稲垣好×富田美憂:「終末ツーリング」インタビュー 二人で紡ぐ会話劇と歌 自然と息が合う

配信日:2025/11/30 19:31

アニメ「終末ツーリング」に出演する富田美憂さん(左)と稲垣好さん(c)2025 さいとー栄/KADOKAWA/「終末ツーリング」製作委員会
アニメ「終末ツーリング」に出演する富田美憂さん(左)と稲垣好さん(c)2025 さいとー栄/KADOKAWA/「終末ツーリング」製作委員会

 「電撃マオウ」(KADOKAWA)で連載中のさいとー栄さんによる異色のツーリングマンガが原作のテレビアニメ「終末ツーリング」。ヨーコとアイリの二人の少女が、オフロードバイク・セローにタンデムで走り、誰もいない終末世界を旅する。渋滞もなければ、信号にも止められない状況で、名所の風景を撮影したり、自然いっぱいな街中でキャンプをしたり、滅んだ日本を駆け回る。箱根や横浜・横須賀、世田谷・新橋・有明・東京ビッグサイト、秋葉原……と実在する名所が登場するが、建造物が雄大な自然に侵食されているなど荒廃した世界が舞台となる。荒廃した世界で二人の少女が自然体でおしゃべりする会話劇としての魅力もある。ヨーコ役の稲垣好さん、アイリ役の富田美憂さんに収録の裏側を聞いた。

 ◇とんでもないセリフ量!?

 --作品の魅力は?

 稲垣さん 謎も多く、皆さんもいろいろ考えながら見ていただいててますよね。それももちろん楽しいのですが、異常気象があったり、生物が異常に成長していたりして、知っている風景が終末世界になっているところも面白いところです。お店の中などもしっかり細かく描かれていますし、聖地巡礼も楽しい作品です。

 富田さん 舞台は、関東近辺が多いですし、行ったことがある場所も出てきます。見慣れた場所が終末世界になっていて、変化が面白いんですよね。基本的に二人でしゃべっている作品なのですが、アクションがあったり、ゲストの方も登場したりするので、私たちも全然飽きないんです。ずっと会話を続けられて、演者としてはそこも面白いと感じました。

 --セリフ量も多いのですが?

 富田さん ずっとしゃべってます。

 稲垣さん ゲストの方がいらっしゃると「とんでもないセリフ量だね」と毎回言われます。タイトな尺の中にセリフが詰め込まれているのですが、自然に会話をしてたら、ほとんど直しもなくて、収録時間自体は短いんです。

 富田さん キャストが少ないことも関係しているのかもしれませんが、2時間かからずに終わる日もありますよね。テストで「じゃあその感じで」となって、一発目に出したものを生かしていただくことも多いですし。

 --流れを大事にしている?

 稲垣さん そうですね。自由にアドリブや息を入れてもそのまま生かしていただくことが多いですし。

 --収録に参加しているキャストは少ない?

 稲垣さん 多い時は8人くらいでした。

 富田さん 2人だけの時もあったよね。

 稲垣さん 「週末ツーリング」(稲垣さんと富田さんが出演する配信番組)もありますし、最近はずっと美憂ちゃんと会っています。

 ◇ヨーコは地声に近い

 --演じる中で大切にしていることは?

 稲垣さん (ヨーコは)自分が感じたことを素直に表に出すタイプなので、私もヨーコを通して見た景色を思ったままに出していこうとしています。基本的に前向きですし、暗い音を出さないようにもしています。大事なのは、アイリとの掛け合いで、二人は対等で、家族でも友達でもない。不思議な関係で、それが表れているのが食べ物を半分に分けるシーンだと思っています。どっちかが支えているわけではなくて、二人が一緒にいるから生まれるものがあるんです。アイリのことを意識しながら演じていました。収録前はあまり固めすぎずに、アイリのお芝居から感じたものをそのまま出していこうとしました。だから、素のリアクションなんです。

 --地声がヨーコに近いようにも感じます。

 稲垣さん これまで(演じてきた役)は作り込むことが多かったけど、ヨーコは地声に近くて、初めてのことなので、新鮮でした。ただ、ところどころ私には理解できないところもありました。秋葉原で虎を見た時の反応、嵐に見舞われた時にドキドキを楽しんでいるところなどは、現代の私たちの感覚からすると、理解できないけど、彼女が生まれてきた環境を考えると、“生”を感じるとうれしくなるんだと思います。ヨーコのバックボーンも見えてくるシーンですし、演じる時は、それまでとの違いやギャップが見えるようにしようとしました。

 --アイリは一見、クールなようにも見えますが、感情の起伏がありますし、難しいキャラクターなのでは?

