5.0
異常なほど独特
正直、星を五個つけている他の漫画ほど気に入ったわけではないし、人に薦めようとも思わない。
しかし、あまりに独特な作品の空気に、半ば強引に引っ張られてしまった。
元受刑者たちのキャラクター造形の巧みさ。
現実にいたらどう考えても一緒にいたくない人間さえ、何となく許せたり、可愛らしく見えたりしてしまうところに、フィクションとしての力量を感じた。
「本音と建前」を描いた漫画なのだという。
そういう側面は確かにあるが、個人的には、読者に対してとても挑戦的な、悪く言えば、意地の悪い作品だと思った。
だって、考えざるを得ない。
元受刑者たちが来るのが、自分の町だったら、と。
「嫌だよ、勘弁してくれよ」という自己保身のエゴと、「生き方によっては許されるべき過ちもあるのではないか、必死で真っ当に生きようとする人間すら拒絶するのか」という倫理の間で、揺れる。
登場人物が、ではない。
読者が、だ。
登場人物は、そんなにマジで葛藤していない。
だってこれはギャグ漫画なのだ。
よりにもよってギャグ漫画が、読者の良心や倫理観を試そうとする。
そんなのありか。
そして、ギャグ漫画でありながら、「何かとんでもないことが起きるんじゃないか」という不穏な空気が、ずっとある。
暴力や破綻への嫌な予感が、静かな不安感が、絶えずある。
繰り返し、よりにもよって、ギャグ漫画の中で。
私は笑いながら、怯えていた。
いやほんと、何なんだ、これは。
- 13