代だからだ。
    「皿割っちゃった?メルカリで買えばよくね?」というのが現代だからだ。

    「リング」はもう、このあたりから凄くて、「井戸」という古典の怖いモチーフを踏襲しつつ、貞ちゃんは井戸から出てきてしかもテレビから出てくる、という二段構えであって、「いや、井戸とかねえし」という現代人の安全圏を取り払った。

    しかし、そこからまた、時代は進んだ。
    「呪いのビデオ」なんて言われても、もはやVHSなんか誰も見ない。
    かといって「呪いのBlue-ray」とかだと、イマイチ怖くない。
    実のところ、貞ちゃんもいつの間にか「時代遅れ」になったのだ。

    本作は、終末世界を行く二人の少女と貞子のロードムービー的な漫画なのだれけれど、人類がほとんど滅びてもう呪う相手がいない、という世界は、何だか現代における貞ちゃんの心象風景みたいに感じられた。

    無邪気な二人と、どこまでいっても悪霊でしかない貞子の、決して大団円を迎えるはずのない、可愛らしくもどこかもの悲しい道行き。
    結末はわかっていたはずなのに、それでも少しだけ、胸が軋んだ。

    そんなふうに作品を閉じかけておいて、ラストのラスト、貞子をもって「いや、私ってホラーの人なのよ」と唐突に主張させるような幕切れが、実に素晴らしい。

    現代において改変され増殖され消費され続ける貞ちゃんの物語の中で、唯一、本作はちょっと、腑に落ちた。

    • 6
  5. 評価:2.000 2.0

    許されない改変

    「タイトルがネタバレじゃん」と思ったのだが、原作のルポがあると知り、それならまあ、その点は仕方ないか、と思った。

    冒頭は「保護者サイド」の視点から描かれ、その後、同じエピソードが「教師サイド」の視点から描かれる。
    両者は全く別の内容であって、このあたりは、漫画ならではの演出で、なかなか面白いと感じた。

    実際の事件について、ちょっと気になって調べてみたが、とんでもない話で、親の異常性、学校および教育委員会のことなかれ主義とその脆弱性、浅薄なマスコミの無責任など、様々な問題を孕んだ事件であった。
    この事件を教師サイドに立って取材したルポの存在自体は貴重であるし、その漫画化を否定するつもりもない。

    しかし、原作がフィクションではなくルポルタージュである以上、原作の改変は絶対にまずい。

    まず、主人公の教師の年齢が全く違う。
    現実では46歳とのことだが、漫画ではかなり若く描写されている。
    おそらく漫画の主人公としての見栄えを考慮してなのだろうが、それはやっちゃいけない。
    フィクションなら何でもありとは言わないが、どういったってノンフィクションは、事実に対して一定の責任を負わざるを得ない。

    この改変があった時点で、私はこの漫画の全てを信用できなくなった。
    仮に原作のルポが真摯な取材に基づいて書かれているのだとしても、この漫画がそれを忠実に再現しているのかどうかは、甚だ疑わしい。

    • 4
  6. 評価:3.000 3.0

    ジョークとしては

    よくあるデスゲーム系、なんて言うのもはばかられるくらい、全てがテンプレどおりで、笑ってしまった。
    これをマジでやっているなら寒すぎるが、作り手の側も半分(たぶん半分以上)ギャグでやっており、それが逆に好感が持てた。
    このジャンルはあまりに手垢にまみれてしまったし、はっきり言って「真面目に読むとつまらない上に、ジョークとしても笑えない」ような作品が溢れる中、「まあ、ジョークとしては面白い」という本作は、なかなか貴重であった。
    しかしまあ、高評価をつけられるかとなると、そんなことはないのだが。

    • 3
  7. 評価:2.000 2.0

    タイトルでアレルギーを起こす

    ミもフタもないことを言うが、タイトルが嫌だ。
    冗談ではなく、タイトルは大事だ。
    ある意味、その作品を象徴するものだからだ。

    まず、こういう「とりあえずセンセーショナルよね」的なタイトルが私は大嫌いである。
    「私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。」とか(他作品へのとばっちりで申し訳ないが)ね、もうタイトルたけで知性の欠如を感じる。

    次に、「読者に問いかけちゃうわよ」的なタイトルも私は大嫌いである。
    「離婚してもいいですか?」とか(繰り返し、とばっちりで申し訳ないが)ね、お前は誰に聞いてんだ、とイライラする。

    何と本作、その両方を兼ね備えたタイトルである。

    何が「罪ですか?」だ、罪だっつーの、殺_人は罪だっつーの、法治国家ナメんな。
    罪を遂行する覚悟を決めろ、汚れて生きることから目を背けるな、罪を正当化すんな。

