5.0
幸せに生きるために〜道子の選択
美しく、逞しく、強かなヒロイン道子。どこか浮世離れした、気のいい風情の兄栄人。シニカルな目で世の中を見つつも、純粋さが見え隠れする弟譲。この三人が作り出す三角関係は、二等辺三角形?不等辺三角形?…正三角形でないことは、確かです。ヒロイン道子の視点で物語は描かれていますが、実はどこか高い場所から、栄人がこの顛末を俯瞰しているような…そんな印象さえもってしまいます。
紅をさす指って、薬指じゃなかったっけと思いつつ、小指は約束を確かめる指。誰との、何の約束を示唆しているのでしょうか。道子が、自活のために始めようとしている、化粧品雑貨店の商売の行方と相まって、とても気になるところです。そして、もう一つ気になるのは、譲の存在理由…栄人のためだけ?単なる華族の後継ぎとその弟という以上の、もっと複雑な事情が、この二人にはありそうです。
冒頭の垢抜けた洋装の道子は、何年後の設定なのでしょう。そして、その手を取るのは、栄人なのか譲なのか…現代では考えられない、時代と身分と価値観に翻弄される三人、彼ら全員に幸あれと願いつつ、今後の展開を見守ろうと思います。
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紅さす小指に婚姻を