5.0
「血統」の犠牲者たち
王とその妃とくると、おとぎ話では「いつまでも幸せに暮らしました」となるはずだが、実際には、権力争いに巻き込まれたり、政治に翻弄されたりと、碌なことはなさそう…そして、古今東西、いつの時代でも問題になるのが「継承問題」…競走馬や和牛でもあるまいし、それほど「血統」を維持することが大事かっ?て思うけれど、うん、大事なんだろうな、それを大事に思う人々にとっては…。そういう意味で、「大奥」や「側室制度」、「一夫多妻」が、存外理にかなったシステムというのも頷ける。ただ、当の本人たちは、どうだったのだろう…種牡馬?繁殖牝馬? 本作は、その「血統」に翻弄された3人の犠牲者の物語とは言えまいか。
3人とは、ベルタ、ハロルド王、そして、正妃マルグリーテ。微妙に「悪者」仕立てになっちゃったけれど、一番の犠牲者は、やっぱり正妃でしょ。血が近いせいで、何度も流産を繰り返し、挙句の果てに、第二妃があっさり出産、それも髪色、肌色の違う子を…ともなれば、追い詰められて当たり前。王サマ、何とかできなかったの?と思ってしまいました。
この漫画自体は、ハッピーエンドの体をとっていますが、明らかに正妃の犠牲の上に成り立っています。だからこそ、ベルタには強く正しくあってほしい…そう願ってやみません。続話のコミカライズを強く希望して、星5です。
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うっかり陛下の子を妊娠してしまいました~王妃ベルタの肖像~