rokaさんの投稿一覧

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評価1 5% 35
111 - 120件目/全151件
  1. 評価:3.000 3.0

    狂気の説得力、性急な展開

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    養護施設から裕福な家庭に引き取られた二人の少女をめぐるストーリー。

    ホラー映画のパターン的には、こういう話はだいたい「家にやって来る側」が恐怖の存在であることが多い。
    この漫画で言えば、少女が狂っているとか呪われているとかで、引き取った家の人々を恐怖に陥れる、と。
    しかし、この漫画は逆で、少女たちを引き取った夫婦の側がいかれている。
    その点は新鮮に感じられたが、どうにも気になることが、二つ。

    まず、夫婦の狂気にリアリティーを感じない。
    この夫婦の狂気は、簡単に言うと、養護施設から子どもを引き取り、幸福を味わわせた後で、「商売に失敗してやっぱり育てられない」と突っ放すときの、相手の絶望感がたまらないぜ、というものだ。
    私は、これに冷めてしまった。
    そんな狂気、あるかいな、と思ってしまったからだ。
    もちろん、狂気だから、私のような一般ピーポーの理解を超えているのは当然なのだが、作品の中で狂気を描く場合、「理解できないし、意味不明だし、あり得ないけど、あるかも」と思わせるような、一種のバランス感覚が大切であるように思う。
    本作の狂気は、その「あるかも」からあまりに逸脱しているように感じた。

    もうひとつは、展開がはやすぎること。
    二人の少女が裕福で親切そうな夫婦に引き取られ、二人が互いに仲良くなり、閉ざしていた心を開き、家族としてもいい感じになるが、夫婦が「仕事が破綻したから二人のうちどちらかは施設に戻さないと」と話しているのを聞いてしまい(これは二人の仲を裂くための夫婦の芝居で、実際には二人とも施設に送り返す気でいる)、二人は自分の方が残りたいという思いから仲違いするものの、今度は夫婦の真の目的を知り、再び団結して、何と夫婦を殺そうと決意する。
    ここまで、わずか「6話」である。

    はやくない?

    やたら引っ張れとは言わないが、もう少しじっくり丁寧にやってくれよ、という思いは拭えなかった。

    • 10
  2. 評価:3.000 3.0

    ホラー描写のインパクト

    2話完結でサクッと読める。

    昔、「不幸の手紙」という文化(?)があった。
    「リング」の貞子ちゃんは「呪いのビデオ」で広がっていった。
    時代は変わり、「呪いのチェーンメール」だの何だのあって、最近はSNSである。
    その時代の主流のメディアに乗っかって恐怖が拡散されてゆく、というタイプのホラーは、これからも手を変え品を変え量産され続けるのだろう。
    別にそれに反対するわけでもないけれど、個人的には、ちょっと食傷気味である。

    ただ、本作、ホラー描写のインパクトはなかなかで、ホラー漫画としての「画」の強みを感じる部分はあった。

    • 2
  3. 評価:3.000 3.0

    鳥山石燕ファンとして

    実在した江戸時代の妖怪絵師、「鳥山石燕」をモデルにした「烏山石影」を主人公にした妖怪漫画。

    私は子どもの頃からの妖怪オタクであり、鳥山石燕という人は、私にとってはほとんど神様みたいな存在である。
    現代に「姿」を残している妖怪の大半は、「鳥山石燕」→「水木しげる」という流れで存在していると言っても過言ではないと思う。
    この二人がいなかったなら、妖怪という文化そのものが、既に滅びていたかもしれない。

    そんな鳥山石燕を、漫画のキャラクターとしてどう描くのか。
    大いに興味はあったが、正直、ちょっとがっかりした。
    結局、鳥山石燕という「ブランド」を都合よく利用して、少年漫画的なキャラに仕立て上げている程度に過ぎず、石燕への愛情もリスペクトも、私は感じなかった。

    とまあ、厳しいことを書いてしまったが、全てはひとえに私の鳥山石燕に対する思い入れのせいであり、漫画を単独で見れば、決して酷い代物ではない。

    • 4
  4. 評価:3.000 3.0

    蛇足か否か

    爽やかな恋の一場面を描いた短編集。
    個人的には「花咲くマーブル」が好きだった。

    ただまあ、難しいところなんだけど、正直、「ひとつ手前で終わった方がよかったのでは」という話が目立った。
    読んでもらえばわかるが、「ここで終われば」というところから、ちょっと、続く。
    その「ちょっと」を、蛇足と感じるかどうかで、評価が分かれると思う。
    私は、その「ちょっと」のせいで、余韻というか、魅力的な余白が削がれてしまっているような気がした。

    • 2
  5. 評価:3.000 3.0

    比較の問題として

    京極夏彦の原作の雰囲気をなかなか丁寧に表現しているとは感じたのだが、残念ながら、この漫画の直前に読んだ「鉄鼠の檻」(作画は別の作者)が凄すぎた。

    短編と長編の違いもあるから、単純な比較はフェアではないけれど、それにしても、原作の空気の再現度、登場人物の造形の巧みさ、世界観の厚み、表現のインパクト、どれをとっても「鉄鼠」が圧倒的であり、本作は完全に霞んでしまった。

