小林星蘭:「遊んでいいんだ」 戦い続けてきた“自信の無さ” 打ち勝った瞬間 アニメ「THE RIBBON HERO」インタビュー
配信日:2026/08/08 20:01
手塚治虫さんの名作「リボンの騎士」を原案とするアニメ「THE RIBBON HERO リボンヒーロー」が、Netflix映画として8月8日に世界独占配信された。同作で主人公・サファイアの友達・パインの声優を務めるのが、俳優の小林星蘭さん。幼い頃から子役として活躍し、ドラマや映画のほか、アニメ「若おかみは小学生!」の主人公おっこ役、「僕のヒーローアカデミア」のエリ役など声優としても活動している。小林さんは子役時代からずっと「“自信の無さ”と戦い続けてきた」といい、今作ではそんな自分に打ち勝った瞬間があったという。収録の裏側を聞いた。
◇自分と似ているキャラクターを等身大で
「THE RIBBON HERO」は、リボンを結び、運命にあらがうことを決めた一人のヒーローの物語。失われた王国の王女サファイアは、災厄“ネルガル”に故郷シルバーランドの全てを奪われ、絶望の果てにゴールドランドへとたどり着き、人々の優しさに触れ、平和な日常を送っていたが、再び災厄“ネルガル”が現れる。サファイアは涙を振り払い、剣を取ることになる。
小林さんはシナリオを読み、「いい意味で複雑な部分が織り込まれている」と魅力を感じた。
「サファイア自身の抱えているものや、シルバーランド、ゴールドランドが抱えている状況がある中で、サファイア以外のキャラクターたちが抱えているもの、戦っているものがすごく見えてきて、個々のキャラクターがしっかりと生きている感じがしました。その複雑さが刺さりました」
小林さんが演じるパインは、ゴールドランドの下層で暮らす引っ込み思案な性格の少女で、ゴールドランドにやってきたサファイアの初めての友達となる。自身も「すごく内向型」という小林さんにとっては共感できるキャラクターだった。
「すごく自分と似ていて親近感が湧きました。それに、作品の世界観がファンタジー要素もある中で、パインちゃんは現実の17、18歳の女の子に近いイメージもあってリアルさを感じました。好きなことに熱中しちゃうと、自分の中でパッと世界が広がって心の声が流れちゃったりして、そこが可愛らしさであり、人間味が出るところであり、魅力的な部分かなと思います」
パインは、一人で敵と戦うサファイアの心の支えにもなるキャラクター。演じる中では、17、18歳の等身大の少女を意識した。
「アニメ作品ですし、すごく可愛らしいキャラクターだったので、ちょっと高めの声でしゃべろうかなと思っていたのですが、序盤の収録の時に『自分の等身大の声に近づけて大丈夫』と言ってくださったので、普段しゃべっている声に近づける意識になりました。ただ、真面目な話をしている時は等身大でリアル感が必要かなと思っていたんですけど、リアクションを取るシーンは大げさに振る舞うことが多かったので、緩急で差をつけようと。そこは、自分から『録り直していいですか?』とお願いして、監督とも相談しながら詰めていきました」
◇「だいぶはっちゃけた」 遊び心を持ってチャレンジ
パインは、ネルガルに立ち向かいボロボロになっていくサファイアの姿を見て、自分も「誰かのために何かがしたい」と得意な歌で思いを届けようとする。小林さんは歌の収録にも挑戦した。
「私自身、パインちゃんと同じで歌うこと自体は好きなんですけど、得意ではないのでどうしようかなと……。ただ、技術面でどうにかなるものでもなかったので、とにかくサファイアの心にしっかり届くように歌おうと思いました。パインちゃんの歌は、特に終盤では重要になってくるので、小細工はせずに『届け』という気持ちが乗るように意識しました」
作中で変化し、成長していくパインを見て、「こんなに変わってく様子がはっきり見れるんだと思うと、そんな役を演じられてすごくうれしかったし、そんなパインちゃんを自分がどれだけ表現できるかなと試行錯誤ができたので、収録もすごく楽しかったです」と演じる楽しさを感じた。
これまでもさまざまな人気作に声優として出演してきたが、今回は新たな発見があった。
「『遊んでいいんだ』と思えました。これまでは監督が想像しているキャラクターをうまく表現できるようにと、真面目にきっちり一つずつ取り組んでいた部分があったんです。ただ、今回は一人での収録で、ほかの方と一緒じゃない分、自分からリテイクをお願いできたり、『いろいろ遊んでみよう』『提案してみよう』と思えたんです。例えば、パインちゃんがみんなの前で歌を歌うシーンで、恥ずかしさと緊張で顔がボン!と爆発するシーンがあるんですけど、そこは自ら口で『ボン!』と言っちゃおうと思ってやってみたら、そのまま通していただけて。チャレンジしたこと、自分の遊び心を通してもらったことが、自分の中では一歩成長できた面だったなと思います」
小林さんは、実写作品も含め「真っすぐ取り組んじゃうタイプなので、自らアドリブを入れることもほとんどない」という。それが今作では「だいぶはっちゃけたほうだと思います」と殻を破ることができたと語る。さらに、今作でのチャレンジによって、子役時代から「戦い続けてきた」という自信の無い自分にも変化があった。
「永遠にそうなんですけど、自信の無さとずっと戦っています。周りの方には『もっと自信持っていいと思うよ』と言われるんですけど、なかなか自信が出ない。この作品を収録している時も『これで合っているのかな?』と自信の無さと戦っていたんですけど、出来上がった映像を見て、自分がいろいろ挑戦できたこともあって、いつも以上に観客として楽しめたんです。それは今までの自分にはなかった気持ちだったので、うまくやれたんじゃないかなって。ようやく自信の無さとの戦いで“一勝”できたなと思えました」
◇自分にとってのヒーローは?
作品を通して、これまでの戦いから「一歩抜け出すきっかけをいただけた」と語る小林さんは、作中で成長していくパインともリンクする。パインにとってのヒーローがサファイアであるように、小林さんにもヒーローとして憧れる存在はいるのだろうか。
「『この人みたいになりたい』というのはないんですけど、好きなアーティストさんのライブに行ってパワーをもらうことは多いです。Mrs. GREEN APPLEさんとTOMORROW X TOGETHERさんがすごく好きなんですけど、自分の中ではヒーローに近いかもしれないです。舞台の上でたくさんの人の視線を浴びて、それでもそこに立つことを楽しんでらっしゃる姿から得られるものが大きくて。自分自身も立つ側だからかもしれないのですが、いつも救ってもらっているし、背中を押してもらっています」
小林さんは「THE RIBBON HERO」に登場するキャラクターたちの中にも「見ている人それぞれに、自分にとってヒーローと思えるような、同じ悩みを抱えて戦っているような存在がいるんじゃないか」と語る。
「ストーリーも魅力的ですし、画(え)もすごくきれいなので、そこももちろん楽しんでいただきたいのですが、キャラクターそれぞれが戦っているものに注目していただけたらよりこの作品を楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。パインとサファイアの関係性もほほ笑ましい部分もあり、胸がキュッとなる部分もあり、友達という関係性の特別さが見えるんじゃないかなと思います」
(しろいぬ/MANTANWEB)
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