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ダブルエッジの意味するもの
タイトル「ダブルエッジ」の意味。それは、地球上の男全てが滅びてしまえばいいと思う反面、普通の女子高生のように恋がしたいと願う謡の心そのものを表しているのではないでしょうか。手を伸ばしたくても伸ばしきれない、そんな苦しみを抱えた一人の少女の再生物語です。
どんな形でも暴力は許されない…このお話を読むと、本当にそう思います。14歳で男に襲われた経験から、男性恐怖症になってしまった謡は、傷付いた心と記憶を抱えて、この先も生きていかなければならないのでしょう。噂だけが独り歩きして、一家で引っ越しせざるを得なかった謡一家の当時の苦しみは、SNSの情報に振り回されがちな私たちにとって、決して他人事ではないような気がします。
謡にとって幸いだったのは、それでも、家族が味方になってくれたこと、血の繋がらない弟修平が(当時の謡は知りません)ずっとそばにいて、守り続けてくれたこと、そして、彼女自身、芯の強い心の持ち主だったことです。そんな謡だからこそ、とのさんを見つけ、とのさんに向かって一歩を踏み出すことができたのでしょう。
初期には、とのさんの元カノなども登場して、多少波風が立ったものの、基本的には3歩進んで2歩下がる謡を、とのさんが我慢強く、あたたか〜く、大きな愛で包みながら、4年間+2年間待ち続けるお話です。現実の男でそんなに待てる男いるかぁ〜?と思わないわけではありませんが、ま、夢を見させてくださいな。
3歩進んで2歩下がる2人の関係は、読者をヤキモキさせるかもしれませんが、それだけ謡の心の傷が深いということ。一進一退を繰り返しながら、それでも好きになった人に向かって歩み続ける謡の姿は、応援したくなるし、きっと共感できると思います。とのさんが作ったギターが、謡を守っていたこと、このギターが10年前から2人を結び付けていたことのエピソードに至っては、もう奇跡としか言いようがない!少女漫画よ、ありがとう。
個人的には、修平絡みのエピソードが推しです。修平の謡への思いが切なくて切なくて、謡が2人いればよかったのに…と思ってしまうほどでした。せめてすみれさんが、セカンドベストではないことを願っています。
ところで、素直な疑問を1つ。年齢不詳のとのさんですが、結婚後、謡はとのさんを何と呼ぶのでしょうね???
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初恋ダブルエッジ