3.0
アンバランスな軽さ
「怨み」というおどろおどろしいテーマに反して、作品の手触りは軽く、爽やかですらある。
ひとつには絵柄のせいもあるだろう。
このアンバランスな軽さを、どう感じるかで、好みが分かれそう。
読みやすくてポップだ、と肯定的に思うか、物足りないと、感じるか。
個人的には、もっとどろどろしたものが欲しかった気もする。
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4
91位 ?
「怨み」というおどろおどろしいテーマに反して、作品の手触りは軽く、爽やかですらある。
ひとつには絵柄のせいもあるだろう。
このアンバランスな軽さを、どう感じるかで、好みが分かれそう。
読みやすくてポップだ、と肯定的に思うか、物足りないと、感じるか。
個人的には、もっとどろどろしたものが欲しかった気もする。
基本的にはB級テイストだが、意外と丁寧に組み立ててあるし、終盤のどんでん返しも上手く決まっていたと思う。
ただ、この手の漫画は主人公サイドに感情移入できる対象がいないと、どうにもテンションが上がらない。
その点は、残念。
あと、仮にも一人の一般ピーポーの悪霊だか怨念だかが、あそこまで派手になるのはいかがなものか。
ノれる曲とノれない曲って、やっぱりある。
「ノリのいい曲」だからって、ノれるとは限らない。
このリズムに、メロディに、ノれる人がいるのはわかるけど、自分はノれない。
そういうことって、ある。
それが、好みというものである。
そんな音楽と一緒で、「ノれれば楽しいんだろうな」と思いつつ、私は、ライブハウスの片隅でしらけているタチの悪い観客のような位置で、この漫画を眺めていた。
どう考えても「そこまでやる必要あるか?」という漫画だけれど、やりすぎの美学みたいなものがあって、その過剰さに乗っかれれば、とても楽しい作品だと思ったし、無視できないオリジナリティーのある漫画だとも感じた。
皮肉でも嫌味でもなく、ノれなかった自分が、残念だ。
個人的に、都市伝説の類は非常に好きである。
漫画としては、都市伝説を上手に広げて、ストーリーにした印象。
既存の都市伝説だけでなく、オリジナルも入っていて、新鮮味はある。
各エピソードにはちょっとしたひねりが加えられていて、退屈せずに読めた。
ただ、安心して読める反面、都市伝説に対するあっと驚くような新解釈や、ぞっとするような「踏み込み」には乏しく、もう少しおどろおどろしいものが読みたかった気もする。
あくまで、都市伝説をモチーフにした、ライトなホラー、という位置づけか。
画力は完全にマイナス。
だが、絵柄はホラーに合っている。
特にホラーやサスペンスの場合、技術的な問題とは別に、絵柄の「合う・合わない」があり、その点は、セーフではなかろうか。
ホラー部分とミステリ部分のバランスがよく、怖がらせる一辺倒になっていたらグダグダになっていたところを、上手く回避した。
荒削りではあるものの、荒削りゆえの洗練されないパワーを感じる、なかなかパンチのきいたホラー。
最近よくある「ゲームもの」の中でも、際立って空っぽ。
個々の死には何の重みも価値もドラマもなく、「ゲーム」の真意も狙いも冗談みたいなもので、「意味づけ」を徹底して拒否しているように思える。
特に「バスケ少年」のシーンなんかは、漫画におけるドラマチックな死、に対するアンチテーゼのようだった。
それを薄っぺらさと感じるか、潔さと感じるか。
まあ、短い間ドキドキして、後には何も残らない、そういうジェットコースターみたいな漫画も、あっていいと思う。
少年漫画のヒーローの、現実には出来ないような大冒険や武勇伝を読んで、少年たちは、胸がスカッとする。
それとこの漫画は、本質的には同じ構図ではないかと思った。
ただ、対象が女性で、大人だ、ということであって。
駄目男をバッサリ成敗するのは、現実ではなかなか難しい。
殺傷力の高い言葉が上手く出てこなかったり、決まったと思ったらカウンターを食らったり、切る決心をしたはずなのにズルズル続いてしまったり。
そんな、駄目男に対するイライラと同時に、駄目男を見事にやっつけられない自分自身へのモヤモヤも、晴らしてくれるような漫画なのではないかと感じた。
ただ、私は愚かな男性の側なので、そこまで感情移入は出来なかった。
性差についてあまり語りたくはないが、私が女性であったなら、評価は違っていただろうと思う。
悲しいながらに世相を反映した漫画であり、今の時代に読まれるべき漫画のひとつではないかと思う。
その事実が辛くて、途中で読むのをやめてしまった。
私の気分の問題であり、漫画には何ら責任がない。
この漫画を否定するつもりは全くないが、これが「読まれるべき」社会なんて、勘弁してほしい。
私が何を言っても世の中が変わるわけではないけれど、それが正直な気持ちである。
だいたい、現実はもっとずっと酷いのだ。
昔読んだ小説の中に、こんな台詞があった。
「この世が子どもにとっていい場所だったためしはない」。
何てことだ。
醜いものや残酷なものを漫画の中で見るのは決して嫌いではないし、「闇金ウシジマくん」なんか大好きなのだけれど、こればっかりは、どうしても駄目だった。
申し訳ない。
悪く言うと「同じこと」の繰り返し。
だが、それでも退屈させないのは、よくあるサバイバル系のホラーを基軸にしながら、上手に推理モノの要素を取り入れているからだと思う。
ただ、話の性質上、「生き残れるか」という本来最大の焦点になるはずの部分に緊迫感が欠けるのは、ちょっと気になった。
何しろ、基本は何度でも「繰り返す」わけで。
ただ、「助かるとわかっていても怖い」描写には成功しているとは思う。
ドラゴンボールも、「生き返れる」ようになってから、急に緊張感がなくなった。
まあ、関係ないけど。
凶悪犯の実録漫画。
ひとつひとつのエピソードの掘り下げは浅く、ダイジェスト的な印象で、「核心に迫る」というような迫力はない。
「アンビリバボー」の方が情報量は多いくらいだと思う。
ただ、なかなか中立的な視点で「人間」としての凶悪犯を描こうとしているように思えて、そこはちょっと好感を持った。
凶悪犯を、「異常な怪物」として排除したり、単純な悪役と設定したり、グロテスクな興味を煽ったり、そういうアプローチの方が漫画としてはやりやすいだろうが、それをしていない。
「こんなひどい奴がいたんだよ、許せないよね!異常だよね!」という感じではない。
「やったことは許しがたいが、彼らもまた、人間。いったいどこで歯車が狂ったのだろうか?」という語り口。
そして、その答えは、わからない。
その、わからない、ということをきちんと描いている気がして、そこは評価したいと思った。
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