佐々木李子:新境地の「Majestic Catastrophe」 苦しい時期を乗り越え 力強く前進
配信日:2025/08/27 18:00

歌手や声優として活躍する佐々木李子さんの新たなシングル「Majestic Catastrophe(マジェスティックカタストロフィ)」が8月27日に発売される。表題曲は、佐々木さんが声優として出演するテレビアニメ「異世界黙示録マイノグーラ~破滅の文明で始める世界征服~」のオープニング主題歌で、佐々木さんにとって“新境地”となるシンフォニック・メタル調の楽曲となっている。佐々木さんに新たなシングルや歌手としての活動について聞いた。
◇全力で闇を表現
「Majestic Catastrophe」は、ダークな世界観が魅力。佐々木さんはこれまでもダークな楽曲を歌ってきたが、新境地となった。
「オペラ調で荘厳な世界観のメタルというのは初めてでした。クワイヤのような重なるコーラスもありましたし、ダークな楽曲はこれまでも歌っていましたが、新境地、新たな挑戦になりました。ただ力強いだけじゃなくて、繊細な部分も表現したくて、曲の世界に入り込んで、得体の知れない存在の強さを繊細に表現していこうとしました。いろいろな楽曲を歌うのが好きなのですが、その中でも自分の内なる黒い部分を表現するのは、レコーディングもライブも楽しいんです。普段の自分じゃなくなる感覚があるので、ダークな楽曲は大好きですね」
佐々木さんは「BanG Dream! Ave Mujica」の三角初華/ドロリス役、「リンカイ!Project」の久留米美虹役、「キラッとプリ☆チャン」の虹ノ咲だいあ役など声優としても大活躍している。声優としての経験が、歌手としての表現の幅を広げているところもある。
「『Majestic Catastrophe』も歌詞の世界観がすごく素敵で、叫びから始まり、普段聞かないようなフレーズも多く、歌にどういうふうに気持ちを込めようかと考えました。声優としてお芝居をしてきた経験が生きているところがすごくあります。歌でセリフのように語りかけたり、問いかけたりする時、魂に訴えかけるような気持ちですし、そこは歌もお芝居も同じだと思います」
「Majestic Catastrophe」は“難曲”で、佐々木さんは繊細に感情を表現した。
「自分の中で世界観を表現しやすかったですし、楽しくて仕方なかったです。ブースを真っ暗にして、楽曲の世界に浸りながら歌ったので、気付いたらレコーディングが終わっていて、ちょっと寂しいくらいでした。明るく前向きな曲では、目の前が見えるように明るくして、ファンの方を想像するのですが、闇を極めた楽曲なので、精神統一しながら歌いました。喉の使い方やささやくような歌い方などにこだわって、全力で闇を表現しました」
◇諦めた方が楽なんじゃないかな?と思ったことも
カップリングの「詩をまく者」では作詞に挑戦した。佐々木さんはこれまでの活動の中で感じてきた思いを込めた。
「私はこれまでコツコツ努力を重ね続けてきたのですが、ゴールして何かを成し遂げることも大切だけど、その過程もすごく大切だと思い、自分の歩んできた道を歌詞にしようとしました。今もまだまだ頑張っている途中ですが、全然芽が出なくて、苦しい時期もありました。私自身もそうだし、スタッフさんと一緒に模索してきました。コロナ禍などですごく迷った時期もあって、ライブが生きがいの私にとってライブができなかった時期は、すごい苦しくて。活動自体を一度諦めかけたんです。それでも諦めずに続けてきて本当によかったと思っていて、少しずつの努力もいつか何かにつながるはずです。同じように苦しい思いをしている人に届いてほしいと思い、花を咲かせるまでの道のりを表現しました」
ファンへのメッセージのようにも感じる歌詞になっている。
