5.0
「嵐が丘」…拗れすぎた二人
「荒地に吹く春」というタイトルから、すぐに連想したのはブロンテの「嵐が丘」。ヒースクリフたち同様、この物語のヒロインエセンとヒーロークリフも、見事に拗れ切った二人。ロミジュリは、思い込みと先走りで、悲劇を生み出してしまったけれど、この二人は、「憎み合うこと」を自らに課してしまったが故に、がんじがらめに…。まるで、「言霊」が力をもったかのようです。
従来の転生物語と趣が異なるところは、ヒロインが、自分の死後の顛末を知り、自らの死を後悔して、回帰を望んだこと。そして、そうまでして回帰したのに、クリフに対する自分の気持ちを、今一つはっきりさせられないこと。死を経てもなお、二人の関係がままならない原因の一つです。
対するクリフは、究極のツンデレ男。強い言葉で、自分を武装させなければ、愛する女性と向き合えない不器用さ。言葉では、エセンを攻撃しているのに、行動で愛を語ってしまうところが、哀れを誘います。
1周目、我が子を残して命を断ったエセルには、絶対共感できないけれど、それでも生き直しの可能性を与えられた2度目の生。二人は、真実の言葉で語り合えるのか、そして、エセルは自分が見た悲惨な未来を変えることができるのか…クロフト家とムオ家を縛る恩讐の彼方に、今度こそ春がやってくることを期待し、星5です。
-
37








荒地に吹く春