5.0
その瞳に映すのは…
雇用機会均等法、ジェンダーレスと、一見、性差の関係なく活躍できる社会になりつつあるものの、男性が本気で暴力を振るおうとしたならば、その体格差、体力差から、女性が抵抗できる可能性は、かなり少ないのではないだろうか。
この物語のヒロインメルティアも、そんな被害者の一人。どんなに気高い精神を備えていても、それを発揮できる環境に恵まれず、さらに自尊心をへし折られては、人は輝けない。男を前にすると、目を開けられないというのは、自分の尊厳を守ろうとする、せめてもの彼女の防衛手段。トラウマというひと言で、片付けたくはない。同時に、モラルと法律に守られている現代社会は、感じている以上に、実は生き易い世界なのかもしれない。
ヒーローのアルトルは、メルティアの印象とは異なり、とても紳士的。ここからも、自分たちに都合のよいように情報を操作してきた王国の悪意を感じる。一見、ただの政略結婚のように見えるアルトルとメルティアだが、彼女の意思を尊重し、大切に扱うアルトルの行動から、どうもそれだけではなさそう…溺愛の種火が見え隠れ?
視線を合わせなくてもよいときは、アルトルに慣れてきたメルティア。相手の気持ちに寄り添って、信頼を積み重ねようとするアルトルの姿勢が素晴らしい。メルティア、あなたの世界にも、その瞳に映す価値のある男性は、たくさんいるはずだよ。アルトルも、きっとその一人。これから、二人の距離がどんどん近付くことを期待して、星5決定!
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北部戦士の愛しい花嫁