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作品レビュー
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11 - 20件目/全147件

  1. 評価:3.000 3.0

    その愛を叫べ

    あまりマニアぶるのもどうかと思うが、私は物心ついた頃からの生粋の妖怪オタクなので、こういう種類の漫画にはいささか厳しくなるのは許してもらいたい。

    昭和初期という時代や「奇獣商」という設定には独特の情緒があって、作品の雰囲気は悪くなかった。
    テンポよくサクサク読める点も、個人的には好みだった。
    しかし、何かが決定的に足りない、という不満は、決して晴れることがなかった。

    それは、ひとことで言えば、怪異という存在に対する偏執、ということになるかと思う。
    もう少しポジティブな(あるいは酷な)言い方をすれば、愛情、と言ってもいい。

    もちろん、妖怪変化を描く人間が、妖怪を好きで好きでたまらない、という人間である必要は、本当は、ない。
    別に、大して好きではない妖怪を、作品の「題材」として器用に用いるのも、アリだと思う。
    だが私は、水木しげるチルドレンだ。
    妖怪という訳のわからないものに対して、あれほど過剰で激烈で、それでいて適当で、ただ、どうしようもなく愛してしまう、という向き合い方をした人間によって、私は妖怪を知ったのだ。
    その魂は、水木しげるが鳥山石燕から受け継いだものだし、例えば京極夏彦に受け継がれたものなのだと思う。

    この世界の片隅で密かに妖怪を愛する者として、本作には、ある種の不満と寂しさみたいなものを感じないわけにはいかなかった。

    もちろん、作者が妖怪をどう思っているのか、本当のところはわからない。
    だが、その点が問題なのだ。
    わからない、伝わらない、ということが。
    本当に妖怪が好きなら、作品の中で、もっとその愛を叫べよ。

    • 11
  2. 評価:3.000 3.0

    民俗学と爽やかさ

    民俗学の研究者が、地方の様々な葬送の慣習から事件の謎を紐解く、というミステリ。
    といっても、本格ミステリではなく、民俗学を題材にしたライトなミステリと思ってもらえばいいかと思う。
    民俗学そのものの扱いも、それほど掘り下げられてはおらず、よく言えばポップだが、物足りなくもある。

    私は大学の専攻で民俗学に近いことをやっていたのもあり、題材としては好きであった。

    ただ、私の勝手な希望だが、ミステリとして民俗学を扱うならば、やはりそこには、人間のグロテスクな情念や、共同体の無自覚な残酷さ、みたいなものを期待してしまう。
    が、よくも悪くも本作のトーンは穏やかで爽やかで、ドロドロしたものがない。
    このあたり、好みの問題と言ってしまえばそれまでなのだけれど、この国の忌みや穢れにまつわる風習が、そんなに爽やかであってたまるか、という思いは、引っかかりとして残った。

    • 3
  3. 評価:3.000 3.0

    単調からの転調

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    自分が望む人間のクローンを作ってもらえるが、クローンの存在は絶対に秘密、クローンの存在を他の人間に知られたらアウト(記憶を消されて生まれたときの知能に戻される)、という話。

    前半はオムニバス的な作りで、設定自体は悪くないと思ったが、話としては掘り下げや広がりがイマイチで、ちょっと単調な印象は持った。

    そのまま低調なオムニバスが続くのかと思いきや、途中から方向性が切り替わり、主人公(というかそれまでは明確な主人公というポジションでもなかったが)がクローン施設を脱出する展開に。
    これはこれでまあ、悪くはなかった。

    前半のオムニバス調が当初からの前フリだったのか、それとも編集者から「これじゃまずい」となって方向転換したのか、私にはわからなかった。
    いずれにしても、いささか行き当たりばったりの感があり、悪くはないけど深く入り込めない、という典型的な作品だった。

    • 2
  4. 評価:3.000 3.0

    ナッシング・トゥ・セイ

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    タイトルが作品のほぼ全てであり、「出オチ」のような漫画である。

    いや、面白かった。
    面白かったけど、正直、「これだけ」で引っ張られるのはちょっとしんどかった。
    ごめん、何か、何も言うことが思いつかん。

    • 2
  5. 評価:3.000 3.0

    ここまでくると

    ネタバレ レビューを表示する

    「見当たり捜査」という地味な警察の捜査を題材にしているだけに、捜査の専門知識の丹念なリサーチに基づく本格派の刑事漫画なのかと思っていた。

    全然違った。

    ノリとしては完全に異能バトル漫画のそれで、キャラクターは敵も味方もあまりにぶっ飛んでいるというかトチ狂っているというか、これを仮に刑事モノの漫画として読むならば、今どき子どもでも笑ってしまうと思う。

    ただ、正直言って、ちょっと面白かった。
    ここまで滅茶苦茶に「崩される」と、これはこれでアリかもしれん、という気になったのだ。
    何事も中途半端は叩かれるね。
    ここまでいっちゃうと、叩く気も失せる。
    それはそれで、作品のひとつの方向性として、あっていいのではないか、とは思った。