 富田さん 難しいですね。ヨーコほど表情ははっきりしていないけど、無表情な子では決してなくて、大きくはない感情の振り幅の中でどれだけ表情を豊かにできるかという微調整をしています。映像を見ると、口は小さいけどしっかり喜んでいるところを見せようとしたり、逆に声を張りすぎたらブレてしまうこともあったりしますし、考えながら演じています。一歩間違うと暗い子に見られそうだけど、そんなことはなくて、コミュニケーションが苦手なわけでもないんですよね。

 --意外に表情が豊かなキャラクターです。

 富田さん オーディションの時から、私がやりたい! 自分の声質を生かせるかもしれないと思っていたんです。私も一見、クールに見られがちなのですが、全然そんなことはなくて、そこも似ているのかな? 

 ◇歌は楽しく口ずさむように

 --毎回のように歌うシーンもあります。

 富田さん ほぼ毎話あって、アフレコ現場で収録しています。最初の頃は別で録(と)っていたのですけれど、終盤になるにつれて(セリフから)そのまま録るようになりました。

 稲垣さん せーの!と言わずにできるようになってきて。

 富田さん 自然と息が合うようになったんです。初めて聴く曲も多くて、収録の1週間前くらいに、資料をいただき、当日になって二人で合わせて歌っていました。

 稲垣さん みんなが見ている中で歌うので、緊張感がありました。音程は気にせず、ただ楽しく歌ってはいるようにしています。

 富田さん ちゃんと歌いすぎるのではなくて、二人でバイクに乗って、風を切りながら、楽しく口ずさむように歌っていました。

 稲垣さん ヨーコはやりやすかったんですけど、アイリはどうなるんだろう?と最初は思っていました。

 富田さん アイリは歌が苦手だったり、歌うことが好きじゃないわけではないと思うので、ヨーコと楽しく歌えることがうれしいという気持ちで歌っていました。

 稲垣さん 一番大変だったのが、20秒以上あった鼻歌です。

 富田さん あったね! 多分台本で見ると「ヨーコ(鼻歌)」と書いてあって。

 稲垣さん 自分でその場で考えて、適当に歌っていました。セリフでも「歌っている感じで」「メロディーをつけて」とあって、既存の曲はダメですし、その場で考えていました。

 --これまで共演は?

 富田さん ここまでがっつり共演したのは初めてです。

 稲垣さん 美憂ちゃんは、本当にすごいんです! アイリは振り幅が少ない中で、こんなに感情を届けられるんだ!と感じていて、私も合わせやすくて、何も固めていかなくても自然に会話が成立するんです。アイリがヨーコのことが大好きなんだと伝わって、二人の空気感がすごくいいんです。一言一言に感情がしっかり入っていて、私も熱量をしっかり返すことができました。

 富田さん うれしい! お互いが思っていると思うのですが、本当にやりやすくて、収録前に打ち合わせをした記憶がないんですよね。テストで実際に掛け合って、自然に会話ができていました。

 稲垣さん ほかの人には気付かれないレベルで私の声がいつもと違う日があって、少しだけかすれていたんです。収録には支障がないレベルだったのですが、美憂ちゃんだけ、気付いてくれたんです。さすが、一緒にやってきたパートナーだ!と感動しました。

 ◇楽しい週末ツーリング

 --配信番組「週末ツーリング」では聖地巡礼も楽しんでいます。

 富田さん 横浜ロケは楽しかったよね。先行上映会の後に、手作りな感じで、緩さもあって。

 稲垣さん いろいろ楽しみましたが、茂木もよかったです。ミニバイクに乗って、ヨーコもこんな気持ちなのかな?と感じたり。

 富田さん 川遊びをした時は、川になんか入る予定はなかったけど、キャンプ場に着いたら、川とトランポリンがあって、遊びたい!とお願いしたり(笑)。皆さん、優しいので。すぐにやらせてもらえるんです。

 稲垣さん YouTubeでは紹介しきれなかったところも今後、ブルーレイディスク&DVDに収録されるので、ぜひご覧ください!

 --今後の放送に向けてメッセージをお願いします。

 稲垣さん ヨーコたちが旅に出るまで、どのように過ごしていたのか?など皆さんも想像している部分も、これから少しだけ垣間見えたりもします。原作もまだまだ続いていますし、ヨーコたちの旅はまだまだこれからです。きっと新しいところにたくさん行って、いろいろなことがあるはずです。驚いたり、笑ったり、感動したりとかこれからもヨーコたちを見守ってくれたらうれしいです。

 富田さん この作品に触れて、アウトドアが楽しいと思うようになりました。皆さんも考察されていますが、最終話に向かうにつれて少し紐解かれていくはずです。聖地巡礼の楽しい作品なので、実際に行っていただいて、ヨーコとアイリの気持ちを少しでも味わっていただけるとうれしいです。(阿仁間満/MANTANWEB)

提供元:MANTANWEB

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