5.0
隠れた名作
レビューの件数からすると、あまり知られていないのだろうか。
「贋作」をモチーフにした、心踊るミステリである。
基本的に一話が短く、どんどん読めるし、やめどきが難しいくらい引き込まれる。
作品のキモはディテールで、古今東西の美術にまつわる作者の丁寧なリサーチには頭が下がる。
それでいて、一般読者がついていけないようなマニアックな次元まで走ることはない、そのバランス感覚も絶妙だ。
また、実在の美術品をアイテムに使いながら、事実を上手に広げたり膨らませたりしてエンターテイメントとして成立させる手腕には脱帽する。
まるで秘匿された美術品そのもののような、隠れた名作。
是非、多くの人に読んでほしい。
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ギャラリーフェイク