rokaさんの投稿一覧

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131 - 140件目/全150件
  1. 評価:4.000 4.0

    取り合わせの発明

    当たり前のことなのだが、世の中には、本当に色んな漫画の表現があるんだな、と感じた。

    ストーリーはあってないようなもので、アメリカのB級ホラー映画の表面をなぞった程度のものだが、そのB級スラッシャーに、この絵で挑んだことに意味がある。
    例えて言うなら、ディズニーがB級スプラッターのアニメを制作したような感じである。
    もちろんディズニーは、そんなもの、作らない。
    だからこの漫画は、ちょっとした発明なのではないかと思う。

    個人の好みは置いておくとして、漫画の可能性を感じさせてくれる作品に出会えるのは、嬉しいことである。

    • 3
  2. 評価:4.000 4.0

    漫画の緻密さ

    ストーリーが本格的に動き出すまでにやや時間がかかるが、それもこの漫画の計算にきちんと組み込まれている気がした。
    世界観も物語も、実に緻密に組み立てられており、静かだが、非常にスリリングで、サスペンスフルである。
    また、島の描写も、極めて丁寧で美しい。
    「設定ありき」で、作品の全貌が決まらない中で見切り発車し、挙げ句に迷走する、というような漫画が多々ある中、この緻密さは称賛に値する。

    主人公は魅力に乏しい反面、瀬里沢の冷徹な強さは、際立ってカッコいい。

    • 10
  3. 評価:4.000 4.0

    「子ども」の功罪

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    三億円事件の真相には諸説あるが、「過激派を一掃するための国家規模の陰謀」というのは、さすがにやりすぎの感が強く、説得力には欠ける、と個人的には思う。
    まあ、それはいい。

    基本は少年少女の逃亡劇で、個々のキャラクターにそれぞれカラーが出ていて、ハラハラしながら楽しめた。
    時系列を操作するのはこの作者の得意技なのか、「クダンノゴトシ」でもそうだったが、交錯する現在と過去が、よりいっそうスリルを高めていると感じた。

    陰謀渦巻く三億円事件という「大きな」ストーリー。
    その主人公には、普通にいけば、老練な刑事や探偵が相応しいように思えるが、敢えて「小さな」主人公を設定している。
    それによって、多少の無理は出てしまっているが、少年漫画的な盛り上がりを獲得しているとも思う。

    ただ、個人的にどうにもひっかかるのが、二点。
    ひとつは、夏美の関口に対する母性の覚醒。
    高校一年だろ。
    いくらなんでも無理がある。
    もうひとつは、ラストの大和の選択。
    そこで、死のうとするか?
    倫理的に、とかではなく、物語的に、どうにも腑に落ちなかった。
    この二点は、どちらも「子ども」をメインの登場人物にした弊害だと思う。
    夏美の件はもちろん、大和の件も、例えば主人公が「熱心に事件を追うが、どこか死に場所を探しているようにも見える、悲しげな目をした刑事」だったら…まあ、それじゃ全然違う話になっちゃうんだけど。

    • 4
  4. 評価:4.000 4.0

    古きよきホラーへの回帰

    幼い頃に、「トラウマ覚悟」みたいな気持ちで読んでいた、古きよきホラー漫画を思い出させるタッチ。
    グロ描写やダイレクトなオカルト描写にも迫力があるが、感心したのはむしろ「普通の」描写で、雨の降りしきる山中、謎の老人の暮らすテントの中、そして図書館、そういう何気ないシーンの薄気味悪い描写力が、「これぞホラー」という一級品である。

    主人公の二人の子供は、可愛らしく、カッコよく、幼い時代に読んだらもっと夢中になれたに違いない。

    正直、「話」としてはもう一歩のところもあり、ホラーとして捻りの効いたサプライズや、「なるほど」という含蓄があれば、大傑作になっていたのではないか。

    それにしても、タイトルが素晴らしい。
    大人がいくら止めたところで、子供たちはいつだって、闇夜に遊ぶ。
    そして、大人の決して踏み込めない、闇夜の中の、そのまた真っ暗闇を覗き込む。

    • 4
  5. 評価:4.000 4.0

    彼女が「普通」に生きるまで

    ネタバレ レビューを表示する

    「ヒル」という存在の設定は面白かった。
    ただ、「ヒル」がゴロゴロいたり、仲間を形成していたり、という設定には、ちょっと冷めた。
    「なさそうだけど、あるかも」という際どいラインを完全にオーバーして、「いや、ないだろ」に行ってしまった。
    もっとも、他にも「ヒル」がいることにしないと、どう話を展開させるかは難しいけれど。

