rokaさんの投稿一覧

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評価1 5% 35
21 - 30件目/全152件
  1. 評価:3.000 3.0

    ここまでくると

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    「見当たり捜査」という地味な警察の捜査を題材にしているだけに、捜査の専門知識の丹念なリサーチに基づく本格派の刑事漫画なのかと思っていた。

    全然違った。

    ノリとしては完全に異能バトル漫画のそれで、キャラクターは敵も味方もあまりにぶっ飛んでいるというかトチ狂っているというか、これを仮に刑事モノの漫画として読むならば、今どき子どもでも笑ってしまうと思う。

    ただ、正直言って、ちょっと面白かった。
    ここまで滅茶苦茶に「崩される」と、これはこれでアリかもしれん、という気になったのだ。
    何事も中途半端は叩かれるね。
    ここまでいっちゃうと、叩く気も失せる。
    それはそれで、作品のひとつの方向性として、あっていいのではないか、とは思った。

    しかしまあ、案の定、打ち切りである。
    残念ながら、それは序盤からわかっていた。
    だって、序盤の「これからどんだけバトルがあるんだ」という敵の数と、完結している「話の数」が、どう考えても合わない。
    普通にいくと、こんなに少ないボリュームで完結するはずがない。
    ということは…というわけである。

    途中から私は、「どの時点で打ち切りが決まったのだろう」という暗いことを考えながら、本作を読み進めた。
    その暗さは、本作のテンションとはおよそつり合わず、しかしまあ、打ち切りが確定していても作品の中ではテンションを継続しなければならない、漫画家ってつらいなあ、と。
    合掌。

    • 3
  2. 評価:3.000 3.0

    先達との比較

    鬼の血を引く者(主人公はこっち側)と、桃太郎の血を引く者の異能バトル漫画。

    小学生の頃だったら楽しく読めたかもしれないけれど、このジャンルは偉大な先達がありすぎて、どうしたって「じゃあジョジョと比べてどうなんだ」とか、「HUNTER×HUNTERと比べてどうなんだ」という話になる。
    そうすると、うーん、ということになる。

    別に懐古趣味に走っているのではなく、最近だと「ダンダダン」のバトルシーンなんかはマジで凄いと思った。
    それと比べても、うーん、である。

    何か突出したものがひとつあれば、あるいは明確に新しいものがあれば、また違うのだろうが、残念ながら私はそれを見出だすことが出来なかった。

    こういう漫画はキャラが立ってナンボなのに、そもそも描き分けが似通っているのも気にかかる。

    • 5
  3. 評価:3.000 3.0

    メタファーとしての吸血鬼

    古来より、吸血鬼というのは、資本家や貴族などの支配階級が労働者や農民を搾取することのメタファーとして描かれてきた。
    本作も多分、そうなのだろう。
    そういう意味ではなかなかクラシックな作風と言える気がするし、古典的なテーマを現代のフォーマットに落とし込むという手法自体は嫌いではない。

    しかしまあ、何か物足りないな、という感想は終始つきまとい、私はあまり乗れなかった。
    ひとつには、登場人物が多すぎて、一人一人の掘り下げが浅く、かといって群像劇として機能しているわけでもなく、生き残りをかけたはずの船上の活劇が、あまりスリリングに感じられなかったせいではないかと思われる。

    • 4
  4. 評価:3.000 3.0

    気合いの入ったスプラッタ

    中身も何もあったものではないのだが、内臓でろでろ、血飛沫びしゃびしゃ、なかなか気合いの入ったスプラッタにはなっている。
    こういう作品もあっていい、というか、こういう作品があった方が世の中は健全だと思う、いやマジで、冗談抜きで。

    ただ、あんまりこういうモラリストみたいなことは言いたくないのだが、「子ども」である必要あんの?という違和感はどうしても拭えなかった。
    何となくショッキングに見えるから、というような安直さでこういう漫画に子どもを「使って」しまえる姿勢というのが、私は好きではない。

    • 2
  5. 評価:3.000 3.0

    読ませるけれど

    タイトルのとおり、様々な母親に「寄生」して渡り歩く少年の話。

    実に気色の悪い話で、生理的なレベルの嫌悪感を喚起する描写も多く、何よりまともな登場人物が一人もいない。
    どういう行動原理に基づいて生きているのか理解に苦しむ人間ばかりで、リアリティーもクソもない。
    しかし、ここまでどいつもこいつもトチ狂っていると、これはもう、ひとつの味と言って差し支えないくらいのレベルに達しているかと思われる。

    また、不思議と読ませる力はあり、何だかんだで一息に読んでしまった。
    何であれ、作品に一定のエネルギーがなければ、こうはならない。

    しかし、面白かったのかと言われると、決してそんなことはない、と言わざるを得ない。
    漫画を商品として考えるならば、まあ、読ませたら勝ちなんだけど。

    • 11
  6. 評価:3.000 3.0

    私が悪いのだ

    潔癖症の男と視線恐怖症の少女の変則ラブストーリー。

    丁寧だと思った。
    寄生虫がらみの設定も捻りが利いていて悪くないと思った。
    しかし私は、まるで作品に入り込めなかった。

    なぜだろう。
    二人の恋が排他的だからだろうか。
    いや、私は、排他的な恋愛、大いに結構、と思っている。
    それにまつわる諸々を引き受ける覚悟があれば。

