LiSA:「鬼滅の刃」への思い 「信念を共にする仲間」 「無限城編」第一章主題歌に込めた祈り
配信日:2025/08/10 8:01

吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんの人気マンガが原作のアニメ「鬼滅の刃」の新作劇場版「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」。7月18日に公開され、見る者を圧倒するすさまじい映像美はもちろん、W(ダブル)主題歌である「残酷な夜に輝け」をLiSAさん、「太陽が昇らない世界」をAimerさんが担当していることも話題になっている。LiSAさんは、2019年放送の「竈門炭治郎 立志編」、2020年に劇場版が公開された「無限列車編」で主題歌を担当しており、「鬼滅の刃」という作品を「大事な時期を一緒に過ごし、一緒に山を越えてきた仲間」だと感じているという。第一章の主題歌に込めた思い、レコーディングの裏側を聞いた。
◇「残酷な夜に輝け」をみんなをたたえるような楽曲に
LiSAさんはこれまで、「竈門炭治郎 立志編」のオープニングテーマ(OP)「紅蓮華」、エンディングテーマ(ED)「from the edge」、劇場版「無限列車編」の主題歌「炎」、テレビシリーズ「無限列車編」のOP「明け星」、ED「白銀」を担当してきた。「紅蓮華」「炎」は大ヒットし、2019、2020年と「NHK紅白歌合戦」に2年連続で出場し、2020年には「炎」で「第62回輝く!日本レコード大賞」の大賞を獲得した。
竈門炭治郎ら鬼殺隊と、鬼舞辻無惨ら鬼たちとの決戦が描かれる「無限城編」の第一章でW主題歌を担当することになり、LiSAさんは「今回は特に、猗窩座が再来するお話。『無限列車編』で煉獄さんが猗窩座と戦った時に『炎』で終わって、そこからまた猗窩座に出会う炭治郎たちを応援できるこのタイミングで、またご一緒させてもらえるのは本当に光栄に思います」と語る。
W主題歌「残酷な夜に輝け」は、アニメ「鬼滅の刃」の音楽を担当し、「竈門炭治郎 立志編」のED「from the edge」、「無限列車編」の「炎」「明け星」「白銀」を手がけてきた梶浦由記さんが作詞、作曲、編曲を担当した。LiSAさんが、完成前の楽曲の第1稿を聴いた時は「今のものよりも、もっと悲しいフレーズが載っている楽曲だった」という。
「梶浦さんとご一緒させていただくのは今回で5作目なのですが、梶浦さんは悲しみを悲しみとして表現することに長けている方で、一方、私自身が持っている声は希望を感じてしまう、明るさを持ってしまう声色なので、そこが交わって悲しさの中に明るさ、希望を持った楽曲になる。それが、私と梶浦さんが『鬼滅の刃』で作ってきたものの一つだなと感じていました。だから今回も『少し希望を感じるような、祈るような気持ちを持てるような曲になったらうれしいです』というお話を梶浦さんにさせていただいて、ダークなところと明るいところがすごく入り混じった楽曲になりました」
「残酷な夜に輝け」のタイトルにも入っている「残酷」というフレーズは、物語の幕開けである「竈門炭治郎 立志編」第一話のサブタイトル「残酷」に由来しているという。LiSAさんは楽曲の歌詞を見て、「梶浦さんは、全員をちゃんと連れていくつもりだなと思いました」と感じたと語る。
「『鬼滅の刃』という物語が、鬼殺隊も鬼も全員が悲しい思いをしたからこそ、鬼になる選択をしたり、鬼殺隊になって鬼に倒す選択をしたりしていると思います。そういう悲しみを背負って戦うみんなをたたえるような楽曲に感じて、素晴らしいなと思いました」
◇言葉と楽曲に導かれるようなレコーディング 新たな発見も
「残酷な夜に輝け」は、重厚感がありながらも、爽快感があり、時に優しさも感じられるような、さまざまな側面がある楽曲のように感じられる。
「本当にさまざまな展開がある楽曲なんですけど、レコーディングの時に梶浦さんが、『行け』からのサビや、『夢見ていたんだ』からのサビの部分の私の声色を『すごく好き!』と言ってくださって。そこで、いつものLiSAの声色を作れるのであれば、そのほかのところは言葉と楽曲に寄り添うような声色を使って歌えたらいいなと思って、本当に導かれるように、自分なりに解釈しながら、いろいろな声色を使って歌わせてもらいました」
今回の主題歌で自身の中で新たな発見もあったという。
「『匂い立つ闇から生まれた』のフレーズからオペラのような歌い方になるところは、初めての体験でした。私は割と剛速球を投げがちなんですけど(笑)、その前のフレーズで“バント”みたいにちょっとフェイントをかましてから『匂い立つ~』に行く感じが好きですね。オペラっぽい歌い方もすごく楽しかったです」
◇「無限城編」第一章は「全てが美しく、全てが苦しい」 全員が命懸け
「竈門炭治郎 立志編」から「鬼滅の刃」にアーティストとして参加してきたLiSAさんは、自身の表現者としての信念と、「鬼滅の刃」の世界観にリンクするものがあると感じているという。
「私自身が歌を歌う上で、制作する上で大切にしている信念というか、自分の中で確信しているものがすごく『鬼滅の刃』と似ているように思うんです」
そうした思いは、「竈門炭治郎 立志編」の時から抱いていたものだという。LiSAさんにとって「鬼滅の刃」はどのような存在になっているのだろうか。
「本当に仲間のような気持ちです。自分が歌いたい信念と、『鬼滅の刃』という作品が持っている信念が出会ったというか、『同じ気持ちの人がいてくれた』という気持ちというか。そんな作品と出会って、長い時間を共にさせてもらえています」
LiSAさんは、「無限城編」第一章を「全てが美しく、全てが苦しいです。本当に全員が命懸けな作品です」と表現する。
「キャラクターも声優さんもアニメーターさんも、私たちも、本当に限界に挑んでいるような作品なので、ぜひ皆さんも心して見ていただきたいなと思います。作品と共に楽曲もお楽しみいただけたらなと思います」
「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎が、鬼に変異した妹・禰豆子を人間に戻すために鬼殺隊へ入隊する……というストーリー。原作は、2016~20年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された。コミックスの全世界累計部数は2億2000万部以上。テレビアニメ「竈門炭治郎 立志編」が2019年4~9月に放送され、2020年10月公開の劇場版「無限列車編」は、国内来場者数が2897万人を突破し、国内歴代興行収入1位となる約404億円を記録した。「遊郭編」が2021年12月~2022年2月、「刀鍛冶の里編」が2023年4~6月、「柱稽古編」が2024年5~6月に放送された。「無限城編」は三部作。
※鬼舞辻無惨の「辻」は点一つのしんにょうが正しい表記となる。 ※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となる。 ※煉獄杏寿郎の「煉」は「火+東」が正しい表記となる。
提供元:MANTANWEB