薬屋のひとりごと:原作者・日向夏インタビュー 異色の“文字だらけ”の原作展 執筆の裏側が明かされる
配信日:2025/12/07 7:01
小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた日向夏さんの小説「薬屋のひとりごと」の初となる大規模展示イベント「小説『薬屋のひとりごと』原作展 毒と薬、科学とミステリー」(イマジカインフォス主催)が、東京ソラマチ5階のスペース634(東京都墨田区)で12月25日まで開催される。「薬屋のひとりごと」の世界を「毒と薬、科学とミステリー」という切り口で深掘りする。原作者の日向夏さんに、同展や「薬屋のひとりごと」について聞いた。
◇異色の展示にびっくり
「薬屋のひとりごと」は、ヒーロー文庫(イマジカインフォス)から刊行されており、コミカライズも人気を集めている。舞台は、とある大陸の華やかな後宮で、毒見役の少女・猫猫が、美形の後宮管理者・壬氏と共に陰謀やウワサのひしめく後宮で起きる事件に巻き込まれていくことになる。シリーズ累計発行部数が4500万部以上を誇る人気作で、アニメも人気を集めている。
数々の事件の裏側に迫り、深読みできる展示となっている。日向夏さんの視点や裏話と共に事件形式で作品を徹底解剖する。展示を見て、驚くのは“文字だらけ”であることだ。会場で“文字”に囲まれると、小説の世界に入り込んだような錯覚を覚える。“文字だらけ”ではあるが、劇中の事件の鍵となる小物も展示されるなど仕掛けも用意されている。
「びっくりしました。想像以上に文字だらけですね。それだけ読んでくださる方がいらっしゃるということで、ありがたい話です。しかもスカイツリーです。ソラマチです。素晴らしい場所で。本当にありがたい話でございます。私は、意見を求められたら何か言ったり、内容を確認して『あ、はい』と言う係です。小ネタというか、作中に出てきたトリック、元ネタなどもいろいろあります」
日向夏さんの愛読書や愛用品も展示されており、執筆の裏側を垣間見られる。
「パソコンもありますが今が3代目で、前に使っていたモデルが展示されています。Let’s noteです。本当に素晴らしいんです。なにせ丈夫で、壊れません。オロナミンCもありますね。冷蔵庫には20本くらい入っています」
毒や薬草、医学に関する本もあり、執筆の際に参考にしているようだ。
「私は、“にわか”なんですけど、過去にあった事件のニュースを調べて、ネットで検索しただけだと分からないこともあるので、図書館で調べたり、本屋さんで本を探したりして、いろいろ関連付けていくことで、そこからアイデアが生まれることがあります。ストーリーの中でトリックが必要になって、いろいろ読みあさって、トリックを考えることもあります」
◇話題の劇場版はどうなる?
完全書き下ろしのショートストーリーの新作エピソードも週替わりで公開される。展示されるショートストーリーのリーフレットを入場者限定で配布する。
「3つ書き下ろしました。皆さんがどんなものが読みたいかな?と思い、水蓮の話を読みたいという声があったので、『水蓮伝説』を書いています。『摩天楼』は、スカイツリーとつながるような話を書こうとしました。『謎の箱』は、いろいろなキャラクターを出そうと思ったのですが、ショートストーリーなので。そこまで出せなかったのですが、多くのキャラクターが登場します」
「薬屋のひとりごと」は、テレビアニメ第1期が2023年10月~2024年3月、第2期が2025年1~7月に放送された。テレビアニメ第3期と初の劇場版アニメが制作されることも発表されている。テレビアニメ第3期は、分割2クールで、日本テレビ系で第1クールが2026年10月、第2クールが2027年4月から放送される。劇場版は、日向夏さんがストーリー原案を担当した完全新作ストーリーで、2026年12月に公開される。
完全新作ストーリーがどうなるのかも気になるところではあるが、詳細は発表されていない。
「劇場版は、ストーリー原案ですが、かなり頑張った方だと思います。なろうさん(小説家になろう)に出しているくらいのものを書き下ろしました。文字数は3万以上でかなりのボリュームです。シナリオに落とし込む時に、はしょった部分もあります」
先日、シリーズ累計発行部数が4500万部を突破したことが発表されたことも話題になったが、日向夏さんは「すごいですね……」とどこか他人ごとのような様子で「続きを書けと言われるので、私は続きを書くしかないので」と話す。小説の続き、テレビアニメ第3期、劇場版……と今後の展開から目が離せない。
提供元:MANTANWEB











