戸谷菊之介×楠木ともり:劇場版「チェンソーマン レゼ篇」インタビュー(1) 120%のデンジ 届きそうで届かないマキマ
配信日:2025/09/14 7:01

藤本タツキさんの人気マンガが原作のテレビアニメ「チェンソーマン」の続編となる劇場版アニメ「チェンソーマン レゼ篇」が9月19日に公開される。「レゼ篇」は、2022年10~12月に放送されたテレビアニメのラストにも登場し、話題になったレゼと主人公・デンジの物語。デンジが憧れのマキマとのデートで浮かれている中、雨宿りをしていると、カフェで働く少女レゼと出会う。テレビシリーズに続き、デンジを演じる戸谷菊之介さん、人気キャラクターのマキマを演じる楠木ともりさんに「チェンソーマン」への思い、劇場版の収録について聞いた。
◇全てが初めてだったデンジ役
--2022年に放送されたテレビシリーズ「チェンソーマン」は戸谷さんにとって初主演作でした。
戸谷さん 僕ら世代はほぼ読んでるようなマンガで、キャストが発表された時、友達からも大きな反響がありました。それほど期待されている作品なんだと感じましたし、放送が終わった後「面白かった!」という感想をいっぱいもらって、すごい体験をさせていただいているという実感がありました。当時、いろいろなことが全く分からないままやっていて、何が大変かということが意識できなかったんです。
楠木さん 楽しんでいましたよね。
戸谷さん そうですね。自分なりに考えてやっていて、すごく楽しかったです。初めての経験ばかりで、集中してやっていくことを学ばせていただきました。
楠木さん いろいろな初めてがあって、それにぶつかっていくところがデンジとシンクロがあったのかもしれませんね。戸谷君は憑依型にも感じていて、今回の劇場版では、より洗練されている印象がありました。
--楠木さんはキャストが発表された際に「原作にハマり、マキマさんの魅力に吸い込まれるように好きになってしまい……」とコメントされていました。
楠木さん マキマをどうしても演じたくて、オーディションを受ける機会をいただき、出演させていただくことが決まり、一人でうれしくて喜んでいたのですが、発表されてからは期待値の大きさを感じていました。大きな作品に携わらせていただく責任を感じつつ、楽しみでもありました。
--「チェンソーマン」に出演することは挑戦だった?
戸谷さん 僕にとっては全てが初めてだったので、挑戦ばかりでした。
楠木さん マキマのようなお姉さんのようで上司であるという立場を演じた経験があまりありませんでしたし、自分にとって手の届かない存在だと思っている中で選んでいただいたので、新しい発見があり、挑戦でした。手探りではありましたが、それまではキャラクターの気持ちを考えて大事にすることが多かったのですが、マキマは自身の気持ちよりも作品の中で彼女がどういう役割を担っているかを基準に演じていて、そこが新鮮でした。デンジがほかのキャラクターをどう見ているかを考えることが大事になってきます。その後、ほかの作品でもこの経験が生きてきたんです。
--テレビシリーズの続編となる「レゼ篇」は劇場版アニメとして公開されることになりました。
戸谷さん 劇場で見られることが楽しみでした。レゼとはテレビシリーズで掛け合いがなかったですし、そこも楽しみでした。
楠木さん テレビシリーズの収録の時、レゼが出てきたので、スタッフの方に「続きはあるんですか?」と無邪気に聞いてみたら、ごまかされまして(笑)。原作読んでる時から、いちファンとして劇場版で見たい、構成的にも劇場版の方が絶対に面白くなると思っていたので、うれしかったです。マキマとしても「レゼ篇」で“映画”はキーになるシーンもあり、皆さんに映画館で見ていただけるのも粋な演出ですし、楽しみだなと思っていました。
◇マキマを繊細に演じる
--デンジの印象は?
戸谷さん すごく突飛で、変なことも言うけど、それが面白いところが魅力的ですよね。第1話の最初は、かわいそうだな……と感じつつ、第1話の終わりになると、おや?となる。そういうところが魅力だと思います。すごく素直なんですよね。嘘をつかないし、思ったことに向かって突っ走っていく。僕自身もそういうところがあるけど、なかなかできないじゃないですか。建前を全部取っ払ってくれる主人公だなと思っています。
楠木さん 真っすぐで、ちょっとおバカで主人公らしいのですが、真っすぐの方向がちょっとズレているんですよね。純粋じゃない方向に真っすぐなんです。戸谷くんがおっしゃっているように、私たちも共感できるところがあって、普段は表に出さない方向の真っすぐさがあって、読んでいてすっきりしたり、爽快感があったりします。デンジの考え方に驚きや気付きもありますし、友達に一人いたら絶対楽しいですね。
--マキマは?
楠木さん 距離感がキーワードのキャラクターだと思います。届きそうで届かない理想の女性のようで、ミステリアスで人を引きつける魅力があります。そこがいろいろな人に刺さると私も演じていて感じています。
戸谷さん 手に届かないけど、憧れの存在。好きですね。僕も学生時代に憧れを抱く人がいたなあ……。
--演じる際に大切にしていることは?
戸谷さん 120%くらいで常にいないと、素直な感じが出ないのかなと思って、全く嘘なくお芝居したいと考えていました。デンジは最初、何も持っていなかったから、いろいろな経験を新しく感じるんです。人に優しくされたのが初めてだったり、劇場版では、自分のことを好きな子が目の前にいると感じていたり、そんな時にどう思うのか? そこを考えています。
楠木さん マキマがどう思ってしゃべっているかよりも、周りのキャラクターにとってどう聞こえるかを基準にしています。マキマの気持ちを考えて演じようとすると、そこは不透明なところがありますし、デンジにはこう聞こえていたという解釈になるように、バランスを見ながら細かく調整をしています。劇場版に関しては、マキマ推しとしても好きなエピソードがあって、原作を読んで、彼女に引き込まれたきっかけでもあったのですが、これまでと違う描写もあります。バランス感を現場でも話し合いながら進めていたので、繊細さが求められるキャラクターだなと思います。
インタビュー(2)に続く。
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