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作品レビュー
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211 - 220件目/全498件

  1. 評価:5.000 5.0

    矢吹丈の哀しみ

    読んだのは高校生の頃だった。
    魅力的なキャラクターの造形、ボクシングの試合の描写のシンプルなエキサイトも印象に残るが、最も忘れがたいのは、矢吹丈という男の哀しげな目だった。
    子ども心に、「この人は、究極的には、誰ともわかり合えないのではないか」と感じたのを覚えている。
    私は矢吹丈に強く憧れながら、同時に、決定的に拒絶されたような気持ちで、ずっとこの漫画を読んでいた。
    そのようなことを漫画の主人公に対して感じたのは初めてだったし、以来、一度もない。

    • 6
  2. 評価:3.000 3.0

    浅いけれど

    凶悪犯の実録漫画。
    ひとつひとつのエピソードの掘り下げは浅く、ダイジェスト的な印象で、「核心に迫る」というような迫力はない。
    「アンビリバボー」の方が情報量は多いくらいだと思う。

    ただ、なかなか中立的な視点で「人間」としての凶悪犯を描こうとしているように思えて、そこはちょっと好感を持った。
    凶悪犯を、「異常な怪物」として排除したり、単純な悪役と設定したり、グロテスクな興味を煽ったり、そういうアプローチの方が漫画としてはやりやすいだろうが、それをしていない。
    「こんなひどい奴がいたんだよ、許せないよね!異常だよね!」という感じではない。
    「やったことは許しがたいが、彼らもまた、人間。いったいどこで歯車が狂ったのだろうか?」という語り口。
    そして、その答えは、わからない。
    その、わからない、ということをきちんと描いている気がして、そこは評価したいと思った。

    • 8
  3. 評価:4.000 4.0

    それどころじゃない

    ブラック企業の会社員と、かまってほしい幽霊の漫談的なコメディ。
    一貫して「それどころじゃない」という主人公のスタンスがいい。
    一般的なホラー作品では、幽霊が出てくることが一大イベントで、そのイベントを中心に作品が回る。
    でも、「この書類を上げるまでは、幽霊どころじゃない」というのは、現実的には、結構あり得る状況だと思う。
    そういう意味で、「普通の」ホラーの「お約束」に対するアンチ・テーゼみたいな漫画でもあるし、幽霊すら優先できない日本の企業社会ぶりに対する風刺みたいな漫画でもあって、なかなか含蓄は深いと思う。

    • 7
  4. 評価:5.000 5.0

    ルールの発明

    既にルールの決まっているゲームをモチーフに作品を描く人はたくさんいる。
    というか、普通はそうだ。
    スポーツというゲーム、バトルというゲーム、恋愛というゲーム。
    その制約の中で、いかに優れた作品を編み出すか、という勝負が、普通だ。
    でもこの作者は、次から次へと、新しいゲームのルールを編み出す。
    その点においては、ちょっと追いつける人がいないんじゃないかと思う。

    • 7
  5. 評価:3.000 3.0

    幼さを描くこと、稚拙であること

    タイトルから思いっきり「スタンド・バイ・ミー」なわけだが、パクリでは全くなく、オマージュというか、この作者なりの「スタンド・バイ・ミー」をやろうとした、という意図はわかる。
    それ自体は、嫌いではなかった。

    ただ、そうであるならば、どんな形であれ、ある種のノスタルジーを感じさせる作風にしてほしかったが、そこは成功しているとは言い難いと思う。
    これは絵柄のせいもある気がするし、「現代っ子」を全面に押し出し過ぎたせいもある気がする。
    が、決定的なのは、表現の稚拙さだ。
    当たり前だが、「幼い子どもを描く」ということと、「子どもを稚拙に描く」ということは、まるで別の話だ。

    私は映画「スタンド・バイ・ミー」が好きだし、スティーブン・キングの原作も読んだ。
    思えば、スティーブン・キングほど「子どもを描く」ことに秀でた作家をほとんど知らない。
    子どもの世界は確かに狭く小さいかもしれないけれど、決して浅くはないし、子どもは子どもとして地獄を抱えているのだ。
    何より、作品の中で子どもを描くことにおいて、子どもをなめない、ということ以上に大切なことはほとんどないと思う。
    そういう全て、キングは徹底しているし、この作品には明確に欠落している。

    まあ、スティーブン・キングと比べるのは酷だと言われればそうなのだが、言わせてもらえば、「スタンド・バイ・ミー」をやろうとした以上、そのくらいの覚悟はしとけ、と思う。

    • 7
  6. 評価:2.000 2.0

    受け入れがたい浅はかさ

    娘を殺した犯人に残忍な復讐をして実刑を受けた主人公が、出所後、世間から虐げられ、殺_人ビジネスみたいなことをやっている人間に拾われる、という話。

    申し訳ないが、私は主人公がどうしても嫌いで、作品に乗っかれなかった。
    別に主人公を好きにさせることだけが作品の能ではないが、この手の漫画は、主人公に肩入れするか、共感するか、少なくとも同情するか、というモードに入れないとどうにもならないと思う。
    私には無理だった。

    先に断っておくが、私は多分、倫理観が一般の基準より低い。
    だから私は、主人公の復讐を否定しているのではない。
    残忍な方法も全く否定しない。
    好きにやったらいいと思う。

    私が決定的に受け入れられなかったのは、出所した後に職場を次々にクビになるという経験をして、「俺はそんなに間違ったことをしたのか!?」とか思っちゃう、主人公の絶望的な頭の悪さ、想像力のなさである。

    おいおい、じゃあどうなると思っていたんだ。
    私はそれが聞きたい。
    残虐なやり方で復讐を果たしてムショから出てきたら、皆が「よくやった!」って拍手してくれるとでも思っていたのか?
    「過去は過去、うちでやり直せよ」とか言ってくれる親切な工場長でも現れると思っていたのか?

