佐倉綾音:テレビアニメ「SPY×FAMILY」インタビュー 「ウィーラー編」本格始動! 「すき」に命を懸けるフィオナの覚悟 無口キャラに憧れた過去も

配信日:2025/12/13 7:01

「SPY×FAMILY」の一場面(c)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
「SPY×FAMILY」の一場面(c)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

 集英社のマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で連載中の遠藤達哉さんのマンガが原作のテレビアニメ「SPY×FAMILY」のSeason(シーズン) 3が、テレビ東京系ほかで毎週土曜午後11時に放送されている。12月13日の放送でいよいよ本格始動となる「ウィーラー編」では、人気キャラクターの<夜帷(とばり)>ことフィオナ・フロストが活躍し、これまでとは違った一面を見せる。フィオナ役の佐倉綾音さんに「SPY×FAMILY」やフィオナへの思い、収録の裏側を聞いた。

 ◇個性的なキャラクターの中でもダントツに面白い!

 「SPY×FAMILY」は、2019年3月に「少年ジャンプ+」で連載をスタート。凄腕スパイが、任務のために仮初めの家族を作り、新生活を始める……というストーリー。スパイの父、超能力者の娘、殺し屋の母が互いに正体を隠してフォージャー家として生活することになる。コミックスのシリーズ累計発行部数は3800万部以上。

 佐倉さんは、同作の魅力を「いい意味でジャンプ作品っぽくない」と語る。

 「最初に原作に触れたのがコミックスの1巻が発売されたあたりだったと思うのですが、コミックスのカバーデザインがまず印象的でした。私は自分から少年マンガを手に取ることはあまりないのですが、遠藤先生のスタイリッシュな絵柄とデザインがとても新鮮で『入りやすいかもしれない』と思い、本屋さんで手に取ったのが最初の出会いでした。読んでみると、絵も話も整頓されて分かりやすく、没頭して読むことができました。主人公のあり方自体もかなり論理的で、モノローグの多いマンガなので、新しい感覚で読んだジャンプ作品だったなと思います」

 佐倉さんが演じるフィオナは、<黄昏>扮(ふん)するロイド・フォージャーと同じく西国(ウェスタリス)情報局対東課<WISE(ワイズ)>に所属する諜報員。感情を表に出さないため周りからは敬遠されているが、先輩である<黄昏>に恋心を抱いており、妻であるヨル・フォージャーをライバル視している。

 佐倉さんは「セリフとモノローグのギャップ」をフィオナの魅力の一つと感じているという。フィオナは、Season 1の途中から登場したキャラクターで、「私自身、途中から出てくる新キャラがあまり得意じゃないというか、マンガを読んでいて、新キャラが出てきそうと思うと身構える癖が一読者としてあるんです」とした上で「そんな中でフィオナは格好よくて強い女性で、でも中身にギャップがある。ユーリもそうですが、『SPY×FAMILY』は知れば知るほど愛せるキャラクターばかりで、その中でもフィオナは、原作を読んでいてダントツで面白い新キャラでした」と語る。

 ◇ギャップは「振り切って容赦なく」 「すき」にこだわり

 フィオナは無表情であることが多いが、心の内には<黄昏>に対する燃えるような愛を秘めている。冷静に話していても、モノローグでは「すき」を連呼しているようなシーンもある。激しいギャップを含め、演じる上で意識していることを聞くと、「とはいえ、人間生きていたら真面目に仕事している時でも、ふざけたことを考えている時もあるし。フィオナはいつも本気ですけどね」と、少し意外な答えが返ってきた。

 「真面目に仕事をしているけれど、人生でそういう時って誰しもあるよなと思いながら、自分のそういう記憶を引っ張り出してきて、最大解釈してアウトプットしたらどんな感じかな?と。なかなかモノローグを日常で口に出すことはないですが、それをアウトプットできるところも役者の面白さだと思っているので、やる時は振り切って、容赦なく演じるという意識を持って演じています」

