和泉風花:「氷の城壁」インタビュー 「感情がジェットコースター」 安曇美姫を「勇気を持って」表現
配信日:2026/04/05 11:01
阿賀沢紅茶さんの集英社マーガレット発の縦スクロールマンガが原作のテレビアニメ「氷の城壁」が、TBS系28局で毎週木曜午後11時56分に全国同時放送されている。高校を舞台に、孤高の女子・氷川小雪、学校のアイドルの安曇美姫、“距離ナシ男子”の雨宮湊、優しく穏やかなバスケ部員・日野陽太の4人を中心とした青春群像劇が描かれる。同作で、主人公の氷川小雪の幼なじみである安曇美姫を演じるのが、人気声優の和泉風花さん。和泉さんは作品の大ファンで、安曇美姫を「勇気を持って」表現したという。作品の魅力や、収録の裏側を聞いた。
◇原作に共感しすぎて… 美姫役に不安も
「氷の城壁」は、2020年1月~2022年4月に「LINEマンガ」で連載された。人と接するのが苦手で、他人との間を壁で隔ててしまう氷川小雪は、高校では幼なじみの安曇美姫以外とは関わらず、一人で過ごしていたが、なぜか距離を詰めてくる雨宮湊やのんびり優しいバスケ部員・日野陽太と出会う。繊細でリアルな心理描写が多くの読者の共感を呼び、「LINEマンガ」の累計閲覧数が1億6000万回を突破し、コミックスの累計部数が200万部を超えるなど人気を集めている。
和泉さんは連載時から作品の大ファンで、「当時は今より当然若かったんですけど、共感しすぎて、ちょっと嫌な気持ちになるようなシーンもあるくらいでした」と語る。
「当時は読んでいて、自分を透かして見ているような気持ちになることも多かったです。ただ、みんなが悩みや葛藤をちゃんと乗り越えて進んでくれるからこそ、楽しく読めるし、よりキャラクターや作品への愛着が強くなる作品だなという印象です」
美姫は中学時代に友達関係で失敗した経験から、高校では本来のガサツな自分を抑えて、クラスのアイドル的存在として振る舞っており、本来の自分とのギャップに悩んでいるキャラクターだ。和泉さんは、中学、高校時代の自分と美姫がリンクするところがあると明かす。
「私は中学の時、すごく明るくて、けっこうにぎやかに過ごしていて(笑)。でも、中学の時に、周りとの関係性が少し変わったタイミングがあって、なんとなく居心地の悪さを感じるようになったんです。みんなの中心になるようなことをしていたけど、それによって嫌な思いをした人がいたかもしれない、ひょっとして中心にいる意味ってない?……と悟りを開いてから高校に入って、静かな子になったんです。私はどのポジションにいたらいいんだろう?と、まさに美姫のように自分の居場所がふわっとしてしまって。でも、それもだんだん疲れてきて、虚無になって(笑)、取り繕うのもやめて、変に明るくもしないし、おとなしくもしないで過ごしてみたら、意外と友達がいっぱいできて。無理して明るくして中心にいなくても一緒にいてくれる子っているんだと。結果的に、高校生活はめっちゃ楽しかったです」
まさに美姫とシンクロするような体験をし、思い入れの深い作品となった「氷の城壁」。アニメへの出演が決まった時は喜びも大きかったが、同時に好きな作品だからこその不安もあった。
「好きだからこそ、『私は美姫ではない』という思いもあって。美姫ほどパワフルじゃないし、明るくもないし、できるかな?という不安はすごくありました。ただ、オーディションの時に、監督さんと助監督さんが『本物の美姫が来たぞ』と言ってくださったらしくて。自分が思っているように演じたら、ちゃんと美姫として成立するんだと思い、自信を持って伸び伸びとできるようになっていきました」
◇音が荒くなることも気にしない 気持ちだけで芝居を
和泉さんが美姫と向き合う上で大切にしたのは「難しいことを考えすぎない」ことだった。
「美姫は、思い立ったら即行動というか、考える前にもう動いちゃう子だと思っています。すごくポジティブだけど、自分がポジティブとも多分思っていない。悩みがあっても『解決しよう』と思うんじゃなくて、もう解決しようと動き出している。だから考えすぎずに、掛け合いで生まれた感情をそのまま出せるように意識していました」
美姫は「感情がジェットコースター」とも感じ、目まぐるしく動く感情を表現する難しさもあったという。
「Aパートの約15分の中ですごく喜んでいたと思ったら、急に悩みだして、暴れだしてみたり、本当にジェットコースターなので、その感情の持っていき方はかなり難しかったです。私は感情の流れで芝居を組み立てていくスタイルなので、短いカットの中でギュッと持っていかなきゃいけない。美姫の感情がここまでピークになるきっかけは何なんだろう?と、毎回きっかけ探しをしていました。家にいる時から現場に行ってアフレコが始まるまで、どう気持ちを持っていくか考えたのは、この作品が初めてでした。どういうメンタルで作っていこうかなと」
「音を気にせず、気持ちだけで芝居をしたい」という思いもあった。
「音が荒くなったり、美姫のベースの声から外れることも一旦気にせずにやってみたいと音響監督さんに相談させていただきました。正直勇気がいったんですけど、それが美姫らしいかなと思って、挑戦してみました。結構剥き出しの状態だった気がします。美姫を演じると、腕と肩が疲れるんですけど、すごく心も消費したような気持ちになります。感情の表現が繊細な作品だからこそ、自分の中の繊細な部分から感情を引っ張り出してきて、それを何回もやるので、すごく心がぐったりするんです。多分、これは『氷の城壁』アフレコあるあるだと思います」
◇信頼し合えた現場 4人が同じ温度感で
アニメでは、美姫役の和泉さんのほか、小雪役の永瀬アンナさん、湊役の千葉翔也さん、陽太役の猪股慧士さんと、旬の若手声優がメインキャラクターの4人を演じている。収録現場では「4人が信頼し合えていたと思います。勉強になることが本当に多かった」と振り返る。
「原作を好きでしっかり読んでいたからこそ、自分の中にキャラクターのイメージがあったんですけど、違うアプローチになることもたくさんあって。でも、ちゃんとキャラクターとして生きていて、『そういう方向から持っていけるプランもあるんだ』と発見もありました。技術的な面でも感情的な面でも、すごく勉強になりましたし、この作品を通してアフレコって難しいなと改めて実感しました。皆さん、キャラクターへの愛情があって、4人とも結構考えてしまうタイプだと思うので、真面目に丁寧に作品作りをしていて。同じ温度感で芝居をできていた気がします」
和泉さんが、原作ファンゆえの不安とプレッシャーを乗り越えて挑んだアニメ「氷の城壁」。「アニメーションとして、すごく魅力的に仕上げていただいているので、すごく楽しめる作品だと思います」と語る。
「キャラクター一人一人が一生懸命考えて生きているので、途中で見終わるなんて多分できないと思います。それぞれがどんな選択をしてどんな結末になるのか、絶対見たくなると思います。視聴者の方の心の中で、まだ振り切ることができていないものがあったら、この作品を見て消化できたり、解決の糸口になったり、力になるんじゃないかなと思います。作品としてとても面白いので、楽しくご覧いただけるはずです。全部、最後まで見てほしいです」
(しろいぬ/MANTANWEB)
提供元:MANTANWEB