    そういうことで、評価は厳しめになってしまったが、決してつまらない漫画ではなかった。

    • 2
  6. 評価:3.000 3.0

    普通に奇妙

    「世にも奇妙な物語」的な連作短編。
    一話完結(サイトだと二話)で、私はこういうサクサク読める話は好きである。

    ただ、いたって、普通。
    普通の、奇妙な物語。
    「世にも奇妙な物語っぽい漫画だよ」と紹介されてあなたが想像するとおりの漫画だと思って間違いない。
    まあ、こちらとしてもそれ以上の何かを期待して読んだわけではないから別にいいのだけれど、本当に、普通。
    よく言えば安心感があるし、悪く言えば驚きがない。
    もう一度言うが、普通。
    そんな本作に捧げる星は、三つ。

    • 2
  7. 評価:3.000 3.0

    現代版「まんが日本昔ばなし」

    ネタバレ レビューを表示する

    SNSを題材にした「転落モノ」の漫画は最近よくあるが、わりに楽しく読めた。

    寒々しいのは、この漫画に出てくる全員が醜い、ということだ。
    インスタで幸せをアピールする妻、ツイッターで愚痴る夫、そして、その両者を見世物として嘲笑う妻の友人たち。
    全員醜悪。
    北野武の「アウトレイジ」という映画は「全員悪人」がキャッチコピーだったが、全員悪人の方が、まだマシである。

    ①幸福を他人の尺度を借りてはかろうとすると、ろくなことはない。
    ②お互いをコントロールしようとするような夫婦は、幸せにはなれない。
    というわかりやすい教訓談であり、変な言い方だが、現代版「まんが日本昔ばなし」みたいな話だと思った。

    他人を極端にコントロールしたがる人間が私は怖いし、出来るだけ関わりたくない。
    だが、そういう種類の人間は一定の割合で必ず存在するし、出会ってしまったら、速やかに逃げるしかない。
    恐ろしいのは、この漫画の夫婦は離婚「しない」だろう、ということだ(少なくとも、しばらくは)。
    妻は、子犬を手のひらで転がしていたつもりが、いつの間にか、悪魔の手のひらの上で踊っていたのだ。
    そして、踊り続けるのだ。
    まあ、結婚する相手をコントロールしようなどとすると、バチがあたるぞ、ということで。

    • 527
  8. 評価:3.000 3.0

    「都市伝説」ってのは

    イメージ的には「笑ゥせぇるすまん」とか「Y氏の隣人」とか「アウターゾーン」の現代版、という感じ。
    一話完結でサクッと読める。
    よくも悪くもライトなホラーで、この手軽さを魅力と感じるか、物足りないと感じるかは、読み手によると思う。

    そもそもだが、「都市伝説」というのは「現代発祥の、根拠不明の噂話」だから、厳密にはこの漫画の話は「都市伝説」でも何でもない。
    そういう意味では、タイトルに違和感がある。
    しかし、皆が知っている「既存の」都市伝説をモチーフにした漫画はたくさんある中で、新規のストーリーを「都市伝説」として語るその姿勢には、要らん深読みをすれば、「ここから新しい伝説を作ってやるわよ」という意気が感じられないこともない。

    もしかしたら、数十年後、この漫画の中の話が「都市伝説」として語り継がれているのかもしれません……信じるか信じないかは、あなた次第です。

    なんてね。

    • 4
  9. 評価:3.000 3.0

    裏社会の「軽さ」

    まずまず面白く読んだ。
    ただ、私の悪い癖なのだが、こういう「裏社会モノ」の漫画を読むと、ついつい「闇金ウシジマくん」と比べてしまう。
    そうすると、この漫画は、圧倒的に軽い。
    別にやたらと重苦しく描いてくれとは言わないが、ひりつくような死線をくぐっているはずの登場人物たちの印象が、どうにも軽い。

    彼らが何を守り、何に生き、何に死ぬことを覚悟しているのか。
    私には、それがイマイチ見えなかった。
    それが「軽さ」の正体だと思ったし、その軽さは、私の趣向には合わなかった。

    ただし、それは「よくも悪くも」なので、この軽さゆえに作品を受け入れやすい、という読者であれば、文句なしにノレると思う。

    • 12
  10. 評価:3.000 3.0

    ラストが…

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    一気に読んでしまった。
    読ませるパワーはかなり強いと思う。

    あくまで「大人」のための恋愛漫画。
    自分はそこまでひねくれているつもりもないが、さすがに十代のキラキラした恋愛漫画には、「いや、勘弁して下さい」となってしまう。
    きっと眩し過ぎるのだ、私が汚れてしまったが故に。

    その点、この漫画は、恋愛にまつわる「綺麗事」を徹底的に排除したような作品で、かといって殺伐とすることもなく、気持ちよく読めた。
    そういうバランスというのは、難しいし、貴重である。

    それだけに、ラストは残念だ。
    何というか、「大人」として恋愛することにしっかり向き合う漫画だと思っていたのだけれど、ラストはそれを裏切られたような気がしてしまった。
    もっとも、この漫画は、「おぼつかない恋愛と揺るぎない友情」を描いてもいるわけで、そういう意味では、相応しいラストなのかもしれないのだけれど…。

    • 14

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