「ツイステ」の愛称で知られる人気スマートフォン向けゲーム「ディズニー ツイステッドワンダーランド」を原案とした「ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション」シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」が、ディズニープラスで独占配信されている。「ツイステ」は、ディズニー作品に登場するヴィランズ＜悪役たち＞からインスパイアされている。現実世界から＜ツイステッドワンダーランド＞にある名門魔法士養成学校・ナイトレイブンカレッジに迷い込む高校生・円満雄剣のボイスキャストを務めるのが阿座上洋平さんだ。ゲームでは監督生に当たる雄剣を演じる阿座上さんに演技のこだわりや、ヴィランズへの思い、作品の魅力を聞いた。

　◇円満雄剣は作品の「新たな視点」　憧れも　

　「ツイステ」は、名門魔法士養成学校・ナイトレイブンカレッジが舞台。ディズニー作品に登場するヴィランズ＜悪役たち＞の魅力にインスパイアされたキャラクターや、「ふしぎの国のアリス」「ライオン・キング」などのディズニー映画からインスパイアされた7つの寮が登場する。アニメーションはコミカライズをベースにしており、「ふしぎの国のアリス」にインスパイアされたハーツラビュル寮が舞台のシーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」が配信中。シーズン2「エピソード オブ サバナクロー」、シーズン3「エピソード オブ オクタヴィネル」の制作も決定している。

　子供の頃からディズニー作品に触れてきた阿座上さんは「ツイステ」の世界観にもひきこまれたという。

　「ディズニー作品のヴィランにインスパイアされているという設定がまず入りやすいと感じました。この作品がどんなふうにキャラクターに生かされているのか、世界観に寄り添っているのかと、興味を持ちました。ヴィランは、作品の中では悪役という立ち位置ですが、悪役ってすごく魅力的ですし、ファンも多いので、面白い設定だなと思いました」

　阿座上さんが演じる雄剣は、現実世界で剣道部の副将として後輩からも慕われる高校生で、ある日突然、異世界に迷い込んでしまう。作中では唯一魔法が使えないキャラクターでもある。

　「魔法を知らない一般の高校生というのが、ほかのキャラクターとの一番大きな差別化というか、ギャップなので、これまでゲームの『ツイステ』を遊んでくださったファンにとっては、新しい視点だったんじゃないかなと思います。かつ、普通であれば急に異世界に招き入れられたらパニックになってしまうのに、雄剣は全然臆（おく）さずに、真っすぐ自分の筋を通している。誰もが格好いいと思う、好きになれるキャラクターなんじゃないかなと。そうしたギャップも雄剣の魅力につながっていると思います」

　阿座上さん自身も雄剣を「憧れのキャラクター」と語る。

　「僕は部活から逃げてきたので（笑）。最後までちゃんと何かを貫いたことがなかったので、憧れの存在だなと思います。また、最近思うのは、僕自身、後輩が増えてきて、どうしたって先輩肌みたいなものから逃げるわけにはいかないというか。現場に分からないことが多い後輩がいたら、優しく、できれば熱く教えてあげられたらな、お芝居の話ができたらなと思うんです。そこは僕が年齢を重ねて、ようやく雄剣に追いついたというか、同じ目線で見られるようになったのかなと感じます」

　◇誰でもヴィランになり得る　“悪”を魅力として持つ「ツイステ」のキャラクター

　ヴィランズに魅力を感じるという阿座上さんは、中でも「ライオン・キング」のスカーが好きだという。

　「当時、見ていても格好いいし、ちょっと妖艶さもあって好きでした。大人になってから見ると、『スカーはあの環境じゃなければ、すてきな王様になれたんじゃないかな？』と。同情とも違うのですが、『救われてもよかったんじゃないか？』という思いを噛み締めるようになって、ヴィランに対しての理解力は、より深まったのかなと感じます」

