4.0
読んでよかった
山本さんも元奥さんも、今でも自分は被害者だと思っていて、でも一番の犠牲者はさくら。
後半さくらの心情が丁寧に描かれていたのがとてもよかった。
成長してお父さんのことを忘れてしまったのではなく、大好きだった家庭が壊れて悲しすぎて今でも悲しいままだから、封印を解けずにお父さんを無視してしまったのが切なすぎる。
結末ははっきりと描かれていないけれど、私はさくらと山本さんは会えて、それぞれ少しずつ前を向いて生きていけるようになったと思う。(山本さんが見たさくらが笑っている夢は、その予兆)
そのきっかけを作ったのは、なぜ今までお父さんに会いに行かなかったのか、手紙をシュレッダーにかけてしまったのか、泣きながら自分の心と向き合ったさくら。
人は犯罪行為まではいかなくても、取り返しのつかないことをしてしまうこともある、その時はそうするしかなかった。でもなぜそうしてしまったのか、その結果誰が傷ついたのか。
山本さんと鈴木さんの出会いのような、その後の人との出会いの中で自分を省みて心と向き合えば、被害者だけではない自分に気付いて本当の意味で前を向ける、そんなことを教えてもらった気がします。
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