rokaさんの投稿一覧

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評価1 5% 35
101 - 109件目/全109件
  1. 評価:5.000 5.0

    牛のジェットコースター

    死の予言から逃れようとする若者たちのサスペンス。
    「件」とは一体何なのか?
    運命を変える術はあるのか?
    というのがストーリーの基本線だが、死に直面した登場人物たちの生き様や、交錯する思惑も見もので、「みんなで協力して運命に立ち向かう」という単純な構図とは一線を画している。
    時系列を錯綜させる構成や、一種の群像劇的な見せ方も、技術の高さが半端ではない。
    「モンタージュ」にしてもそうだが、この作者は作中で時系列を操作するのが上手い。
    そしてまあ、信じられないくらいに物語は動きに動く。
    本当に、動きすぎて困った。
    この過剰な「動き」を受け入れられるかどうかが、評価の分かれ目になると思う。
    個人的には、大満足。
    どちらかと言えば、ジリジリ迫りくる死の恐怖を、牛のように単調な動きのスローなストーリーで見せるのが似合いそうな題材なのに、繰り広げられるのはジェットコースターもびっくりの怒涛の展開。
    あまりにもスピーディーで、あまりにもサスペンスフルな傑作。

    • 5
  2. 評価:5.000 5.0

    もう「殿堂入り」でいい

    学生時代はとても楽しく読んだし、今読んでも好きなエピソードはある。
    子どもでもついていける明るいトーンでありながら、時々、ギクッとするくらい人間のダークサイドや運命の残酷さに切り込んでくる、妙なバランス感覚が好きだ。
    「金田一少年」のように「復讐」に偏った犯人像ではなく、保身、金銭欲、誤解、奇妙なこだわりなど、動機が多岐にわたるのも見所がある。
    ときには「これ、コナン君だよな?」と思うような哀愁や切なさが犯人に滲む回があり、それが大好きだった。
    個人的には、「クモ屋敷」のエピソードがイチオシ。
    何より、殺/人事件という、一般に健全とは見なされがたいモチーフを、漫画の一ジャンルとして、あり得ないほどポップな地平に押し上げたその功績は、もう「殿堂入り」と言って然るべきではないだろうか。

    • 46
  3. 評価:5.000 5.0

    隠れた名作

    レビューの件数からすると、あまり知られていないのだろうか。
    「贋作」をモチーフにした、心踊るミステリである。
    基本的に一話が短く、どんどん読めるし、やめどきが難しいくらい引き込まれる。
    作品のキモはディテールで、古今東西の美術にまつわる作者の丁寧なリサーチには頭が下がる。
    それでいて、一般読者がついていけないようなマニアックな次元まで走ることはない、そのバランス感覚も絶妙だ。
    また、実在の美術品をアイテムに使いながら、事実を上手に広げたり膨らませたりしてエンターテイメントとして成立させる手腕には脱帽する。
    まるで秘匿された美術品そのもののような、隠れた名作。
    是非、多くの人に読んでほしい。

    • 26
  4. 評価:5.000 5.0

    神は細部に宿る

    今回は「ゴッドファーザー」を下敷きにしたマフィアもの。
    「いつものジョジョ」の楽しさももちろんあるが、舞台であるイタリアに対する荒木飛呂彦の徹底したリサーチぶりが素晴らしい。
    その姿勢、やはり、荒木飛呂彦は岸辺露伴だよな、と思った。

    • 12
  5. 評価:5.000 5.0

    男性も女性も善も悪も超えて

    「ジョジョ」初の女性主人公ということで、最初は「どうなんだ」と思ったが、どうもこうもなかった。
    主人公は男性であることも女性であることも超越して、「ジョジョ」なのであった。
    また、「善悪」を一応は設定しておきながら、本作の着地点はその遥か向こう側であり、「ジョジョもここまで来たか」という深みを感じさせる。
    まるでイーストウッドの映画みたいじゃないか。

    • 14
  6. 評価:5.000 5.0

    「ジョジョ」という発明

    「スタンド」というアイテムにしても、漫画としてのある種異様な表現方法にしても、「ジョジョ」というのがもう、ひとつの発明であって、これがなければ生まれてこなかった、という作品はたくさんあるのではなかろうか。
    そういう意味では、優れたパイオニアであり、同時に決して追いつけない完成品でもあるという、稀有な傑作だと思う。

    • 6
  7. 評価:5.000 5.0

    玉に傷

    少年漫画として、ほとんど完璧だと思う。
    異様な休載の多さを考慮しなければ、私には非の打ち所が見つけられない。
    それを「玉に傷だよね」と笑って許せるかどうか。
    私は、余裕で許してしまう。
    作者がどんなに不誠実でも怠惰でも傲慢でも(本当にそうかは別だけどね)、生まれてくる漫画が、あまりにも素晴らしいから。

    • 92
  8. 評価:5.000 5.0

    アイデア一本からの飛躍

    「人生が記録されたDVDがある」という、「世にも奇妙な物語」的なアイデア一発から、よくここまで広げたな、と感心する。
    下手をすれば、一発屋的な打ち上げ花火で終わるか、同じようなパターンの焼き直しに終始する可能性もあったはず。
    たったひとつの食材を、ねじ曲げず、腐らせず、ゾッとするほど後味の悪いスリラーから、心暖まるヒューマン・ストーリーまで、多彩に料理してみせた、その手腕に拍手を送りたい。

    • 69
  9. 評価:5.000 5.0

    こういうふうにしか生きられない

    「こういうふうにしか生きられない」ということの絶望が、古谷実という作家のテーマなのではないかと思っている。
    育った環境も幼少期のトラウマも関係なくて、「決まってしまっている」ことは、あるのだ、と。
    じゃあどうすればいい?
    どうしようもない。
    だから、絶望なのであって。
    そのテーマを「こちら側」から描いたのが「ヒミズ」で、「あちら側」から描いたのが「ヒメアノ~ル」なのだと思う。

    • 13

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