BEASTARS FINAL SEASON:千本木彩花インタビュー ハルと歩んだ7年 「出会えて本当によかった」
配信日:2026/03/21 12:00
「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載された板垣巴留さんのマンガが原作のアニメ「BEASTARS(ビースターズ)」の完結編「BEASTARS FINAL SEASON」のPart(パート)2がNetflixで独占配信を開始した。アニメ第1期の放送を開始した2019年から約7年が経ち、ついに完結した。約7年にわたってヒロイン・ハルを演じてきた千本木彩花さんに同作、ハルへの思いを聞いた。
◇特殊な収録の裏側
--アニメがついに完結しました。
寂しいという気持ちが第一です。テレビアニメの第1期の収録が終わったとき、原作はまだ連載中でしたが「最後までやり切りたいね」という話をしていました。最後までいくとしたら、どれくらい先なのだろう?と思っていたら、ついに終わってしまい、最後までハルを演じさせていただけることはうれしいのですが、やっぱり寂しいです。
--声を先に収録するプレスコだったようですが、印象的だったことは?
プレスコとは聞いていたのですが、最初は戸惑ったことを覚えています。みんなで体当たり、試行錯誤しながら頑張っていきました。私は小林さん(レゴシ役の小林親弘さん)と収録させていただくことが多く、第1期でハルとレゴシがホテルで一緒に過ごすことになるシーンは、同じような体勢で寝転がりながら収録しました。少し気まずいから、ほかの人は外に出て、ライトも少し暗くして収録したことが印象的でした。「FINAL SEASON」Part2では、ハルがレゴシの家で横になり、レゴシの鼓動を聞くシーンも同じような距離感で収録しました。
--特殊な収録だったようですが、それがプラスに働いた?
それはあると思います。共演者の方から得られる情報量が圧倒的に増えますしね。ノイズが入ってしまうので、スタッフの方々の技術と熱量によってできたことだと思います。テレビアニメの第1期を最初に見たときは感動しました。本当に素晴らしいんです。それもあって、終わってしまうことが寂しくなっちゃうんですよね。
◇ハルの気持ちをすごく理解できる
--約7年にわたりハルを演じてきました。ご自身にとってハルはどんな存在になっている?
友達、親友のような存在です。私が一番そばで見てきましたし、自分とすごく似ている部分もあると思うのですが、全然似てないところもあって、勉強させてもらったり、違う視点を見せてもらったりしているので、自分の中でハルは友達や親友のような存在になっているんです。7年にわたって演じる中で、ハルの考え方が私の中に根付いていますし、こういうときだったらどうするかなと考えることもあります。
--似ているところ、似ていないところとは?
似ているところは結構ズバズバ言うところですね。「これ以外はいらない」みたいなことができるところが似ていて、私も「これがあればほかはいらない」と考えるところがあるんです。似いてないところは、他人を深追いしないところや他人との距離感だと思います。ハルは、モヤモヤしながらも自分がやるべきことがあるから、レゴシのことを待とうとします。私だったらモヤモヤしたら聞きたくなるし、答えを出そうとするけど、ハルは自分の中で考えて、待っていられる。大人なんですよね。レゴシは学校も辞めて、一匹暮らしを始めますが、私だったら、気になって毎日会いに行くと思うんです。そこは全然違うなと思います。
--ハルは複雑なキャラクターです。どこを芯に演じようとしましたか? 難しいと感じたことは?
似ている部分があるから、難しいとあまり思ったことがないんです。面白かったのが、ジュノ役の種﨑(敦美)さんとテレビシリーズのときに話していたのですが、種﨑さんはハルのことを本当に理解できない、演じられないと言っていたんです。私はジュノのことが理解できなくて、演じられないと思っていて。ジュノは、プライドがしっかりあって、でも少し恥ずかしがり屋で、目立ちたがりでもあります。その案配が難しいんです。逆に、私はハルを理解しやすかったんです。初期は、自分の中で自分自身の価値を証明したいところがあって、自分がここにいるんだと実感したいという目的があります。そこを大事にすれば、演じることができました。ルイに対しては、目的は一緒かもしれないけど最終的なゴールが違うと感じます。
--ハルとルイ、レゴシの関係はどのように捉えていた?
ルイとの関係は、この瞬間はお互い好きかもしれないけど、住んでいる世界も全然違うし、「別にあなたじゃなきゃダメ」ということはないと感じていました。レゴシは、ハルにとって「あなたじゃなきゃダメ」な存在で、レゴシに「ハルちゃんじゃなきゃダメなんだ」と言われ続けています。自分の寂しい気持ちではなく、自分自身がほしいと言ってくれる。私はすごく分かるんですよね。自己肯定感が低かったハルにとって、レゴシとの出会いは大きな出来事なんです。それは食欲と紙一重なのですが、それを超えて自分のところに来てくれるから、信用していく。私はすごくハルの気持ちがよく分かります。
--理解できるから自然に演じることができた?
そうですね。私が同じことをするかというとまた別の話ですが、ハルの気持ちをすごく理解できました。難しいキャラクターかもしれませんが、紐解いていくと意外とシンプルになっていきます。そこは分かりやすかったかもしれないです。
--レゴシ役の小林さんと共演する中で感じたことは?
レゴシが小林さんじゃなかったら、こんなふうにはできていなかったと本当に思います。引っ張ってもらいましたし、すごく信頼していて、一緒に作っていくことができました。
--第1期が始まったとき、現場では最年少だったと聞きました。
ハルの環境と似ていたのかもしれません。何にも知らない中で挑むことができました。この現場で教えてもらったことが自分の役者人生の中でもすごく生きています。それこそ、相手の顔を見てお芝居するような意識は忘れてはいけない。どの現場でも感じることですし、出会えて本当によかったと心から思っている作品です。だから、終わってしまって、ぽっかり穴が開いちゃう感じがして、寂しいんです。
◇レゴシと一緒なら幸せ
--「FINAL SEASON」Part2の「それでも、2匹なら。」というキャッチコピーも印象的です。
その言葉に尽きると思います。ハルとレゴシは異種同士だから批判的な目にさらされ、理解されないところもありますが、ハルとしては、狼とか関係なくレゴシと一緒なら私は幸せだと考えています。「それでも、2匹なら。」と言ってもらえる相手と出会えて、本当によかったと私は思いました。
--「SEVENTEEN」のエンディング主題歌「Tiny Light」も話題になっています。
これまでのことを思い出させてくれるすごく素敵な曲ですよね。Part2は重いところもありますが、レゴシやルイ、ハルを突き動かすのは、やっぱり若さだと思うんです。だから、メロンという存在にも立ち向かっていけるし、自分自身の正義を貫ける。その若さが、曲調とすごく合っているんです。初心に返してくれる感じがします。園芸部のハルが最初に花に水をあげていたのを思い出すような歌詞もあります。レゴシがおじいちゃんになっても思い出すのは、きっとあの園芸部のハルのなんか後ろ姿だったりするのかな?と思います。自分の心の小さい種に水を与え、生きる意味を教えてくれたのがハルで……と伝わってきます。
--最後に改めて「BEASTARS」の魅力をどのように感じているのか教えてください。
動物に落とし込んでいるところですよね。これってもしかして……と気付きを与えてくれます。レゴシにしても、もっと強く描くこともできるかもしれませんが、戸惑いを持っているキャラクターにたどり着いたことが本当にすごい。先生の脳の中を一度見たくなるくらいすごい作品です。 (阿仁間満/MANTANWEB)
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