「自分の力だけでは進むことができなかったですし、その思いも込めました。皆さんに早く恩返ししたいけど、なかなか結果が出ないこともあって……。新人の頃、自分の意思でチラシ配りや路上ライブをやっていたのですが、支えてくださる人がいなかったらできませんでした。感謝が伝わるような歌詞にしたいとも思いました。チラシ配りは、全然受け取ってもらえないんですよ。心が折れそうになりましたし、一時期はトラウマになっちゃうくらいでした。でも、メンタルが鍛えられました。通り過ぎる人ばかりでしたが、立ち止まってくれる人もいて、チラシ配りで初めて出会って、今も応援してくださる方もいるんです。全部無駄じゃないという思いを込めました。本当につらかった時期は、諦めた方が楽なんじゃないかな?と思ったこともあったけど、絶対に終わらせたくないという気持ちになっていきました。どんなにつらくても、夢をかなえたいと思えるようになったのは当たり前じゃないし、すごく幸せだなと思っています。トリコ(佐々木さんのファン)の声が原動力になっています。会うたびに元気をもらえますし、会えない時もいっぱい愛を伝えてくださるので、それが力になっています。実は歌詞の中にある言葉が隠されているので、ぜひ探してみてください!」
もう一曲のカップリングの「豪華絢爛祭」も“難曲”ではあるが、見事に歌いこなした。
「テンポが速いですし、拍子も変わるので技術的にも難しい曲です。これまでもさまざまな曲を歌わせていただいてきましたが、初めて聴いた時は唸りました。背筋伸びる感じと言いますか、きたぞ!と覚悟しました。言葉も詰まっているけど、きっちり届けたいメッセージがちりばめられているので、そこもしっかり伝えないといけません。楽器と一体になってギラついて歌うのが難しいところもあったのですが、やっぱり楽しかったですね。私は負けず嫌いなところがあるので、やってやるぞ!という気持ちで、伸び伸びと歌いました。ライブでも妥協せずに歌います。みんなを巻き込んで、お祭りのように楽しめる曲にしたいですね。掛け合えるところもあるので、みんなに叫んでほしいです」
◇魂で歌うこと
佐々木さんは卓越した歌唱力で、どんな曲でも力強く、心を揺さぶるような歌声を響かせる。
「自分の経験を歌に落とし込むことが多いですね。妄想するのも好きなので、その曲の主人公になりきって、自分なりに今までの経験を基に解釈して、表現しようとしています。私は嘘をつけないタイプで、挫折もあったし、後悔することも多いけど、そこを隠さずに届けようとしています。うまく歌おうとしていません。やっぱり気持ちなんですよ。歌は点数をつけられないものなので、魂で歌うことが大事です。これからもモットーにしていきたいです。“初心忘れるべからず”が好きな言葉なんですけど、ずっとその気持ちで進んでいきたいと思います」
12月27日にはKT Zepp Yokohama(横浜市西区)でワンマンライブ「RE;VERSI」を開催する。
「『RE;VERSI』にはいろいろな意味を込めています。“RE”には、5月に久しぶりに開催したワンマンライブ『I’m RICO.』からさらに進化して再び集まるという意味があります。“;(セミコロン)”は、強く結びつけるという意味があるので、“再び強く結びつける”という意味です。これまでさまざまな曲を歌ってきたので、光の部分も、闇の部分も楽しんでほしい。ライブに来た人を“リバーシ”して“李子一色”に変えたいという気持ちも入っています」
佐々木さんの活動はワールドワイドに広がっている。
「世界に通用するアーティストになりたいです。いろいろな作品に携わらせていただき、作品をきっかけに、世界中のファンの方が会いに来てくださるようになりました。リリースイベントで日本語を一生懸命話してくれるのがうれしくて、感動しています。音楽は言葉を超えるんだ!とうれしくなります」
苦しい時期を乗り越えた佐々木さんは力強く前に進んでいく。最後に、今後の目標を聞いた。
「いろんなことを一つ一つ大切に積み重ねて、武道館や大きなアリーナを埋められるようなアーティストになりたいです。今までずっと遠い夢のように感じていたのですが、夢だと思わずに、コツコツ頑張っていきたいです。簡単なことじゃないと思います。夢をかなえるためにどうすればいいかを常に考え、気合を入れていきます。みんなと一緒に夢をかなえ続けていきたいです」
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