3.0
蛇足か否か
爽やかな恋の一場面を描いた短編集。
個人的には「花咲くマーブル」が好きだった。
ただまあ、難しいところなんだけど、正直、「ひとつ手前で終わった方がよかったのでは」という話が目立った。
読んでもらえばわかるが、「ここで終われば」というところから、ちょっと、続く。
その「ちょっと」を、蛇足と感じるかどうかで、評価が分かれると思う。
私は、その「ちょっと」のせいで、余韻というか、魅力的な余白が削がれてしまっているような気がした。
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爽やかな恋の一場面を描いた短編集。
個人的には「花咲くマーブル」が好きだった。
ただまあ、難しいところなんだけど、正直、「ひとつ手前で終わった方がよかったのでは」という話が目立った。
読んでもらえばわかるが、「ここで終われば」というところから、ちょっと、続く。
その「ちょっと」を、蛇足と感じるかどうかで、評価が分かれると思う。
私は、その「ちょっと」のせいで、余韻というか、魅力的な余白が削がれてしまっているような気がした。
京極夏彦の原作の雰囲気をなかなか丁寧に表現しているとは感じたのだが、残念ながら、この漫画の直前に読んだ「鉄鼠の檻」(作画は別の作者)が凄すぎた。
短編と長編の違いもあるから、単純な比較はフェアではないけれど、それにしても、原作の空気の再現度、登場人物の造形の巧みさ、世界観の厚み、表現のインパクト、どれをとっても「鉄鼠」が圧倒的であり、本作は完全に霞んでしまった。
そういうことで、評価は厳しめになってしまったが、決してつまらない漫画ではなかった。
「世にも奇妙な物語」的な連作短編。
一話完結(サイトだと二話)で、私はこういうサクサク読める話は好きである。
ただ、いたって、普通。
普通の、奇妙な物語。
「世にも奇妙な物語っぽい漫画だよ」と紹介されてあなたが想像するとおりの漫画だと思って間違いない。
まあ、こちらとしてもそれ以上の何かを期待して読んだわけではないから別にいいのだけれど、本当に、普通。
よく言えば安心感があるし、悪く言えば驚きがない。
もう一度言うが、普通。
そんな本作に捧げる星は、三つ。
SNSを題材にした「転落モノ」の漫画は最近よくあるが、わりに楽しく読めた。
寒々しいのは、この漫画に出てくる全員が醜い、ということだ。
インスタで幸せをアピールする妻、ツイッターで愚痴る夫、そして、その両者を見世物として嘲笑う妻の友人たち。
全員醜悪。
北野武の「アウトレイジ」という映画は「全員悪人」がキャッチコピーだったが、全員悪人の方が、まだマシである。
①幸福を他人の尺度を借りてはかろうとすると、ろくなことはない。
②お互いをコントロールしようとするような夫婦は、幸せにはなれない。
というわかりやすい教訓談であり、変な言い方だが、現代版「まんが日本昔ばなし」みたいな話だと思った。
他人を極端にコントロールしたがる人間が私は怖いし、出来るだけ関わりたくない。
だが、そういう種類の人間は一定の割合で必ず存在するし、出会ってしまったら、速やかに逃げるしかない。
恐ろしいのは、この漫画の夫婦は離婚「しない」だろう、ということだ(少なくとも、しばらくは)。
妻は、子犬を手のひらで転がしていたつもりが、いつの間にか、悪魔の手のひらの上で踊っていたのだ。
そして、踊り続けるのだ。
まあ、結婚する相手をコントロールしようなどとすると、バチがあたるぞ、ということで。
イメージ的には「笑ゥせぇるすまん」とか「Y氏の隣人」とか「アウターゾーン」の現代版、という感じ。
一話完結でサクッと読める。
よくも悪くもライトなホラーで、この手軽さを魅力と感じるか、物足りないと感じるかは、読み手によると思う。
そもそもだが、「都市伝説」というのは「現代発祥の、根拠不明の噂話」だから、厳密にはこの漫画の話は「都市伝説」でも何でもない。
そういう意味では、タイトルに違和感がある。
しかし、皆が知っている「既存の」都市伝説をモチーフにした漫画はたくさんある中で、新規のストーリーを「都市伝説」として語るその姿勢には、要らん深読みをすれば、「ここから新しい伝説を作ってやるわよ」という意気が感じられないこともない。