    阿呆か。

    世間から爪弾きにされる覚悟もなく、拷_問つきの復讐をやったのか。
    その浅はかさに対して、私は軽蔑の念しか覚えなかった。

    どんなに不幸でも不運でも、自分に同情する復讐者なんて、私は見たくはない。

    • 8
  7. 評価:4.000 4.0

    妖怪への執着

    罪人が妖怪に見えてしまう、という特殊能力を持つ主人公が、奇怪な相談所の助手として働くことになる、という話。

    私は幼少期より重度の妖怪オタクなので、はっきり言って妖怪を扱った漫画には厳しい。
    そういうわけで、いきなりオタッキーで偏屈なことを言って申し訳ないが、妖怪という存在には本質的に「善悪」はないと思うので、「罪人」という人間サイドの勝手な物差しが妖怪という姿に具現化される、という設定には根本のところで違和感があった。

    おそらく京極夏彦の影響はあるのだろうが、はっきり言ってレベルが違う。

    ただ、妖怪に対する執着、何としてもそれを描くのだ、という熱意みたいなものは明確に伝わったし、方向性やスタンスは違えど、本作に妖怪に対する愛情があると認めることについては、やぶさかでない。

    • 6
  8. 評価:4.000 4.0

    コーエン兄弟を彷彿とさせる

    ネタバレ レビューを表示する

    現状、読めるのが一巻分だけで、評価は保留のところもあるのだが、なかなか面白かった。

    「レンタル親友」というビジネスに従事している役者志望の主人公は、常連客が計画した誘_拐事件の片棒を担がされることになるのだが、そこからの主人公の立ち回りが結構よく練られていて、良質なサスペンス映画のような趣がある。

    何と言っても、主人公の人間らしさがいい。
    こういう普通の人間のリアリティーというのは、漫画ではなかなか出せない。
    強い信念も深い欲望も特にないけれど、何となく面倒臭いことに巻き込まれたくないとか、何となく人質が気の毒だとか、そういう主人公の内心というのは直接的に描かれているわけではないものの(そこがいい)、その「何となく」のリアリティー、人間は実際こんなもんだろう、というリアリティーに説得力があり、しかも、きちんとサスペンスの返し技も決まっている。

    主人公の立ち回りに、私は、大好きなコーエン兄弟の映画を思い出した。
    ちなみに誘_拐モノというのも、コーエン兄弟が好んで用いた題材である。
    作者、コーエン兄弟が好きなんじゃないかな。
    これ、当たっていたら嬉しい。

    • 6
  9. 評価:4.000 4.0

    貞ちゃんの心象風景

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    例えば「番町皿屋敷」というクラシックな怪談がある。
    井戸からお菊ちゃんが出てきて「いちま~い、にま~い」と皿を数えるアレである。
    これは当然、怪談の古典、悪く言えば時代遅れだ。
    「いや、井戸とかねえし」というのが現代だからだ。
    「皿割っちゃった?メルカリで買えばよくね?」というのが現代だからだ。

    「リング」はもう、このあたりから凄くて、「井戸」という古典の怖いモチーフを踏襲しつつ、貞ちゃんは井戸から出てきてしかもテレビから出てくる、という二段構えであって、「いや、井戸とかねえし」という現代人の安全圏を取り払った。

    しかし、そこからまた、時代は進んだ。
    「呪いのビデオ」なんて言われても、もはやVHSなんか誰も見ない。
    かといって「呪いのBlue-ray」とかだと、イマイチ怖くない。
    実のところ、貞ちゃんもいつの間にか「時代遅れ」になったのだ。

    本作は、終末世界を行く二人の少女と貞子のロードムービー的な漫画なのだれけれど、人類がほとんど滅びてもう呪う相手がいない、という世界は、何だか現代における貞ちゃんの心象風景みたいに感じられた。

    無邪気な二人と、どこまでいっても悪霊でしかない貞子の、決して大団円を迎えるはずのない、可愛らしくもどこかもの悲しい道行き。
    結末はわかっていたはずなのに、それでも少しだけ、胸が軋んだ。

    そんなふうに作品を閉じかけておいて、ラストのラスト、貞子をもって「いや、私ってホラーの人なのよ」と唐突に主張させるような幕切れが、実に素晴らしい。

    現代において改変され増殖され消費され続ける貞ちゃんの物語の中で、唯一、本作はちょっと、腑に落ちた。

    • 6
  10. 評価:4.000 4.0

    設定の巧妙さ

    孔明が現代日本にタイムスリップする、というシチュエーションコメディ。

    設定一発の作品だが、巧みなのは、場違いな孔明、という設定それ自体ではなく、孔明に売れない歌手のプロデュースをさせる、というポジショニングの方だと思う。
    この発想が絶妙である。
    実際、作品として、歴史上の人物が現代に、というのはさして目新しくもないが、その人物に「何をさせるのか」というのはなかなか難しく、その点、本作は成功していると思った。

    プロデュースの戦略も、実際の孔明のエピソードを上手く絡めていて、作者の孔明愛、三國志愛が感じられる。
    私は三國志に明るくないが、詳しい読者は、さらに楽しめるのではないかと思う。

    • 6
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