 モノローグで連呼している「すき」に関しては、さまざまなバリエーションを意識しているという。

 「ロイドさんの言動に対して反射で出る『すき』が割と多いのですが、その時は、そのシーンのロイドさんを見て、フィオナにどういう気持ちの動きがあるのかなと考えつつ感じつつ演じています。自分の中でロイドさんのことを思い出して『すき』となる時もまたバリエーションが違うので、臨機応変にその場で出た、感じた『すき』を大事にしています」

 ぶっ飛んだ魅力のあるフィオナと自身の共通点や似ているところについては、「いや、似てたらやばいです(笑)」という佐倉さんだが、「自分が小さい頃にフィオナに出会っていたら、多分一番好きになっていたと思います」と語る。

 「フィオナのデザインがすごく好きで。シュッとしていて、洗練されていて、白髪?銀髪?もすごくきれい。クールな女性に憧れていたので、まねしていたかもしれないです。昔、綾波レイ(『エヴァンゲリオン』シリーズ)のような無口な女性に憧れがあって、無口キャラを目指してチャレンジしていた時期があったのですが、しゃべりたいことがありすぎて全然できなくて。何回も試してみたんですけど、30分ももたなくて(笑)」とエピソードを語ってくれた。

 ◇「ウィーラー編」フィオナの覚悟を目の当たりに 切なさ、申し訳ない思いも

 「ウィーラー編」では、潜入工作員のウィーラーが登場し、ロイドは<黄昏>、フィオナは<夜帷>としてウィーラーを追う。フィオナのスパイの側面が色濃く描かれ、任務遂行のため死を意識するような場面もある。

 「これまで仕事では冷静沈着で余裕しかなかったフィオナに、初めて余裕のなさが見られるエピソードで、彼女のスパイとしての能力の高さが別のベクトルで覚醒する話でもあります。彼女のロイドさんを『すき』という思いに、実はものすごく固い地盤があることがさらに露呈するのがとてもよくて。彼女にとって、命を懸ける価値のある思いなんだなと改めて感じて、ちょっと切なくなるくらいでした。以前、フィオナがロイドにスパイとしての生き方を教わっている過去のシーンが描かれたのですが、それを体現するようなエピソードだったので、改めて演じてみて、彼女はとても特殊な生き方をしているんだなと。寄り添って演じていると、人間味のところだけに目を向けて、『面白い人だな』『演じていて楽しいな』という思いだけになっていたところが一気に現実に引き戻されて、フィオナの在り方の切なさみたいなものを感じてしまって、いろいろ考えてしまいました」

 これまでとは、演じる中での意識に変化もあったという。

 「これまでギャグシーンは、彼女が本気であればあるほど面白いと思っていたんです。彼女は笑わせようと思ってそういう生き方をしているわけじゃないからこそ、私がそれをシリアスに演じれば演じるほどギャップで面白くなるかもと思っていたのですが、そんな客観的な考えすら申し訳ないと思うくらい、彼女はロイドさんのことを愛していて、そこに覚悟も見えて、すごいシーンだったなと思います」

 佐倉さんはさまざまな思いを胸に「ウィーラー編」の収録に臨んだ。放送を前に「自分が視聴者として見た時に残る思いってどんなものだろう?ということを含めて、オンエアが楽しみです」と語る。

 「『SPY×FAMILY』の視聴者の方々は、お子さんも多いですし、普段アニメをあまり見ない方も楽しんでくださっているので、そういう方々がこの話を見て、どう感じるのかなと。難しかったなとか、怖かったなとか、面白かったなとか、なんか切ないなとか、それぞれ受け取り方が違うのかなと思うと、反響も楽しみです」

 アーニャ・フォージャーら子供たちが活躍した「バスジャック編」と打って変わって、「ウィーラー編」は大人たちがそれぞれの任務に挑むエピソードだ。これまでとは違うフィオナの姿に、大人はもちろん、子供たちも感じるものがあるはずだ。

提供元:MANTANWEB

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