3.0
読んではいけない
作品として、読み物としては、かなり緻密に描き込まれていて、大変優れたものだと思う。けれど、確実に精神がやられます。私はやられました。俺は大丈夫と言う人がいたとしても、心のどこかに書き込まれてしまうに違いない。人は理由があれば殺してもいい、と言うことを。
この世界は、フィクションか、現実か。どちらでもあると私は思う。実際に、この世界のどこかで行われていてもおかしくないし、それを知っていて書いているのかもしれない。検索したら、似たようなゴシップネタがワンサカ出てくるだろう。若い頃は、世の中の恐ろしいものや目を覆いたくなるようなものも、ドキュメントとして積極的に摂取しようとしていた。けれど今は、なるべく目の当たりにしたく無い。存在する事は既にもう知っているから。
昔、高校生を主役にした暴力映画が話題になり、真似をして暴力を振るう子供が出たら、その映画が悪いとワイドショーを騒がせたことがあった。私もそのときはわからなかった。けれど、今ならわかる、そのどちらもイエスなのだと。残虐行為行うものは、その育ちから素地が既にできており、実際に行ったかどうかだけの差なのだ。その差は大きいけれど、精神はすでに病んでいるのだ。この漫画も読むことで同じことをするものが出たとしても、漫画を責められない。けれど私は同罪だと思う。真に受けて狂うものと、扇動するもの。そしてそれらを意図的にコントロールしようとするもの。人は愚かしい。そこで疑問が湧く、この命は誰かが損なってもいいのだろうか。理由があれば、なくしてもいい。その愚かしさは、すべての狂気に通じる。それらを救うのはただ1つ、見えない力への恐れ、自然への畏敬の念。
それを持たないものは、この漫画を読むべきではない。
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