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作品レビュー
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121 - 130件目/全145件

  1. 評価:4.000 4.0

    なんてったってホラー

    あまり期待せずに読んだが、とてもまっとうなホラーで、楽しかった。

    他の方のレビューにもあるが、確かに結末はすっきりしないし、伏線も綺麗に回収されない…というか、伏線らしい伏線もない。
    しかし、この「何だかよくわからない感じ」が、まさにホラーだと思う。

    明確な原因があって、結果がある、そうではなくて、理由も経緯もわからないままに、何か恐ろしいことに巻き込まれる。
    それは不意に始まり、また、不意に終わる。
    ホラーっていうのは、そういうことなのではないかと。

    • 7
  2. 評価:4.000 4.0

    「そこそこ」の遠さ

    ダメ人間ばかりの話。
    ただ、その描き方のさじ加減は巧妙で、
    「現実には人間なんてこんなものかもしれない」と、
    「いや、いくらなんでもこれはないわ」と、
    「あれ、ダメ人間にしてはやるじゃん」の間を、登場人物たちは浮遊する。
    リアルな共感性と、漫画としての演出のバランスが秀逸で、小気味良く読める。

    その中で、「そこそこでいい」というトビオのリアリティーがいい。
    この価値観を漫画の主人公に置いたのは、現代漫画のひとつの発明かもしれない。

    しかし、トビオは知る。
    「そこそこ」は、すごく難しい、ということを。
    それは多分、今の時代、多くの若者がぶち当たる壁なんじゃないか。
    この漫画ほど派手にじゃなくても。
    そういう意味では、すごく時代性をとらえた漫画だと思う。

    • 4
  3. 評価:4.000 4.0

    異次元の挑戦

    登場人物(?)たちの会話のギャグセンスは流石の一言。
    スタートは完全に「いつもの古谷実」かと思いきや、とんでもない異次元に飛んでいきやがった。

    きっと、挑戦だったのだと思う。
    それが今回、成功したとは言いがたい。
    しかし、いつの日か、「あのとき、ゲレクシスがあったから」という作品を、描いてくれるに違いない。
    私は古谷実という漫画家を、そんなふうに信じている。

    • 5
  4. 評価:4.000 4.0

    世界観の楽しさ

    ベースは仏教界なのだが、そこに、昔話から現代ジャパニーズホラーまで飲み込んで、ごった煮にした不思議な世界が広がる。
    滅茶苦茶のはずなのに、しっかりバランスがとれていて、とっちからったカオスでありながら、漫画としてちゃんとまとまっている。
    こういうのをセンスというのかな。
    その絶妙な世界観が楽しい。

    • 3
  5. 評価:4.000 4.0

    ホラーとギャグと

    もともと、ホラーとギャグとは、線引きの難しいものだと思う。
    小さい頃に怖くてしょうがなかった「ホラー漫画」が、今読むとことごとくギャグだったりする。
    この作者はそれをよくわかっていて、本作では確信してギャグの方向に振り切っていると思う。
    絵が「古きよき」ホラー漫画タッチであることもあり、妙にノスタルジックな味わいがあった。

    • 3
  6. 評価:4.000 4.0

    取り合わせの発明

    当たり前のことなのだが、世の中には、本当に色んな漫画の表現があるんだな、と感じた。

    ストーリーはあってないようなもので、アメリカのB級ホラー映画の表面をなぞった程度のものだが、そのB級スラッシャーに、この絵で挑んだことに意味がある。
    例えて言うなら、ディズニーがB級スプラッターのアニメを制作したような感じである。
    もちろんディズニーは、そんなもの、作らない。
    だからこの漫画は、ちょっとした発明なのではないかと思う。

    個人の好みは置いておくとして、漫画の可能性を感じさせてくれる作品に出会えるのは、嬉しいことである。

    • 3
  7. 評価:4.000 4.0

    漫画の緻密さ

    ストーリーが本格的に動き出すまでにやや時間がかかるが、それもこの漫画の計算にきちんと組み込まれている気がした。
    世界観も物語も、実に緻密に組み立てられており、静かだが、非常にスリリングで、サスペンスフルである。
    また、島の描写も、極めて丁寧で美しい。
    「設定ありき」で、作品の全貌が決まらない中で見切り発車し、挙げ句に迷走する、というような漫画が多々ある中、この緻密さは称賛に値する。