    あー、またムカついてきた。
    タイトルがアレルギーを引き起こす。
    もうね、なぜ私がこれを読んだのかがね、謎だよね。

    さて、本編ですけれども、正直、タイトルほどは酷くなかった。
    しかしまあ、これで「殺された」っていうのはいくら何でも無理があるし、被害者は気の毒ではあるけれど、自らの愚かさでもって自分を追い込んだようなところもあり、そこまで同情できなかった。
    そうするとまた、タイトルにムカついてきて、私はただ、絶望するしかなかった。

    • 39
  8. 評価:3.000 3.0

    とってつけた

    復讐代行業者の話。

    普通の復讐モノは世に溢れているから、何とかアイデンティティーを出そうともがいた感はある(その努力に免じて星をひとつ足した)。

    復讐する側は読者の同情を誘う被害者で、復讐を遂げて終了、ではなく、復讐する側もろくでなしで、結局地獄行き、という展開があったのも、そこまでオリジナリティーがあるかは別として、一捻り加えようとした意向はわかる。

    だが、残念ながら、作品の大部分は空回りである。

    まず、復讐代行業者の目的(業者であるから目的は本来、利益のはずだが)やルールや信条みたいなものが、よくわからない。
    このあたり、シビアにやっておかないとリアリティーもクソもなくなるが、圧倒的に設定が緩い。

    極めつけは、おそらく本作の最大のアイデンティティーであるはずの、「物語が裏返ったわ…」である。
    要するに、復讐のエピソードを、「シンデレラ」とか「かちかち山」とか、童話や昔話に不意になぞらえるのだが、これのとってつけた感が半端ではなく、完全にすべっている。
    努力は認めるが、核のところでここまで失敗していると、高評価は難しい。

    • 3
  9. 評価:5.000 5.0

    実を結ばないその花は

    たまらなく悲しいけれど、心を洗われた。
    そんな読書体験は、なかなかあるものではない。

    まず、序盤から中盤にかけては、事件を巡る登場人物たちの証言と人物像がそれぞれ食い違い(特に被害者の恋人のキャラクターが、被害者の言と主人公の言で全く違う)、このあたり、サスペンスとして非常にスリリングで、抜群に面白かった。
    これは現代版&漫画版、芥川龍之介の「藪の中」だと思って、ワクワクした。
    何しろ芥川の「藪の中」は本当に真相が「藪の中」という作品だが、さすがに本作がそんな結末を迎えるとは思えず、着地点がどこになるのかな、と。

    後半、物語が「藪」を抜けてからは、事件の全貌がゆっくりと見えてくる。
    主人公の意図が明らかになり、「何があったのか」と「何が起きようとしているのか」がバランスよくシンクロしてゆく中で、物語は様式美すら漂うくらい綺麗に、しかし、悲しみに満ちた終幕へと向かってゆく。

    はっきり言って、主人公の「行動」には、リアリティーもクソもない。
    しかし、その執念、その情念、そして、ある特別な時代にしか持ち得ない友への強烈な思慕、そのリアリティーは、あまりに鮮烈で痛切で、「出来事」の噓臭さなんて吹き飛んでしまった。
    こういうのが、フィクションの真の力なのだと私は思う。

    タイトルの「徒花」という言葉は、咲いても実を結ばずに散る花を示す。
    何てことだ、タイトルからして伏線だ。
    しかし、実のところ本作は、咲いても実らなかった、ではなくて、実らなかったけれど、確かに咲いたよね、という物語ではなかったか。
    それは、主人公の「これでいい」という言葉と完璧に呼応する。

    エピローグのラストシーンが、信じられないほど素晴らしい。
    もちろん、見事な作画が前提にあってのことなのだが、このラストは、小説でも映画でもなく、漫画でなければ駄目な気がした。
    子どもを守ろうとしなかった大人、子どもを守れなかった大人、そして、子どもを守れなかった子ども。
    誰一人許されないようなもの悲しい世界の真ん中で、このラストシーンにだけ、唯一、本物の赦しがある。
    それはほとんど奇跡と言って差し支えないほどに、ただ静謐に、それでいて気が狂ったように、あまりにも美しい。

    • 312
  10. 評価:2.000 2.0

    人なのか駒なのか

    アラサー女性の仕事模様、恋愛模様、みたいな話なのだが、うーん、どうなんだろう。

    何だか、全てが作りものじみている。
    主人公の葛藤や焦燥も、主人公の恋人の浮気相手の悪意の塊みたいな造形も、どうにも漫画の中でその役割を演じるためだけに作られたキャラクター、という印象が強すぎて、私はまるで入り込めなかった。
    そのようなキャラクターを、私は「駒」と呼ぶ。
    作品における「駒」を全て否定するつもりもないのだが、このようなタイプの作品においては、人が駒ではやはり駄目なんじゃないか、と思う。

    • 3
ネタバレあり:全ての評価 41 - 50件目/全92件

設定により、一部のジャンルや作品が非表示になっています