rokaさんの投稿一覧

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121 - 130件目/全150件
  1. 評価:4.000 4.0

    稀なリアリティー

    「現実」の問題を題材にした漫画は多くあるけれど、そのほとんどは、読みながらどこかで「結局、漫画だよな」という感想がつきまとう。
    それは仕方のない話で、漫画としてエンターテイメントをやる以上、何かしらの脚色や誇張が入るのは、当然といえば当然だ。

    しかしこの漫画は、そういう漫画としての演出を、ゼロとは言わないが、限りなくゼロに近づけているのではないか、と感じた。
    それによって獲得された稀なリアリティーが、漫画としてどこまで魅力的かは難しい。
    ただ、ある意味でエンターテイメントを拒絶したその勇気は、賞賛されるべきかもしれない。

    • 119
  2. 評価:4.000 4.0

    道具は人間次第

    世にも奇妙な物語」路線の作品だが、個々のエピソードの完成度が高い。
    話の展開の「ひとひねり」が丁寧に作られていると感じた。
    ちょっとしたことなのだが、特にこのような連作短編形式の漫画は、そのちょっとした差が、大きな違いを生むのだろう。

    また、単に奇妙な世界を描くのではなく、「道具」を作品の真ん中に置くことで、「道具の価値や意義は結局、使う人間次第だ」という一貫したテーマが、綺麗に作品に乗っている。
    「道具は使っても、道具に使われてはいけない」という教訓は、次から次へと便利すぎる道具が産み出される現代社会において、結果的にだが、辛口の警鐘にもなっている気がする。

    • 15
  3. 評価:4.000 4.0

    意外な引き出し

    作者の引き出しの豊富さに驚いた。
    ミステリとしていわゆる「本格」の域ではないけれど、それを求めてこの漫画に手を伸ばす読者はほとんどいないだろう。
    むしろ、意外にちゃんとミステリしている、という印象だった。
    緊張感に溢れるゴリゴリのミステリではなく、一風変わった軽快なミステリである。

    この作者は、漫画としての「ちょうどよさ」みたいなものをよくわかっている気がする。
    このミステリの「軽さ」にしてもそうだし、絵柄にしてもそう。
    疲れずに心地よく読める。
    それこそ料理じゃないが、さじ加減が絶妙である。

    ただ、欲を言えば、最初の「エピソードゼロ」的な話は、もっと後半に持ってきたほうが、構成としてはパリッとしたようには感じた。

    • 2
  4. 評価:4.000 4.0

    なかなかドラマチック

    設定勝負の一発ものかと思いきや、なかなかどうして、ひとつひとつのエピソードはドラマチックである。
    奇抜な設定だけで引きつけて、中身は空っぽ、という作品ではなく、あくまで描きたいドラマがあり、それを引っ張り出すために設定がある、という印象を受けた。

    トリガーの制度は、設定自体は非現実的だが、おそらく多くの人が一度は抱いたことのあるであろう「こいつ、誰か殺してくれねえかな」という感情に基づいており、それが一種のカタルシスに繋がっているのだろう。
    私たちの中にある、感情的に歪んだ「正義」を利用した漫画であり、その計算は、実に巧妙である。

    • 4
  5. 評価:4.000 4.0

    B級の王道

    この人の漫画は、「キング・オブ・B級」という感じで、何とも独特の楽しさがある。

    こういう言い方はとても失礼だけれど、本格のホラーも一級品のアクションも切れ味のあるコメディも描けなくて、それでも漫画が大好きで、必死で生きる道を探して辿り着いたような、素晴らしいB級であると思う。

    映画でも漫画でも、作品に対する愛情を感じるB級は、どれほど血が飛び散るホラーであっても、どこか、温かい。

    • 6
  6. 評価:4.000 4.0

    なんてったってホラー

    あまり期待せずに読んだが、とてもまっとうなホラーで、楽しかった。

    他の方のレビューにもあるが、確かに結末はすっきりしないし、伏線も綺麗に回収されない…というか、伏線らしい伏線もない。
    しかし、この「何だかよくわからない感じ」が、まさにホラーだと思う。

    明確な原因があって、結果がある、そうではなくて、理由も経緯もわからないままに、何か恐ろしいことに巻き込まれる。
    それは不意に始まり、また、不意に終わる。
    ホラーっていうのは、そういうことなのではないかと。

    • 7
  7. 評価:4.000 4.0

    「そこそこ」の遠さ

    ダメ人間ばかりの話。
    ただ、その描き方のさじ加減は巧妙で、
    「現実には人間なんてこんなものかもしれない」と、
    「いや、いくらなんでもこれはないわ」と、
    「あれ、ダメ人間にしてはやるじゃん」の間を、登場人物たちは浮遊する。
    リアルな共感性と、漫画としての演出のバランスが秀逸で、小気味良く読める。

    その中で、「そこそこでいい」というトビオのリアリティーがいい。
    この価値観を漫画の主人公に置いたのは、現代漫画のひとつの発明かもしれない。

    しかし、トビオは知る。
    「そこそこ」は、すごく難しい、ということを。
    それは多分、今の時代、多くの若者がぶち当たる壁なんじゃないか。
    この漫画ほど派手にじゃなくても。
    そういう意味では、すごく時代性をとらえた漫画だと思う。

    • 4
  8. 評価:4.000 4.0

    異次元の挑戦

    登場人物(?)たちの会話のギャグセンスは流石の一言。
    スタートは完全に「いつもの古谷実」かと思いきや、とんでもない異次元に飛んでいきやがった。

    きっと、挑戦だったのだと思う。
    それが今回、成功したとは言いがたい。
    しかし、いつの日か、「あのとき、ゲレクシスがあったから」という作品を、描いてくれるに違いない。
    私は古谷実という漫画家を、そんなふうに信じている。

    • 5
  9. 評価:4.000 4.0

    世界観の楽しさ

    ベースは仏教界なのだが、そこに、昔話から現代ジャパニーズホラーまで飲み込んで、ごった煮にした不思議な世界が広がる。
    滅茶苦茶のはずなのに、しっかりバランスがとれていて、とっちからったカオスでありながら、漫画としてちゃんとまとまっている。
    こういうのをセンスというのかな。
    その絶妙な世界観が楽しい。

    • 5
  10. 評価:4.000 4.0

    ホラーとギャグと

    もともと、ホラーとギャグとは、線引きの難しいものだと思う。
    小さい頃に怖くてしょうがなかった「ホラー漫画」が、今読むとことごとくギャグだったりする。
    この作者はそれをよくわかっていて、本作では確信してギャグの方向に振り切っていると思う。
    絵が「古きよき」ホラー漫画タッチであることもあり、妙にノスタルジックな味わいがあった。

    • 4

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