長谷川育美:「名探偵プリキュア!」インタビュー キュアエクレール初変身の裏側 “プリキュア声優”としての覚悟
配信日:2026/07/26 9:00
人気アニメ「プリキュア」シリーズの第23弾「名探偵プリキュア!」。7月19日に放送された第25話「キュアエクレールの正体」で、謎に包まれてきたキュアエクレールの正体が、帆羽くれあであることが明らかになった。7月26日放送の第26話「キュアエクレールの復活!」では、くれあの初めての変身シーンが描かれた。キュアエクレール/帆羽くれあ役の長谷川育美さんに「プリキュア」への思いや初変身の裏側を聞いた。
◇オーディションの独特の緊張感
「名探偵プリキュア!」のモチーフは「探偵」で、テーマは「自分で見て、感じて、考えて、“本当”の答えを出す」。「困っている人を助けたい」という思いを胸に探偵として活躍する女の子たちが主人公で、不思議な力に導かれ、明智あんなが現代の2027年から1999年にタイムスリップする。時代を超えて、プリキュアの新しい出会いと友情、成長の物語が描かれている。ABCテレビ・テレビ朝日系で毎週日曜午前8時半に放送中。
長谷川さんが「プリキュア」シリーズに出演するのは初めてではない。2022~23年放送の第19弾「デリシャスパーティ プリキュア」にも出演経験がある。「プリキュア」シリーズのオーディションを受けるのは今回が2度目だった。
「『デパプリ』ではいろいろな役を演じさせていただきました。数年前に『プリキュア』シリーズのテープオーディションを受けたことがありましたが、その後は機会がなく、今回が2度目の挑戦でした。最初からキュアエクレール役でした。私は『おジャ魔女どれみ』の世代で、『プリキュア』の主題歌は歌っていたりしましたが、ほとんど見たことがなかったんです。『プリキュア』に自分が携わるということも、それまであまり考えたこともありませんでした。今回、オーディションのお話をいただき『受けられるんだ!やりたい!』と思い、初めてスタジオオーディションに挑戦させていただきました」
長谷川さんは「空気感が独特でした」とスタジオオーディションを振り返る。
「緊張感が漂っていました。いい意味でピリッとしていて、集中力が高まるような空気だったんです。私は『楽しもう!』と気負わずに臨もうとしていたので、『私、もしかして場違い?』と焦るくらいで(笑)。オーディション自体は本当にあっさり終わったんです。テストで一回読んでみたら、『今の感じで大丈夫です。じゃあ本番いきます』と言われて、本番を読んだらすぐ『ありがとうございました』と終わってしまいました。『あれ、意外にあっさり終わった』と手応えらしい手応えはあまり感じられませんでした。ただ、ディレクションがなかったということは、自分の持っていったイメージと合っていたのかな?と安心したところもありました」
手応えはあまりなかったようだが、大役をつかんだ。オーディションは緊張感があったようだが、収録に入ると「プリキュア」ならではの温かい空気の中で演じられることに喜びを感じるようになった。
「マネージャーさんに『スケジュールで相談したいことがあるので事務所に来てください』と連絡があって、その時点で、直感的に『あ、プリキュア受かった気がする』とピンときていました。期待しすぎて、落ち込むのは嫌なので『そんなわけないか』と思い直して事務所に行ったら、『決まりました!』と伝えられ、私の直感が合っていた!といううれしさもありました。オーディションの時はものすごい緊張感がありましたが、実際に収録に入ってみると、すごく平和な空気感なんです。私は、帆羽くれあ、キュアエクレールという少し特殊なキャラクターではありますが、メインキャストもゲストも関係なく、みんなでワイワイしています。スタッフさんたちとのコミュニケーションも多くて、本当に温かい現場なんです。『プリキュア』という作品が持っている温かさやきらめきは、こういう空気だからこそ生まれてくるんだな、と日々感じています」
◇正義感や強さが加わったくれあ
「名探偵プリキュア!」の放送が始まる前からキュアエクレールの存在は明かされていたが、正体が謎に包まれていた。くれあは第2話から登場しているキャラクターで、この時点ではキュアエクレールであることは明かされていなかった。
「くれあは記憶を取り戻すまで、自分がキュアエクレールであることに気付いていません。裏があるような含みを持たせる必要は一切なかったんです。パティスリーチュチュのパティシエのお姉さんで、おいしくて幸せになるようなお菓子を作りたいという純粋な優しさを持った女の子として演じていました。ただ、キュアエクレールとしての記憶が戻ると、変わってくるところがあります」
今後、くれあはどんな変化をしていくのだろうか。
「『みんなを幸せにしたい』という本質は変わりませんが、そこに『自分の力で救うんだ』という正義感や強さが加わります。プリキュアとしての凛々(りり)しさやたくましさが乗ってくるので、演じる上でもグッと強さが出てきます。エクレールは強いキャラクターでもあります。『大丈夫。私、強いから』『私の力はこんなもんじゃない』と自分で堂々と言い放つようになります。これまでのくれあからは想像もつかないような格好よさが出てくるんです。演じていて、たまらなく魅力的ですし、本当に大好きですね」