もしかしたら、数十年後、この漫画の中の話が「都市伝説」として語り継がれているのかもしれません……信じるか信じないかは、あなた次第です。
なんてね。
まずまず面白く読んだ。
ただ、私の悪い癖なのだが、こういう「裏社会モノ」の漫画を読むと、ついつい「闇金ウシジマくん」と比べてしまう。
そうすると、この漫画は、圧倒的に軽い。
別にやたらと重苦しく描いてくれとは言わないが、ひりつくような死線をくぐっているはずの登場人物たちの印象が、どうにも軽い。
彼らが何を守り、何に生き、何に死ぬことを覚悟しているのか。
私には、それがイマイチ見えなかった。
それが「軽さ」の正体だと思ったし、その軽さは、私の趣向には合わなかった。
ただし、それは「よくも悪くも」なので、この軽さゆえに作品を受け入れやすい、という読者であれば、文句なしにノレると思う。
一気に読んでしまった。
読ませるパワーはかなり強いと思う。
あくまで「大人」のための恋愛漫画。
自分はそこまでひねくれているつもりもないが、さすがに十代のキラキラした恋愛漫画には、「いや、勘弁して下さい」となってしまう。
きっと眩し過ぎるのだ、私が汚れてしまったが故に。
その点、この漫画は、恋愛にまつわる「綺麗事」を徹底的に排除したような作品で、かといって殺伐とすることもなく、気持ちよく読めた。
そういうバランスというのは、難しいし、貴重である。
それだけに、ラストは残念だ。
何というか、「大人」として恋愛することにしっかり向き合う漫画だと思っていたのだけれど、ラストはそれを裏切られたような気がしてしまった。
もっとも、この漫画は、「おぼつかない恋愛と揺るぎない友情」を描いてもいるわけで、そういう意味では、相応しいラストなのかもしれないのだけれど…。
ポケットモンスターじゃあるまいし、「白・黒同時発売」ってなあ…とも思ったが、まあ、それはいい。
「黒」が「リング」系のホラー(あくまでオカルトありきのホラー)だったのに対して、「白」はそのオカルトの起源を描いた「エピソードゼロ」的な内容。
こちらはオカルト的なホラーではなく、「現実」枠内のサスペンス。
突っ込みどころに溢れているのは、「黒」に勝るとも劣らない。
個人的には、「白」「黒」どっちから読んでも問題ないと思った。
時系列を一本道にしてすんなり読みたいならば「白」を先に読むのがいいし、ちょっとモヤモヤを抱えつつ「この呪いの裏にはいったい何が!?」みたいな流れで読みたいならば「黒」を先に、という感じかな。
まあ、もっともらしく書いたけど、どっちから読んでもそんなに変わらない。
ただ、あくまで「白」「黒」二つでひとつの漫画、という気はする。
怨念がらみの「呪いのアプリ」という設定は「リング」、次々に起きる変死は「ファイナルデスティネーション」という洋画をかなり参考にしていると思う。
まあ、パクリ、とまでは言わないが。
人を巻き込んで粉砕するエスカレーター、それを目の前で見ながら、直後には少女漫画ばりにときめいているヒロイン、イケメンだけどやってることは完全にストーカーのヒーロー、雑すぎる呪いの引き金(そんなのが引き金だったら即日皆殺しだろ…)など、突っ込みどころはありすぎる気もするが、B級ホラーのお約束ということで、まあ、それはいい。
それも含めて勢いで読ませる力はそれなりにあったのではないか。
ちなみに「白」「黒」は、どっちを先に読んでも問題ないと思う。
主人公は十分すぎるくらい同情に値するし、ストーリーもシンプルで端正で、読む側としては「やっちまいな!」という復讐モードには入りやすい。
しかし、私はどうにも入り込めなかった。
なぜだろう、と考えて、多分、主人公が普通すぎる、というか、まともすぎるからではないかと思った。
当たり前のことだが、本当の復讐には多大な労力がかかる。
相手が手強ければ尚更だ。
時間とコスト、だけではなく、自分の人格や人生そのものをある程度は犠牲にしなければ、復讐に生きるなんて、無理だ。
私はそう思う。
「いたってまともな」女の子が、復讐なんて出来るわけがない。
一見まともに見えたとしても、少なくとも一定量は、悪魔に魂を売り渡さなければ。
そういう影も闇も、この漫画からは感じられなかった。
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