    しかしまあ、案の定、打ち切りである。
    残念ながら、それは序盤からわかっていた。
    だって、序盤の「これからどんだけバトルがあるんだ」という敵の数と、完結している「話の数」が、どう考えても合わない。
    普通にいくと、こんなに少ないボリュームで完結するはずがない。
    ということは…というわけである。

    途中から私は、「どの時点で打ち切りが決まったのだろう」という暗いことを考えながら、本作を読み進めた。
    その暗さは、本作のテンションとはおよそつり合わず、しかしまあ、打ち切りが確定していても作品の中ではテンションを継続しなければならない、漫画家ってつらいなあ、と。
    合掌。

    • 3
  6. 評価:3.000 3.0

    先達との比較

    鬼の血を引く者(主人公はこっち側)と、桃太郎の血を引く者の異能バトル漫画。

    小学生の頃だったら楽しく読めたかもしれないけれど、このジャンルは偉大な先達がありすぎて、どうしたって「じゃあジョジョと比べてどうなんだ」とか、「HUNTER×HUNTERと比べてどうなんだ」という話になる。
    そうすると、うーん、ということになる。

    別に懐古趣味に走っているのではなく、最近だと「ダンダダン」のバトルシーンなんかはマジで凄いと思った。
    それと比べても、うーん、である。

    何か突出したものがひとつあれば、あるいは明確に新しいものがあれば、また違うのだろうが、残念ながら私はそれを見出だすことが出来なかった。

    こういう漫画はキャラが立ってナンボなのに、そもそも描き分けが似通っているのも気にかかる。

    • 3
  7. 評価:3.000 3.0

    メタファーとしての吸血鬼

    古来より、吸血鬼というのは、資本家や貴族などの支配階級が労働者や農民を搾取することのメタファーとして描かれてきた。
    本作も多分、そうなのだろう。
    そういう意味ではなかなかクラシックな作風と言える気がするし、古典的なテーマを現代のフォーマットに落とし込むという手法自体は嫌いではない。

    しかしまあ、何か物足りないな、という感想は終始つきまとい、私はあまり乗れなかった。
    ひとつには、登場人物が多すぎて、一人一人の掘り下げが浅く、かといって群像劇として機能しているわけでもなく、生き残りをかけたはずの船上の活劇が、あまりスリリングに感じられなかったせいではないかと思われる。

    • 3
  8. 評価:3.000 3.0

    気合いの入ったスプラッタ

    中身も何もあったものではないのだが、内臓でろでろ、血飛沫びしゃびしゃ、なかなか気合いの入ったスプラッタにはなっている。
    こういう作品もあっていい、というか、こういう作品があった方が世の中は健全だと思う、いやマジで、冗談抜きで。

    ただ、あんまりこういうモラリストみたいなことは言いたくないのだが、「子ども」である必要あんの?という違和感はどうしても拭えなかった。
    何となくショッキングに見えるから、というような安直さでこういう漫画に子どもを「使って」しまえる姿勢というのが、私は好きではない。

    • 2
  9. 評価:3.000 3.0

    読ませるけれど

    タイトルのとおり、様々な母親に「寄生」して渡り歩く少年の話。

    実に気色の悪い話で、生理的なレベルの嫌悪感を喚起する描写も多く、何よりまともな登場人物が一人もいない。
    どういう行動原理に基づいて生きているのか理解に苦しむ人間ばかりで、リアリティーもクソもない。
    しかし、ここまでどいつもこいつもトチ狂っていると、これはもう、ひとつの味と言って差し支えないくらいのレベルに達しているかと思われる。

    また、不思議と読ませる力はあり、何だかんだで一息に読んでしまった。
    何であれ、作品に一定のエネルギーがなければ、こうはならない。

    しかし、面白かったのかと言われると、決してそんなことはない、と言わざるを得ない。
    漫画を商品として考えるならば、まあ、読ませたら勝ちなんだけど。

    • 10
  10. 評価:3.000 3.0

    私が悪いのだ

    潔癖症の男と視線恐怖症の少女の変則ラブストーリー。

    丁寧だと思った。
    寄生虫がらみの設定も捻りが利いていて悪くないと思った。
    しかし私は、まるで作品に入り込めなかった。

    なぜだろう。
    二人の恋が排他的だからだろうか。
    いや、私は、排他的な恋愛、大いに結構、と思っている。
    それにまつわる諸々を引き受ける覚悟があれば。

    目立った非もあげつらう粗も見当たらなかった。
    ただ、好きになれなかった。
    しかし考えてみれば、恋だってそういうものである。

    一定の割合で、どうしてもこういう作品にぶつかってしまう。
    そういうとき、私は基本的に、自分が悪いのだ、と思うことにしている。
    作品に罪はない。
    そんなわけで、このレビューは何の参考にもならない。

    • 2
全ての内容:★★★☆☆ 11 - 20件目/全147件

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