　「役者としても悪役に感情移入してしまうタイプ」でもあるという。

　「悪役って、最初からみんな悪いわけじゃなくて、自分の承認欲求が暴走しちゃったパターンとか、境遇でどうしてもそういう考えになっちゃったとか、ただただ恵まれなかっただけとか、いろいろな状況があったと思うんです。僕も、そういう境遇だったらヴィランのようになっていたかもしれない。しかも、この先もどうなるか分からない。そういう恐怖を常に自分の中で自覚していないと変な方向に行ってしまうこともあると思います。僕自身、この仕事を始めたばかりの時は、みんなライバルだと思っていたし、尖（とが）っていた部分ももちろんあったのですが、それを導いてくれたのが仲間や友人だった。そういう意味では、誰しもヴィランになりうる何かを持っているし、そういうことを自分の中で自覚するかどうかが大事なのかなと。『自分がなるわけない』『あの人がなるわけない』と思い込んでいると、急に裏切られたりもするかもしれないし。そういうことを考えてしまいます」

　「ツイステ」に登場するキャラクターたちはそんなヴィランズにインスパイアされているが、「みんないいやつばかりなので、本当の悪はいないから。“悪”を魅力として、キャラクターが持っているのが面白い落としどころだなと。全員本当に悪いやつだったら、マジで見ていられないので（笑）」と魅力を語る。

　◇自分が血肉となって雄剣の魅力を伝えたい

　異世界に迷い込んだ後、雄剣はモンスターのグリム、ハーツラビュル寮のエース・トラッポラ、デュース・スペードと行動を共にすることになる。阿座上さんが演じる上で意識したのは、「邪魔にならない程度で冷静なツッコミを入れる立ち位置」だった。

　「ゲームでは、雄剣というキャラクターとしては登場しないので、生徒やグリムなど既に出来上がっている関係性にどこまで介入していいのかと考えてはいたのですが、グリムとエース、デュースの3人にはツッコミがいないなと思ったので、ちょっと引いた立場から冷静なツッコミをすることによって、よりそのシーンが引き立つかなと考えました。ただ、僕自身、コメディー好きな人間なので、ちょっと『仲間に入れてもらいたい』という気持ちもあって、アドリブでふざけたことはありましたが（笑）」

　阿座上さんは、真っすぐで熱く、誠実なキャラクターである雄剣は「すごく演じやすい」とも感じているという。

　「だから、オーディションでも『これだけは逃してはならない』という強い思いがあったので、受かった時は本当にうれしかったです。自分の中では、チャレンジするキャラクター像というよりは、自分が血、肉となって、円満雄剣の魅力を伝えたいという思いでした。これまでの自分のキャリアをどう生かせるかということばかりを考えていました」

　雄剣が自身の声質にフィットするような感覚もあった。

　「声質もそうですし、あと真っすぐさ。僕自身はそこまで誠実じゃないんですけど、『誠実な声をしている』と言ってもらえることが多いので。あと、ちょっと泥臭いところとか、冷静なところとか、自分の声質は親からもらったありがたいものなので、最大限生かしたいなという思いでいました」

　演じやすいからこそ、より雄剣の魅力を届けられるように。そんな思いで臨んだ収録は、同世代の共演者も多く、とても楽しいという。

　「デュースとエースを演じているのが、仲の良い（小林）千晃くんと山下（誠一郎）くんで、2人の相性がいいから、その関係性が崩れない程度に、こちらもうまいこと参加していきたいなと。テストではアドリブでボケて、本番ではきちんとやるみたいな感じで、緊張がほどけたところから、真っすぐな雄剣を見せなきゃなと思っていたので、緊張と緩和を意識しました」

　最後に見どころを聞いた。

　「特にゲームのファンの方は、雄剣を見て『あ、私って剣道部だったんだ』とまず思うだろうなと（笑）。そういう目線で見るのも面白いかなと思います。また、円満雄剣というキャラクターとほかの寮生たちがどんなふうに絡んでいくのか、今度は彼の視点で見ていただけたら、作品の理解度も深まるんじゃないかなと思います。自分のお気に入りのキャラクターを見つけていただく上で、雄剣がお役に立てたらいいなと思います」

　阿座上さんらが表現するキャラクターや美しい映像。「ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション」ならではの魅力を堪能したい。