rokaさんの投稿一覧

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評価1 5% 35
11 - 20件目/全146件
  1. 評価:3.000 3.0

    スプラッターというアイデンティティー

    昔懐かしのホラー漫画。
    表題作の「白い病気」を読んだが、心理的な恐怖ではなく、思わず目を背けたくなるような生理的な恐怖描写、要するにスプラッター的な表現にはなかなか見るべきところがあって、感心した。
    これがこの作家のアイデンティティーかと思う。
    こんなのが少年少女の読むホラー漫画雑誌に普通に載っていたのだから、長閑な時代だったのだろう。

    しかし、ホラーとして見た場合はグダグダというか滅茶苦茶で、私は関東の人間だが、思わず「何でやねん」と呟いた。
    完全にギャグだろ、こんなもん。
    まあ、それを含めてホラー漫画という文化なのだとも思うのだけれど。

    • 2
  2. 評価:3.000 3.0

    途上で

    本当に申し訳ないが、評価は半ば保留みたいなもので、私は途中20話くらいでドロップアウトした。

    もっと先まで読めば面白くなるのかもしれない、という感じもしないではなかったが、そこまで耐えられないくらい、私にとっては道中があまりに退屈だった。

    昔からそうなのだが、「長いこと辛いのを我慢すれば達成感がある」みたいなことが、私は苦手だ。
    だから山登りとか大嫌いだ。
    (山登りは別にそういうものじゃない、という意見もあるのは認めるけれど、私にとってはそういうものでしかない。)

    「途中はともかく」じゃなくて、途中が楽しくなきゃ駄目だろ、と思ってしまう。
    だって人生なんて、ほとんど「途中」なんじゃないの。
    知らんけど。

    この道中を退屈せずに進める人には良作なのだろうが、そこにほとんど何の魅力も見出だせなかった私には、頂上の見えない山登りのようで、苦痛でしかなかった。

    • 12
  3. 評価:3.000 3.0

    幼さを描くこと、稚拙であること

    タイトルから思いっきり「スタンド・バイ・ミー」なわけだが、パクリでは全くなく、オマージュというか、この作者なりの「スタンド・バイ・ミー」をやろうとした、という意図はわかる。
    それ自体は、嫌いではなかった。

    ただ、そうであるならば、どんな形であれ、ある種のノスタルジーを感じさせる作風にしてほしかったが、そこは成功しているとは言い難いと思う。
    これは絵柄のせいもある気がするし、「現代っ子」を全面に押し出し過ぎたせいもある気がする。
    が、決定的なのは、表現の稚拙さだ。
    当たり前だが、「幼い子どもを描く」ということと、「子どもを稚拙に描く」ということは、まるで別の話だ。

    私は映画「スタンド・バイ・ミー」が好きだし、スティーブン・キングの原作も読んだ。
    思えば、スティーブン・キングほど「子どもを描く」ことに秀でた作家をほとんど知らない。
    子どもの世界は確かに狭く小さいかもしれないけれど、決して浅くはないし、子どもは子どもとして地獄を抱えているのだ。
    何より、作品の中で子どもを描くことにおいて、子どもをなめない、ということ以上に大切なことはほとんどないと思う。
    そういう全て、キングは徹底しているし、この作品には明確に欠落している。

    まあ、スティーブン・キングと比べるのは酷だと言われればそうなのだが、言わせてもらえば、「スタンド・バイ・ミー」をやろうとした以上、そのくらいの覚悟はしとけ、と思う。

    • 8
  4. 評価:3.000 3.0

    清く正しくグロテスク

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    面白かった。
    いい意味で、頭を空っぽにして楽しめた。
    さながら、サイコ野郎の見本市。

    昨今、「サイコパス」という言葉を誤用した上にそれを売りにする漫画が多いことに辟易していたが、そういう鬱陶しい漫画とは、全く違った。

    なぜ、昨今の「サイコパスもどき」漫画がウザいのか。
    それは、現実のサイコパスについての知識を持たないままに、あくまで「現実枠」の中で、「こんな異常者、現実にいるかもしれないよね、怖いですよね」と下手なアピールをしてくるからだ。
    それをやりたいなら、ちゃんと勉強しなさい。

    本作は、違う。
    数々の異常者たちを、ハナから「現実枠」の中で描こうとしていない。
    つまり、ある種のリアリティーを始めから捨てた上で、あくまでフィクションとして「現実にいるわけねえ奴ら」をハイテンションで描ききることに集中している。
    実に適切にグロテスクなエンターテイメントであり、好感度は高かった。

    しかし、残念ながら、露骨な打ち切りである。
    漫画って大変だなあ、結構面白かったのになあ。
    終盤、おそらく打ち切りが決まったあたりでは、素人目にもわかるくらい作品のテンションが落ちていて、そのぶん、評価は厳しめになってしまった。

    あと、別にいいけど、絵柄が「ジャガーン」の人に似てない?

    • 4
  5. 評価:3.000 3.0

    漫画の表現として

    ラヴクラフトの話と、チェーホフの話を読んだ。

    文学に対する愛着やリスペクトが感じられて、好感度は高かった。
    だが、特にチェーホフの話ではそれが顕著なのだが、あまりに活字に頼りすぎている。
    既に小説という媒体でもって描かれている作品であるわけで、それを「わざわざ」漫画にする以上、そこには何かしらの「漫画にした意義」が必要だと思うのだが、それをあまり見出だせなかった。

    ちなみにだが、ラヴクラフトに関しては、この時代から「そのオチ」があったのか、と驚いた。
    これ、誰が最初に思いついたんだろう。
    ラヴクラフトなのかなあ?