    目立った非もあげつらう粗も見当たらなかった。
    ただ、好きになれなかった。
    しかし考えてみれば、恋だってそういうものである。

    一定の割合で、どうしてもこういう作品にぶつかってしまう。
    そういうとき、私は基本的に、自分が悪いのだ、と思うことにしている。
    作品に罪はない。
    そんなわけで、このレビューは何の参考にもならない。

    • 3
  7. 評価:3.000 3.0

    残念な着地点

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    都市伝説を調査する部署が警察にある、しかも主人公は不死身の刑事、という無茶な設定だが、何だかんだで結構読んでしまった。

    話の基本線は、「都市伝説の正体が実は人間」というもので、この着想自体は面白いというか、個人的に好みで、ワクワクした。
    ときには「現実的な文脈で説明がついたけれど、ひょっとしたら…」とオカルトを匂わせるような結末もあり、私はこのパターンが盲目的に好きなので、それもよかった。

    しかしまあ、肝心の「正体」の部分があまりパリッとせず、感嘆するような発想や意外な広がりや掘り下げには欠け、無理矢理な印象もちょくちょく受ける。
    スタート地点はよいものの、着地点はイマイチ、という感が否めなかった。

    • 6
  8. 評価:3.000 3.0

    そのテーマは届かない

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    人間でない生き物が人間を殺めることに、私たちはどう向き合えばいいのか。
    例えば、ヒグマが人を殺してしまう、というような問題は現代でもあるわけで、自然保護とか動物愛護とかいう側面の問題と、人間にとっての脅威という問題のバランスやその歪さ、処分するしかないだろうという正論と、そもそものきっかけを作った人間側にそんな権利があるのかという極論と、自然保護なんて人間ありきの偽善でいいのかもしれないし、とか、そもそも人間だって自然の一部なんだし、とか、まあ色々と難しくて、私なんかにはよくわからない。

    ただ、いずれにせよ、「罪」という観念自体が人間の創出した架空の産物であって、人間以外が人間に対して何をしようが、実のところ、我々はその「罪」を誰にも、というか何にも問えないのだ。

    というようなことが、この漫画のテーマとして、あったのかな、というか、うーん、あったのかもしれないな、とは思った。
    というのも、そのテーマ性みたいなものが、あまりに作品の前面に出てこない。
    正直、これは難しいところで、あまりにそれを目立って語りすぎると、説教臭い、という空気を生んでしまうのだが、それにしたって薄すぎやしないか、という思いは終止つきまとった。
    先に私が書いた諸々も、「深読みしすぎだろ」と言われたら、「まあそうかもね」と思ってしまう。
    私自身、自分の妄念かもしれないと疑ってしまっている有様である。
    それじゃ、仮にテーマがあるにせよ、読者には届かないだろうよ。

    上記のテーマは、「寄生獣」でも扱われているのだが、一種のメッセージ性と、語りすぎないドライな側面と、「寄生獣」はやはり絶妙だったな、と思った次第である。

    あと、タイトルの話だが、別に「蠱毒」じゃなくね?というのは、どうにも気になった。

    • 6
  9. 評価:3.000 3.0

    昆虫版「E.T.」

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    ある日、宇宙から(?)飛来した奇妙な昆虫(?)「オゲハ」と、主人公の少年の交流を描いた作品。
    簡単に言うと、ちょっとグロめの「E.T.」という感じの話、と思ってもらっていいかと思う。

    アイデンティティーとしては、主人公の少年がいい奴でも何でもない(少なくとも作品開始時は)、というところだろうか。
    オゲハを大して可愛がるでもなく、それこそ面白半分で虫を籠に囲う残酷な子どものように、生き物を飼う、というよりは、半ば玩具のように見ているようにしか感じられず、スーパーで購入したキャベツにくっついてきた芋虫すら真剣に育てていた私としては、てめえは生命をナメてんのか、と非常に印象は悪かった。

    が、結果的には、この主人公像がなかなか功を奏している。
    この「別にいい奴でも何でもない」少年が、オゲハと共に時間を過ごす中で、何となく情や愛着を覚えていく、何となく守りたくなってしまう、その過程は、感動的というほどでもないが、まずまずリアリティーがあったように思う。
    人間による他の生命との付き合い方なんて、現実的には結構そんなものなのかもしれないし、その「そんなもの」がわりと大事なのかもしれない、とも思った。

    • 7
  10. 評価:3.000 3.0

    障壁

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    ざっくり言うと、社会の闇に少年たちが立ち向かう、という図式の話。

    薬物だとか人身売買だとか、結構ヘビーな問題が出てきたり、仲間が死んだり、わりと悲劇的な描写もあったりするのだが、なぜだろう、信じられないくらい私は何も感じなかった。

    描き方はわりに丁寧だし、派手な破綻があるわけでもない。
    しかし、申し訳ないがこういう「社会の闇」みたいなものを扱った作品を読むと、常に私の頭には「ウシジマくん」がよぎる。
    それと比べると、これっぽっちのリアリティーもない。
    別に「ウシジマくん」が真実だと思い込んでいるわけでもない。
    しかし、過剰なほどに「きれいごと」を排除したあの強烈な漫画というのは、多くの漫画作品にとって一種の障壁になっており、「あれと比べるとね」という残酷な思いを連れてくる。

    • 4

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