安彦良和:幻のアニメ「ヴイナス戦記」 “封印解除”で「案外いい」「手描きのよさを感じる」
配信日:2026/03/15 16:33
安彦良和さんが監督を務めた劇場版アニメ「ヴイナス戦記」が、国際アニメーション映画祭「東京アニメアワードフェスティバル2026(TAAF2026)」(同実行委員会・日本動画協会主催)の招待作品として3月15日、池袋シネマ・ロサ(東京都豊島区)で上映された。同作は、1989年に公開されたが、安彦さんが“封印宣言”したこともあって、“幻のアニメ”とも呼ばれていた。公開30周年のタイミングで、安彦さんが“封印解除宣言”したことによって、ネガフィルムが開封されたことも話題になった。安彦さんが“封印”について語り、制作当時を振り返った。
「ヴイナス戦記」は、「クラッシャージョウ」(1983年)、「アリオン」(1986年)に続く安彦さんの3作目の劇場版アニメとして1989年に公開された。商業的に成功したわけではなかった。安彦さんは「僕がすねてしまって『封印する』と言って、ソフトを出すのを拒絶した。3年前くらいに、上映会をやっていただきました。久しぶりに見て、案外いいじゃないかなと」と自身で再評価したようだ。
“安彦作品”に参加してきた神村幸子さんが作画監督を務めた。メカニック作画監督は佐野浩敏さんで、メカデザインとして横山宏さん、小林誠さんが参加。久石譲さんが音楽監督を務めた。作画スタッフも豪華だ。若き日の川元利浩さん、沖浦啓之さん、山下将仁さん、仲盛文さん、井上俊之さん、大貫健一さん、大橋誉志光さん、大森貴弘さんらが参加した。
安彦さんは「オール手描きです。今見ると、手描きのよさを感じる。低予算で僕の会社で作ったんです。4人しかいない会社です。だから、ネクタイをしている人を食わせるための経費がゼロになる。字幕(スタッフロール)が少ないけど、これが昭和だったんです。作画監督を置けた。それまでは僕が作監をしていたけど、神村さん、僕が見つけてきた佐野さんにやってもらいました。佐野さんはなんでも描けるし、神村さんは丁寧な動きをする。僕は修正を入れないで、こぼれた原画を描いていました」と振り返った。
小林七郎さんが美術監督を担当し、 植草克秀さんが主人公・ヒロの声優を務めた。背景の一部に実写映像を使ったのも斬新だった。「サンライズにお世話になってきたけど、いろいろあって当時は関係が悪くなっていた。だから自分でやった。垣根が取り払われて、サンライズでお願いできない方に頼めた。小林七郎さんがそうです。ダメ元で声をかけたらやっていただけた。小林さんには『何で実写を使うかな?』と言われました。実写は、アリゾナの砂漠で撮影しています。米国ロケだけど、お金がないので、車にビデオカメラを付けて撮りました。話題性がほしかった。植草君にお願いしたいのもそう」と挑戦的な作品でもあった。
安彦さんは「ヴイナス戦記」をきっかけにアニメ制作の現場から一度引退した。「アニメ界には昔から素晴らしい人がいっぱいいるけど、世の中には知られていない。アニメ関係者も作家になれるんだと思っていた。サンライズは企画書を書かせてくれるので、企画書を随分書いた。『ガンダム』もオリジナルですし、時代の区切りになったのであればうれしい」とアニメへの思いを語っていた。
提供元:MANTANWEB