    主人公は魅力に乏しい反面、瀬里沢の冷徹な強さは、際立ってカッコいい。

    • 10
  8. 評価:4.000 4.0

    「子ども」の功罪

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    三億円事件の真相には諸説あるが、「過激派を一掃するための国家規模の陰謀」というのは、さすがにやりすぎの感が強く、説得力には欠ける、と個人的には思う。
    まあ、それはいい。

    基本は少年少女の逃亡劇で、個々のキャラクターにそれぞれカラーが出ていて、ハラハラしながら楽しめた。
    時系列を操作するのはこの作者の得意技なのか、「クダンノゴトシ」でもそうだったが、交錯する現在と過去が、よりいっそうスリルを高めていると感じた。

    陰謀渦巻く三億円事件という「大きな」ストーリー。
    その主人公には、普通にいけば、老練な刑事や探偵が相応しいように思えるが、敢えて「小さな」主人公を設定している。
    それによって、多少の無理は出てしまっているが、少年漫画的な盛り上がりを獲得しているとも思う。

    ただ、個人的にどうにもひっかかるのが、二点。
    ひとつは、夏美の関口に対する母性の覚醒。
    高校一年だろ。
    いくらなんでも無理がある。
    もうひとつは、ラストの大和の選択。
    そこで、死のうとするか?
    倫理的に、とかではなく、物語的に、どうにも腑に落ちなかった。
    この二点は、どちらも「子ども」をメインの登場人物にした弊害だと思う。
    夏美の件はもちろん、大和の件も、例えば主人公が「熱心に事件を追うが、どこか死に場所を探しているようにも見える、悲しげな目をした刑事」だったら…まあ、それじゃ全然違う話になっちゃうんだけど。

    • 3
  9. 評価:4.000 4.0

    古きよきホラーへの回帰

    幼い頃に、「トラウマ覚悟」みたいな気持ちで読んでいた、古きよきホラー漫画を思い出させるタッチ。
    グロ描写やダイレクトなオカルト描写にも迫力があるが、感心したのはむしろ「普通の」描写で、雨の降りしきる山中、謎の老人の暮らすテントの中、そして図書館、そういう何気ないシーンの薄気味悪い描写力が、「これぞホラー」という一級品である。

    主人公の二人の子供は、可愛らしく、カッコよく、幼い時代に読んだらもっと夢中になれたに違いない。

    正直、「話」としてはもう一歩のところもあり、ホラーとして捻りの効いたサプライズや、「なるほど」という含蓄があれば、大傑作になっていたのではないか。

    それにしても、タイトルが素晴らしい。
    大人がいくら止めたところで、子供たちはいつだって、闇夜に遊ぶ。
    そして、大人の決して踏み込めない、闇夜の中の、そのまた真っ暗闇を覗き込む。

    • 3
  10. 評価:4.000 4.0

    彼女が「普通」に生きるまで

    ネタバレ レビューを表示する

    「ヒル」という存在の設定は面白かった。
    ただ、「ヒル」がゴロゴロいたり、仲間を形成していたり、という設定には、ちょっと冷めた。
    「なさそうだけど、あるかも」という際どいラインを完全にオーバーして、「いや、ないだろ」に行ってしまった。
    もっとも、他にも「ヒル」がいることにしないと、どう話を展開させるかは難しいけれど。

    「ヒル」という存在は、深読みしようとすれば、居場所のない若者とか、社会的なマイノリティーとか、色んなメタファーがよぎるけれど、この漫画は、シンプルに、一人の女の子が「普通に生きる」覚悟を決める話でもある。
    「僕たちがやりました」もそうだけれど、「普通に生きる」ことの難しさというのは、現代のひとつのテーマなのかもしれない。

    特殊な方法で生き抜く、客観的にはかなり不気味な存在を扱いながら、主人公の成長物語としては非常に爽やかであり、その微妙なバランスは悪くなかった。

    酷評されているラストだが、物語は断ち切られ、それでも日々は続いてゆく、というような印象で、個人的には好きであった。

    • 51
全ての内容:★★★★☆ 121 - 130件目/全145件

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