メダリスト:キャスティングの裏側 アニメならではの魅力 山下愼平Pインタビュー(2)

配信日:2025/02/23 7:01

「メダリスト」の一場面(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会
「メダリスト」の一場面(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会

 「次にくるマンガ大賞2022」でコミックス部門1位に選ばれたことも話題のつるまいかださんのフィギュアスケートマンガが原作のテレビアニメ「メダリスト」。今年1月にテレビ朝日の深夜アニメ枠「NUMAnimation(ヌマニメーション)」で放送をスタートし、フィギュアスケートの世界に憧れる少女・結束いのりとスケーターとして挫折した青年・明浦路司が、指導者と選手として栄光のメダリストを目指す熱いドラマ、美しく迫力のあるフィギュアスケートの演技シーンが注目を集めている。結束いのり役の春瀬なつみさん、明浦路司役の大塚剛央さんら声優陣の熱演も話題となっている。アニメを手掛けたKADOKAWAの山下愼平プロデューサーにキャスティングなど制作の裏側を聞いた。

 ◇原作者、スタッフ満場一致のキャスティング 「全員が同じ方向を向いていた」

 「メダリスト」は、マンガ誌「アフタヌーン」(講談社)で2020年に連載を開始。幼少期からの選手を取り上げ、「五輪を目指すには5歳から始めなければ遅い」とされるシビアなフィギュアスケートの世界を選手、指導者、選手の家族といったさまざまな視点から描き、連載当初から話題を呼んでいた。

 山下プロデューサーは、キャスティングについて「我々もアニメ化させていただきたいと原作サイドにお話しした時点から、『メダリスト』の原作CMに出演されていた春瀬さんが、いのり役の第一候補ではありました」と明かす。

 とはいえ、春瀬さんはオーディションの末、いのり役を勝ち取った。

 「ほかのキャストと同じく、オーディションという形で実際に演技をしていただきました。結果、改めて我々も、春瀬さんの声を聞いて『いのりだな』と思いました。その上で、監督や音響監督も『こういう演技をしてほしい』というところはあったので、ご本人とも打ち合わせしながらアフレコを進めていきました」

 いのり役の春瀬さんに限らず、司役の大塚さんも原作者を含め「満場一致で、迷う余地がなかった」といい、「ほかのキャスト全員そうでした。今回のキャスティングは、つるまいかだ先生、⼭本靖貴監督、私たちの意見がぴったり一致していたんです。ゲストキャラも全員はオーディションこそしなかったのですが、今泉雄一音響監督や音響スタッフの皆さんが挙げたキャストがぴったりで、全員が同じ方向を向いていた気がします。何も悩まないオーディション、キャスティングでした。そういうことはなかなか珍しいかもしれないです」と語る。

 ◇米津玄師の話題のOP 起用の裏側

 アニメ「メダリスト」は、シンガー・ソングライターの米津玄師さんが手掛けるオープニングテーマ(OP)「BOW AND ARROW」も話題になっている。米津さんは、原作ファンを公言しており、「アニメ化するという情報を見かけ、できることなら曲を作らせていただけないだろうか、と打診したことがBOW AND ARROWを作るに至るきっかけとなりました」と語っている。

 山下プロデューサーは、「作品を大きくするために、OP、ED(エンディングテーマ)は親和性の高いアーティストさんにお願いしたいという思いがありました。アニメにおいてアーティストの力は大きくなっています。他作品でもお世話になったソニーミュージックの担当者とも『メダリスト』はどなたにお願いするのがよいのか相談し、しばらく悩んでいる時期があったんです」と語る。

 「OPにうまくハマる人がいないなと思っていた中で、米津さんサイドがもしかしたら『メダリスト』に興味があるかもしれないという話を聞いたんです。その時点では、詳細は分かっていなくて、後々ご本人からのアプローチだったことが分かりました。レーベルサイドと連携が取れていたこともあって、私たちが悩んでいるタイミングでそうした情報を偶然拾い上げられたとも感じています」

 既にOPを担当するアーティストが決まっていたら、米津さんサイドの意向をアニメの制作サイドが知らないままだったら、「BOW AND ARROW」は生まれなかったかもしれない。

 ◇原作の良さを最大限に生かすために

 アニメ「メダリスト」は、講談社、テレビ朝日、日本スケート連盟といった関係各所、演技シーンの振り付けを担当する鈴木明子さんらフィギュアスケーターの協力を得て制作されている。また、キャスティング、主題歌アーティストの起用にもドラマがある。

 山下プロデューサーは、「メダリスト」のアニメならではの魅力を「やはり原作が本当に好きで集まっているみんなが、原作の良いところを最大限に生かす。アニメならではの時間、動き、音で、原作がやりたかったことを実現するために映像化している」と語る。

 「原作の良さを生かす」と言っても、アニメとして描く場合は原作の全てのせりふ、全てのシーンを入れることは難しく、「原作のいいところを取捨選択していくのが結構大変でした。シナリオ会議が一番大変だったかもしれない」という。

 「シナリオ会議の時も脚本の花田十輝さんがかなり考えてくださって、『このエピソードはこっちにまとめることによって、アニメから見た人が受け入れやすいのではないか』とか。山本靖貴監督も経験豊富な監督なので、アニメを見ている人が楽しいと思ってくれるように、フィギュアスケートシーンはできるだけ止めずに見せたいと。一方で、原作で人気のあるせりふは入れたいとも思いますし、みんなで試行錯誤しながら、どの構成がいいのか悩みながら作っていきました」

 シナリオや制作工程に関しては、原作者のつるまいかださんにも毎回確認をとっており、「僕たちも原作の先生と一緒にアニメを作りたいですし、そうすることでより良いものになるだろうと思っています。結果的に、先生とは常に一緒にいますね」と語る。

 原作に魅せられた多くの人が参加し、同じ方向に向かって作り上げられているアニメ「メダリスト」。今後の見どころについては「新キャラクターも登場し、それぞれが悩みや苦しみの中でフィギュアスケートにどう立ち向かっていくのかが描かれます。もちろん演技シーンもありますし、皆さんが作品をもっと好きになってくれるであろうシーンの連続ですので、楽しみにしていただけたらと」語っていた。

提供元:MANTANWEB

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