    • 3
  6. 評価:3.000 3.0

    その愛を叫べ

    あまりマニアぶるのもどうかと思うが、私は物心ついた頃からの生粋の妖怪オタクなので、こういう種類の漫画にはいささか厳しくなるのは許してもらいたい。

    昭和初期という時代や「奇獣商」という設定には独特の情緒があって、作品の雰囲気は悪くなかった。
    テンポよくサクサク読める点も、個人的には好みだった。
    しかし、何かが決定的に足りない、という不満は、決して晴れることがなかった。

    それは、ひとことで言えば、怪異という存在に対する偏執、ということになるかと思う。
    もう少しポジティブな(あるいは酷な)言い方をすれば、愛情、と言ってもいい。

    もちろん、妖怪変化を描く人間が、妖怪を好きで好きでたまらない、という人間である必要は、本当は、ない。
    別に、大して好きではない妖怪を、作品の「題材」として器用に用いるのも、アリだと思う。
    だが私は、水木しげるチルドレンだ。
    妖怪という訳のわからないものに対して、あれほど過剰で激烈で、それでいて適当で、ただ、どうしようもなく愛してしまう、という向き合い方をした人間によって、私は妖怪を知ったのだ。
    その魂は、水木しげるが鳥山石燕から受け継いだものだし、例えば京極夏彦に受け継がれたものなのだと思う。

    この世界の片隅で密かに妖怪を愛する者として、本作には、ある種の不満と寂しさみたいなものを感じないわけにはいかなかった。

    もちろん、作者が妖怪をどう思っているのか、本当のところはわからない。
    だが、その点が問題なのだ。
    わからない、伝わらない、ということが。
    本当に妖怪が好きなら、作品の中で、もっとその愛を叫べよ。

    • 42
  7. 評価:3.000 3.0

    民俗学と爽やかさ

    民俗学の研究者が、地方の様々な葬送の慣習から事件の謎を紐解く、というミステリ。
    といっても、本格ミステリではなく、民俗学を題材にしたライトなミステリと思ってもらえばいいかと思う。
    民俗学そのものの扱いも、それほど掘り下げられてはおらず、よく言えばポップだが、物足りなくもある。

    私は大学の専攻で民俗学に近いことをやっていたのもあり、題材としては好きであった。

    ただ、私の勝手な希望だが、ミステリとして民俗学を扱うならば、やはりそこには、人間のグロテスクな情念や、共同体の無自覚な残酷さ、みたいなものを期待してしまう。
    が、よくも悪くも本作のトーンは穏やかで爽やかで、ドロドロしたものがない。
    このあたり、好みの問題と言ってしまえばそれまでなのだけれど、この国の忌みや穢れにまつわる風習が、そんなに爽やかであってたまるか、という思いは、引っかかりとして残った。

    • 3
  8. 評価:3.000 3.0

    単調からの転調

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    自分が望む人間のクローンを作ってもらえるが、クローンの存在は絶対に秘密、クローンの存在を他の人間に知られたらアウト(記憶を消されて生まれたときの知能に戻される)、という話。

    前半はオムニバス的な作りで、設定自体は悪くないと思ったが、話としては掘り下げや広がりがイマイチで、ちょっと単調な印象は持った。

    そのまま低調なオムニバスが続くのかと思いきや、途中から方向性が切り替わり、主人公(というかそれまでは明確な主人公というポジションでもなかったが)がクローン施設を脱出する展開に。
    これはこれでまあ、悪くはなかった。

    前半のオムニバス調が当初からの前フリだったのか、それとも編集者から「これじゃまずい」となって方向転換したのか、私にはわからなかった。
    いずれにしても、いささか行き当たりばったりの感があり、悪くはないけど深く入り込めない、という典型的な作品だった。

    • 3
  9. 評価:3.000 3.0

    ナッシング・トゥ・セイ

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    タイトルが作品のほぼ全てであり、「出オチ」のような漫画である。

    いや、面白かった。
    面白かったけど、正直、「これだけ」で引っ張られるのはちょっとしんどかった。
    ごめん、何か、何も言うことが思いつかん。

    • 2
  10. 評価:3.000 3.0

    ここまでくると

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    「見当たり捜査」という地味な警察の捜査を題材にしているだけに、捜査の専門知識の丹念なリサーチに基づく本格派の刑事漫画なのかと思っていた。

    全然違った。

    ノリとしては完全に異能バトル漫画のそれで、キャラクターは敵も味方もあまりにぶっ飛んでいるというかトチ狂っているというか、これを仮に刑事モノの漫画として読むならば、今どき子どもでも笑ってしまうと思う。

    ただ、正直言って、ちょっと面白かった。
    ここまで滅茶苦茶に「崩される」と、これはこれでアリかもしれん、という気になったのだ。
    何事も中途半端は叩かれるね。
    ここまでいっちゃうと、叩く気も失せる。
    それはそれで、作品のひとつの方向性として、あっていいのではないか、とは思った。

    しかしまあ、案の定、打ち切りである。
    残念ながら、それは序盤からわかっていた。
    だって、序盤の「これからどんだけバトルがあるんだ」という敵の数と、完結している「話の数」が、どう考えても合わない。
    普通にいくと、こんなに少ないボリュームで完結するはずがない。
    ということは…というわけである。

    途中から私は、「どの時点で打ち切りが決まったのだろう」という暗いことを考えながら、本作を読み進めた。
    その暗さは、本作のテンションとはおよそつり合わず、しかしまあ、打ち切りが確定していても作品の中ではテンションを継続しなければならない、漫画家ってつらいなあ、と。
    合掌。

    • 3

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