4.0
境界線はどこ?
「いじめ」の境界線は、被害者が「いじめられた」と認識した時点で、いじめとなる。いくら加害書が、「悪ふざけだった」とか「そんなつもりは、なかった」と言っても、許されるものではない。
では、ストーカーは?「好き」という気持ちを、強く表しただけ?相手に気付かれない、あるいは迷惑をかけなければ、許される?むしろ、イケメンハイスペック男子なら、大歓迎?アイドルの推し活なら許されて、仁科さんの行動は許されない?ストーカーの境界線が、曖昧になりつつある本作です。多分、藤子が仁科さんを「ストーカー」と認識した時点で、ストーカー行為となるのでしょう…。
では、被害者の藤子が、加害者の仁科さんに共鳴し始めた場合は?ストックホルム症候群でもないのでしょうが、藤子の気持ちが揺らいできているのは事実。ストーカーは犯罪なので、仁科さんのこれまでの行動は、明らかに許されることではない。けれども、一途に思い続けてくれたことの延長線上の行為と考えれば、判断に迷いも生じてくるでしょう。この物語、着地点が混沌としてきました。
ある意味、今、最も結末を予想しにくい作品かもしれません。「ストーカー」と「溺愛」の境界線は、一体どこになるのか、読者に問題提起をしているように思います。
-
1
癒やしのお隣さんには秘密がある