    「ヒル」という存在は、深読みしようとすれば、居場所のない若者とか、社会的なマイノリティーとか、色んなメタファーがよぎるけれど、この漫画は、シンプルに、一人の女の子が「普通に生きる」覚悟を決める話でもある。
    「僕たちがやりました」もそうだけれど、「普通に生きる」ことの難しさというのは、現代のひとつのテーマなのかもしれない。

    特殊な方法で生き抜く、客観的にはかなり不気味な存在を扱いながら、主人公の成長物語としては非常に爽やかであり、その微妙なバランスは悪くなかった。

    酷評されているラストだが、物語は断ち切られ、それでも日々は続いてゆく、というような印象で、個人的には好きであった。

    • 52
  6. 評価:4.000 4.0

    当たり外れはあるけれど

    小品ながらキラリと光る一編もあり、「何だそりゃ」という駄作もある。
    本編と比較すると、よくも悪くも力の抜けた印象を受ける。
    その軽さが魅力でもあるし、物足りなくもある。
    ただまあ、その物足りなさは、いずれ本編に帰ってゆくことを前提とするならば、ちょうどいいのかもしれない。

    • 2
  7. 評価:4.000 4.0

    麻雀にまつわる嘘と本当

    阿佐田哲也の原作ファンとしては、違和感を覚える部分もあるし、現実の麻雀を漫画向けに誇張・歪曲しすぎた感もある。
    そういう意味では、麻雀という現実のゲームを描いたにしては、嘘が多すぎる。
    しかし、製作者サイドの、麻雀、そして阿佐田哲也に対する愛着は、本当である、という感想を持った。

    • 4
  8. 評価:4.000 4.0

    ぶれる善悪

    ひょんなことから殺_人者になってしまった父親のストーリー。
    漫画の中では「ヒーロー」だが、やっていることは結構エグい。
    ただ、「普通の父親がそこまで出来るか?」という突っ込みどころを、「推理小説マニア」という設定で上手くかわしたところが巧妙である。

    マンションの風呂場で死体を解体して…なんていう事件は、実際、数年前にあった。
    そのニュースを見たときの苛立ちと嫌悪感を、私は覚えている。
    行為としては、この父親がやっていることも、同じだ。
    しかしおそらく、私を含めた多くの読者が、この父親サイドについて、応援したはずである。
    そういう「ぶれ」を、私たちの善悪の意識は含んでいる。
    「許せない」とか感じたはずの行為を、「娘のため」というちっぽけな(と言っていいかは難しいが)「理由」や「事情」や「大義」さえあれば、あっさり許して応援すらしてしまう、というような、ぶれ。
    それを、計算ずくで提示しているような漫画だと思った。
    そういう意味では何とも底意地の悪い、怖い漫画である。

    私は、善悪のぶれを、全否定するつもりはない。
    それが、人間らしさというものかもしれない。
    ただ、思うのは、自分たちの善悪の基準なんて非常に曖昧なものだ、という事実に対して無自覚なのは、とても危険なことだ。
    私たちはいつの間にか、適当に誰かの「行為」を取り上げて、むやみに断罪してはいないだろうか。
    そこにあったかもしれない、「理由」や「事情」や「大義」を無視して。

    日馬富士の引退会見を見ながら、私はこの漫画を思い出して、そんなことを考えていた。

    • 173
  9. 評価:4.000 4.0

    エピソードの楽しさ

    ちょっと映画「ディパーテッド」を彷彿とさせるような設定で、面白かった。

    私は、この漫画の「ひとつひとつの事件のエピソード」を、毎回とても楽しく読んだ。
    逆に言うと、この漫画の「大きなストーリー展開」には、あまり興味が持てなかった。
    だから、残念ながら、結末にもそれほど胸を打たれず、「終わってしまったか」という感情だけが残った。

    ただ、それだけ個々のエピソードの完成度が高い、ということは、間違いない。

    • 33
  10. 評価:4.000 4.0

    不条理

    「欲を出した人間が地獄に落ちる」的な漫画なのかと思っていたが、全く違った。
    何の非もない一般ピーポーが、喪黒の悪意によって次々に地獄に落ちる話だった。
    何だそりゃ、と思う反面、不条理を描くとはこういうことなんだな、とも思った。
    私たちが慣れ親しんだ「昔話」的な勧善懲悪に対する辛辣なアンチテーゼであり、この時代にそれを平気でやっていたことが恐ろしい。

    • 8

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