4.0
エッセンシャルワーカーのすすかぶり
ホワイトカラー、ブルーカラー、肉体労働者、知的労働者、3K、etc…職業に貴賎はないといいながら、「差別」する用語はいくらでもある。「すすかぶり」を蔑むこの「黒蝶」の村だけが、決して異様で特別なわけではない。コロナ禍でも、エッセンシャルワーカーと呼ばれる人々が、最前線で社会を支えてくれたおかげで、文化的且つ快適な生活を維持できたことは、記憶に新しいはずである。
この物語での宵と夜光は、まさにエッセンシャルワーカー。宵が集めた黒蝶を、夜光が祓うことによって、村の平安が維持されているのだから、夜光だけでなく宵も「生き神様」として大事にされてもおかしくないのに、何故「すすかぶり」と蔑まれ続けるのか…女神の「すすかね」が、関係しているんだろうなぁ…。
そもそも自分に降りかかるはずだった災い(黒蝶)を、生き神に祓って貰い、安寧を得ようとするこの村のシステムこそポンコツ。苦労知らずばかりの、恩知らず集団に成り下がっている。この村が、いつか破綻することを願ってしまう自分、相当根性悪…。
灰被りのシンデレラは、王子様が迎えに来て幸せになったようだが、煤被りの宵の幸せはこれから。せめて漫画の中でくらい、健気で良い子が報われてほしいと願うのは、甘すぎだろうか。
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夜の生き神様とすすかぶりの乙女