これまでの優しさに、強さが加わることで、より魅力的に見えてくるようだ。ただ、それだけではない魅力もあるようだ。
「格好いいだけではなくて、実はポンコツなところもあるんです(笑)。完璧なお姉さんに見えて、猪突猛進だったり、実は抜けた部分もあったりして、ギャップがあっておちゃめなんです。そこが魅力にもなっています」
◇子どもたちがどう受け取るか
第26話では、キュアエクレールの変身シーンを初めて演じた。
「本当に緊張しました! アンサー、ミスティックが先に変身してから、エクレールが変身するという流れで、ひかちゃん(千賀光莉さん)とえーでちゃん(本渡楓さん)が息を合わせて変身して、それを見てから、変身することになり、一人だけの変身が心細くなってしまって(笑)。ドキドキしながら、期待と緊張が入り混じった中で変身シーンを待っていました。変身のセリフは『トップオブリリーフレグランス!』『フローラルスピン!』などすごく難しいんです。現場でも話題になっていました。声を張って高らかに名乗るのが難しくて。最初は緊張もあって、今の言い方で合っているかな?と探りながらテストをしていました。『オープン!』というセリフも最初は気合が入りすぎて、たくましくなりすぎたので『もう少し優しく』とディレクションをいただき、調整しました。最初の頃は本当に大変で、プリキュアならではの難しさを実感しました」
「プリキュア」シリーズは子どもたちに大人気のアニメだ。子どもたちが見ていることも意識しながら演じている。
「『子どもたちがどう受け取るか』という視点でディレクションをいただくこともあり、すごく新鮮ですし、面白いと思いました。私が役に入り込んで凛々しく強めにセリフを言った際、『子どもたちは少し怖く感じるかもしれない。もう少し優しさを混ぜてほしい』というお話もありました。日曜朝に放送していて、歴史ある作品ならではの丁寧さを感じて、深く感動しました。プリキュアショーでは、子どもたちに直接語りかけるので、分かりやすいようにあえてゆっくりしゃべったり、子どもたちの反応を少し待つような間を意識してセリフを投げるんです。初めての経験ですし、すごく楽しいんです」
長谷川さんは、テレビやプリキュアショーを見ている子どもたちのことを想像しながら役に向き合っている。
「私はまだショーに行けていないんです。ほかのキャストの方は行っているのですが、くれあがキュアエクレールであることが明かされる前は、ずっと我慢していました。情報が解禁されたので、私も現地に行って、子どもたちの熱量を直接体感したいです。今からとても楽しみにしています。自分の中で『プリキュアのキャストであること』をすごく背負っている感覚もあります。子どもたちが見ているのはキャラクターですが、演じている身として、自分自身も『エクレールに恥ずかしくない人間でいたい』という意識が芽生えています。勘違いかもしれませんが、毎週演じているうちに、自分自身もヒーローになっているような感覚が生まれてきました」
◇プリキュアの奇跡的なバランス
「プリキュア」シリーズは、2004年2月に第1弾「ふたりはプリキュア」がスタートし、20年以上にわたって愛されている。
「最大の魅力は『格好いい』と『可愛い』が完璧なバランスで共存していることだと思います。どちらかの印象に偏るのではなく、ヒロインであり、同時に格好いいヒーローなんです。奇跡のようなバランスです。エクレールもまさにそういうキャラクターです。気品や可愛らしさがありつつ、戦うときはキリッとたくましく格好いい。20年以上の長い歴史の中で、テーマやキャラクターを変えながら、格好よさと可愛さの奇跡的な両立が守られている。そのすごさを肌で感じています。劇場版の収録で、『キミとアイドルプリキュア♪』の皆さんとお会いしたとき、先輩もいれば後輩もいるのですが、全員に対して自然と敬意が湧いてきました。1年間戦い抜いてきたプリキュアたちに対する尊敬の念があったんです。特別な絆を感じました」
長谷川さんは晴れて“プリキュア声優”に仲間入りした。
「やっと『プリキュアの声優です』と世の中に言えるようになりました! 情報解禁前は『プリキュアやるの?』と聞かれても、のらりくらりとかわし続けてきたので(笑)。やっとこうやってプリキュアについてお話できたことがうれしいですし、今後も皆さんとお話できることが本当に楽しみです。これからも一生懸命エクレールを演じていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!」
くれあは今後、新たな一面を見せてくれるはず。熱い思いを胸に、その変化と魅力を表現していく長谷川さんの演技に、今後もぜひ注目してほしい。(阿仁間満/MANTANWEB)
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